第8話 「突然の悲劇」
あらすじ
マシューとラビニアの結婚式の準備に追われる中、シビルは自分の決断を家族に打ち明ける。ロバートは激怒するが、コーラは覇気をなくしていた。そんな矢先、カーソンが病に倒れ、階上も階下も続々と病人が発生。流行していたスペイン風邪が屋敷内で蔓延したのだ。一方、シビルの決断に触発されたアンナは、ベイツをより近くでサポートするために、ある決意をする。
ネタバレ感想
シビルとブランソンの結婚宣言よりトーマスの立場の危うさが気になります。闇市なんてぴったりでずる賢く一儲けしそうなタイプだと思っていましたが有金叩いてゴミを仕入れてしまったトーマスはなんとかダウントンに残れるよう必死です。さんざん軍曹だのもう使用人じゃないだの主張してきた事が仇となりそっくりそのまま返されることに。ざまぁ、とも思いますがやはりトーマスには傍若無人でなおかつ他人を見下しに見下していて欲しいものです。
屋敷内パンデミックが巻き起こり続々と人々が倒れている中、蓄音機を使い中々の音量で音楽を聴きふけるマシュー。式3日前にしてマリッジブルーなのでしょうか。そして自分に未練があるだろうメアリーをダンスに誘い踊りながらぼそぼそ色々言ってついにはキスまでしでかします。マシュー、お前もか。
ロバートとジェーンはさっそく盛り上がっています。このジェーンという女、なかなか妖艶で恐ろしいタイプの女性です。しかしシビルとブランソンに対してあれだけ激怒してブランソンに出て行けと命じた男が同じ使用人であるメイドに手を出しているという矛盾ですよ。結果的にジェーンは息子のためにと手切れ金を受け取り辞職しますが“お別れのキス”を求めるあたりが天然なのか計算なのか分かりづらく好きにも嫌いにもなりきれない女性でした。
マシューとメアリーのやり取りを全て見ていたラビニアは身を引くことを決意したようです。未来の伯爵夫人となる責任の重さや自分とメアリーの生まれ持った身分の格差など、マシューを愛していても埋められない穴がある、と。これは建前ではなく本音だと思いました。もっとストレートに“愛しているから幸せになって欲しい”とかそういう愛故に自分の気持ちを押し殺すのみかと思いましたが、ラビニアにもそもそもこの結婚に対し不安を感じる部分が少なからずあったんですね。ラビニアとマシュー然り、シビルとブランソン然り、相手を愛していようと越えられない壁があったりバランスが噛み合わないとか些細にも思える事が「貴族社会」があった時代にはより大きな試練になっていた事でしょう。
ただ、ラビニアがマシューを諦めたところでじゃあマシューとメアリーは結ばれるのかと言われれば、カーライルがそう簡単にメアリーを手放すとは思えないんですよ。
しかし軽症と思われていたラビニアの容態は急変し、自分の分まで幸せになると約束してと言い遺しこの世を後にしました。これでまたマシューも切り替えがききづらくなってしまった事でしょう。結婚式から一転、葬式の準備でお通夜モードです。塞ぎ込んでしまうまでは分かるんですが、ラビニアの死は“心が敗れたため”で“僕らが死なせた”はさすがに言い過ぎだと思います。“僕らはもう幸せになれない”とか“僕らは呪われた人生を歩むしかないんだ”とか勝手に《僕ら》にするのやめろ。自分を責めるのは勝手ですがなんか色々と巻き込んでおいて“僕らの終わりを認めよう”と。マシューはなかなか乙女チックで暴走がちです。
おめでたい展開に目を向けると、アンナとベイツはようやく夫婦となり、メアリーの計らいで新婚初夜をダウントン・アビーの一室で迎えました。
それに加えてシビルとブランソンの結婚をロバートが認め、しぶしぶながら快く送り出し和解できたようです。
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▼次回、エピソード9 ベイツさんは喜んでチキンを温めるよ 独房で死を待つよりかはね