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女王陛下のお気に入り

あらすじ

18世紀初頭、フランスとの戦争下にあるイングランド。女王アンの幼なじみレディ・サラは、病身で気まぐれな女王を動かし絶大な権力を握っていた。そんな中、没落した貴族の娘でサラの従妹にあたるアビゲイルが宮廷に現れ、サラの働きかけもあり、アン女王の侍女として仕えることになる。サラはアビゲイルを支配下に置くが、一方でアビゲイルは再び貴族の地位に返り咲く機会を狙っていた。戦争をめぐる政治的駆け引きが繰り広げられる中、女王のお気に入りになることでチャンスをつかもうとするアビゲイルだったが……。

 予告動画

『女王陛下のお気に入り』日本版予告編

「ロブスター」「聖なる鹿殺し　キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」で注目を集めるギリシャの鬼才ヨルゴス・ランティモス監督が、18世紀イングランドの王室を舞台に、女王と彼女に仕える2人の女性の入り乱れる愛憎を描いた人間ドラマ。2018年・第75回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で審査員グランプリを受賞し、女王アンを演じたオリビア・コールマンも女優賞を受賞した。

出演はコールマンのほか、「ラ・ラ・ランド」のエマ・ストーン、「ナイロビの蜂」のレイチェル・ワイズ、「マッドマックス　怒りのデス・ロード」のニコラス・ホルトほか。 

ネタバレ感想

うーん面白かったです。

公開5日目にして座席60足らずという小さい箱での上映だったのが意外でしたが内容はしっかり楽しめました。

ただなんというか感想の書きにくい映画です。

舞台は英国王室、女王とその寵愛を受けた強気な幼なじみサラ、そして元貴族のレディながら没落に伴い落ちぶれたアビゲイルがメイドとして王室に仕える事となるところから物語はスタートします。

女王は恰幅のいい女性…まあ、おばさんなんですが、この女性がまた地位に似合わずしかしながら地位ゆえに孤独で不安定、精神的に幼く無垢で純粋な子供のような存在なのです。

そんな女王の絶対的な信頼と愛を獲得しているサラは女王を意のままに操り実質的な権力を握っています。

そんな王室に新入り女中として雇ってもらったアビゲイルは女王が痛風に苦しんでいる事を知り森に薬草を採りに馬を走らせます。

それがきっかけとなりサラ付きの侍女に昇格し、子供のように側にいろと駄々をこねる女王の相手を代理で任されます。

ある晩二人の一線を越えた関係を目撃してしまったアビゲイル。

秘密を知った事をサラに仄めかし揺さぶりをかけ、未だ圧倒的地位を誇るサラに脅し返され…

アビゲイルのサラにはない心優しさにどんどん心を許し、これもまたサラの上をいく奉仕に身体をも許した女王を見てその脅威を悟り即刻侍女をクビにしたサラでしたが、アビゲイルもこれに黙っておりません。

自演での泣き落としに成功し、女王の寝室付き女官の地位を獲得するという更なる飛躍を遂げます。

相手を蹴落とせばその分復讐に恐れる事にも繋がり、牽制はもちろんのこと、薬を盛るなどただの蹴落としを超えた手段の選ばなさに恐ろしさと必死さがジワジワと伝わってくるのです。

この話の面白いところは最初は純真な良心のように見えたアビゲイルが何にも怯む事なく着実に望みを叶えていく過程で実は一番腹黒かったというところでしょうか。

かといってサラにも女王にもどこにもガッシリはまる感情移入の先がない点もフワフワした苦い気持ちをどう処理していくのか、という面で個人的に好きな類の作品でした。

全体を通してとにかく女性が強く男性陣は蚊帳の外。

自分の子供に見立てて大切に育てているウサギを踏み痛め付けているアビゲイルの本性を目撃してしまいながら後悔と共に堕ちていく…そんなラストシーンが非常に印象的でした。

夜の宮殿や、真昼でも日の当たらない通路は蝋燭を灯さないと歩けないほどの暗闇があったりと美しく豪華な宮殿の陰の部分にフォーカスが当てられている背景と相まってその雰囲気がより楽しめました。

評価(平均点高めの設定です。)

  4.4 /5 点！

英国王室の憎愛劇。女優陣の豪華さもさることながら、宮殿の装飾や外観などどのシーンを切り取っても絵画のように美しく、絶妙な胸騒ぎを感じさせる効果音など飽きさせない演出がとても良かったです。

概要

監督：ヨルゴス・ランティモス

時間：2時間

配給：20世紀フォックス映画

公開日：2019年2月15日

The Favourite (Original Motion Picture Soundtrack)