第1話『失われた鷲』”THE STOLEN EAGLE”
あらすじ
紀元前52年。8年に及ぶ戦いの末、ガリアを征服したカエサルは、ローマへの帰国間近にあった。ローマの元老院は、民衆から圧倒的な支持を得るカエサルを、共和政を脅かす存在だと危惧する。ポンペイウスもまた危機感を抱くが、カエサルの盟友を装っていた。そんななか、カエサル陣営から鷲の徽章が盗まれ、百人隊長ヴォレヌスと軍団兵プッロが捜索を命じられる。二人は鷲の徽章を奪った盗賊を見つけ、彼らを雇ったのはポンペイウスだと聞き出す。
ネタバレ感想
想像よりもポップな調子のオープニングにテンションが上がります。
舞台は紀元前52年のローマ。最後の王が追放されてから400年、共和制ローマは平民と貴族の対立で国内の混乱と共に強大化しておりました。
歴史上の人物として有名な軍人であり盟友の〈ポンペイウス・マグヌス〉と〈ユリウス・カエサル〉が政治と治安の主導者として活躍していた時代です。
“偉大なる人”と称されるポンペイウスが8年間平和に暮らす一方で、ガリア戦争に勝ち富と民衆の支持を得た貴族出身のカエサルは平民側につき貴族優勢の中で民衆を味方につけ戦います。
「ブルータス、お前もか」のフレーズでよく知られる〈カエサル〉ですが、英語読みでは〈シーザー〉となる事を把握していないと字幕で見ていた時に若干の戸惑いが生まれます。
いかなる場合でも規律を遵守せねばならない「集」に重きを置いた戦いを繰り広げるローマ軍におけるはみ出し者の兵士プッロは「個」の力を持つあまりか百人隊長ヴォレヌスの制止も聞かないどころか上官を殴り飛ばす始末。
第13軍団の英雄でありながら軍法違反で鞭打たれ処刑を目前に牢へと入れられてしまいます。
全ガリア人の王に降伏させたりとカエサル軍はその猛威を惜しみなく奮っているようです。こうして終結した戦争の後は兵士に2日間の略奪が許されるそうで、そこかしらでやりたい放題が続く中カエサル宛にポンペイウスから娘の訃報が届きました。
最初顔の判別もつかないし、そもそも思いもよらず理解が追いつかなかったのですが、カエサルの娘ユリアは父親の盟友であるポンペイウスと婚姻関係にあったのですね。そして難産で赤子共々命を落とした、と。
カエサルは悲しみながらもポンペイウスに新しい妻をあてがってやる事にします。
民衆に戦利品をばら撒くカエサルはますます平民の支持を得るようになり、貴族達は危機感を募らせます。
〈オクタヴィウス〉は、カエサルの姪であり強かで手段を選ばない強烈キャラの母〈アティア〉からいち早くガリアの陣営地へ乗り込みカエサルへ貢ぎ物として馬を贈るようにと指示されます。
元老院では、ガリアの降伏により8年間に及ぶ戦争は終結したはずなのに何故兵士を家族の元に帰さないんだ、とその場に居ないカエサルを責める貴族の声が。ローマに呼び戻し裁きを受けさせるよう求めていますが、執政官であるポンペイウスはカエサルこそ共和制の申し子であり彼を裏切らない、とこの訴えを退けました。
しかしその夜、元老院でカエサルに裁きを要求していた〈カトー〉がポンペイウスに近付き、いざという時は協力するから我らと手を組んでカエサルを失脚させようと持ちかけます。これをバッサリ拒否したポンペイウスですが、盟友カエサルを裏切らないという気持ちはあるものの『元老院と手を組まなくともその気になれば奴らなど虫ケラ同然だ』と穏やかではない仮定の話が出ました。早くも内情がズタボロな感じです。
〈ブルートゥス〉の母親〈セルウィリア〉はカエサルの愛人のようですが、この微妙な関係でブルートゥスとカエサルの関係が良好というのが不思議な感覚です。
ブルートゥス役のトビアス・メンジースはゲースロのエドミュア役で出ていましたね。古代顔なのか。
カエサル陣営からシンボルである鷲の徽章が盗まれる事件が発生し、軍内の統制が乱れつつある事を懸念したカエサル陣営の〈アントニウス〉はヴォレヌスを奪還任務に任命し、ヴォレヌスに選ばれた従者として投獄されていたプッロが釈放され付いていく事に。
反逆罪で捕まったような男を指名するあたり、プッロの戦闘能力は一目置くほどのものなのでしょう。ガリア部族を拷問して聞き出したカドゥルキへと向かう二人。
アティアは、ポンペイウスの新しい花嫁を見繕って欲しいという伯父カエサルからの手紙を読み、自分の娘〈オクタヴィア〉を執政官の妻の座に押し上げるべく嫌がる娘に今の夫と別れさせるトンデモ毒親です。こういう女性が陰からのし上がっていくのでしょうねぇ。
アティアのもう一人の子で、ガリアへの道中襲われ捕らえられたオクタヴィウスは異民族から奴隷扱いで鞭打たれながら荷車を引かされております。
と、ここへ道中馬を奪われたばかりの鷲の徽章奪還チームの二人が通りかかり馬欲しさに族を皆殺しにします。結果的に助けられた形となったオクタヴィウスですが、その小生意気な口の聞き方は変わりません。
しかしさすがに身内で内情をよく知るオクタヴィウス。鷲の徽章を奪還する任務など無用なものなのでカエサルの元へ共に来るように話します。
オクタヴィウスによると、盗難は軍の弱体化をポンペイウスに示せる好機だというのです。先制攻撃を避けたいカエサルは、ポンペイウスから先に攻撃を仕掛けさせたいという思惑があるのだとか。
つまりユリアの死で最後の砦が失われた盟友同士は、ポンペイウスだけでなくカエサル側も相手の不穏な動向を把握していたのですね。
結局、オクタヴィウスが捕まっていた者たちの仲間が「青いスペイン人」で、鷲の徽章もその場で呆気なく見つかりました。
更に、押収した鷲の徽章を大事に抱えていた男の頭にはポンペイウスの奴隷の証が刻まれており、軍を差し向けるまでもなくカエサルを裏切っていた事が明るみに出ます。
ついに両者の戦いが始まりました…!
建築物や衣装など細部まで作り込まれた雰囲気がさすがHBO製作…!と感じます。イギリスの大手局BBCも監修しているようで間違いなく本気です。
ゲースロ並みに女性陣の体当たりヌードも多く、さらにモザイクを多用しないと映せないようなシーンが多くギョッとする事もしばしば。
奴隷への扱い、というか扱い以前に奴隷を空気のように捉えている貴族達の振る舞いが印象的でした。性行為中にも団扇で扇がせ、傍に立って見ているだけの者が居ても気にする事なく、大人だけでなく子供でも躊躇いなく流れるように手を上げる、羞恥すら感じる必要性が無いというのはつまり同じ人間だと思ってもいないという事に繋がるからなのかな、とかそういった読み取り方が出来ました。
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▼次回、エピソード2