劇場鑑賞≫≫1917 1917 命をかけた伝令

1917 命をかけた伝令

あらすじ
- 予告動画
ネタバレ感想
評価(平均点高めの設定です。)
概要

あらすじ

若きイギリス兵のスコフィールドとブレイクの2人が、兄を含めた最前線にいる仲間1600人の命を救うべく、重要な命令を一刻も早く伝達するため、さまざまな危険が待ち受ける敵陣に身を投じて駆け抜けていく姿を、全編ワンカット撮影で描いた。1917年4月、フランスの西部戦線では防衛線を挟んでドイツ軍と連合国軍のにらみ合いが続き、消耗戦を繰り返していた。そんな中、若きイギリス兵のスコフィールドとブレイクは、撤退したドイツ軍を追撃中のマッケンジー大佐の部隊に重要なメッセージを届ける任務を与えられる。

「007 スペクター」「レボリューショナリー・ロード　燃え尽きるまで」などで知られる名匠サム・メンデスが、第1次世界大戦を舞台に描く戦争ドラマ。

予告動画

サム・メンデス監督作！映画『1917 命をかけた伝令』予告

戦場を駆け抜ける2人の英国兵をジョージ・マッケイ、ディーン・チャールズ＝チャップマンという若手俳優が演じ、その周囲をベネディクト・カンバーバッチ、コリン・ファース、マーク・ストロングらイギリスを代表する実力派が固めた。撮影は、「007 スペクター」でもメンデス監督とタッグを組んだ名手ロジャー・ディーキンス。第92回アカデミー賞では作品賞、監督賞を含む10部門でノミネートされ撮影賞、録音賞、視覚効果賞を受賞した。

ネタバレ感想

第一次世界大戦の最中、急遽呼び出された主人公達が最前線の1600人の命を守るため、ドイツ軍の戦術的退却と罠がある事を伝えるという使命を果たす物語です。

伝令係を任命されたたった二人のイギリス軍上等兵ブレイクとスコフィールド。この1600人の中にはブレイクの兄がいる事も分かっており、ブレイクは焦りも伴い制止を振り切り白昼から敵地の最前線を目指すことに。

戦争物にも関わらず、ドンパチ銃撃戦シーンがほぼ皆無でありながら、常にいつどこから狙い撃たれるか分からない究極の緊張感が終始付き纏います。

全神経を前に進む事に集中させる二人の息遣いが観ているこちらにまで伝染して来るような没入感があり、そこら中に転がる死体にたかるハエやネズミ、ぬかるんだ足元など悪臭が漂ってきそうなリアルさがそこにありました。

主人公達がドイツ軍の痕跡を見つけるたびに「ジーザス」を連呼するのが、いかにも得体の知れない技術力を持った敵に対する畏怖の現れに思えました。

話は逸れますが独軍ってどこかロマンを感じてしまいます。軍事力というのか、科学力がオカルト寄りなベールに包まれているというイメージすらあります。

まあまあ早い段階でブレイクが亡くなってしまいスコフィールドが彼の想いを継ぐ事になるのですが、いっそさっさと死んでしまった方がマシというような恐怖を感じながら逃げ延びるもタマヒュンどころで済まない滝下りまでし、ブヨブヨの水死体の上を転がりながら陸地へ上がるだなんてそりゃ泣きたくもなるわ…と心底同情してしまいます。

それでも歌声に導かれるように辿り着いた先が味方の部隊だったり、たまたま居合わせたのが伝令を届けるD連隊だったり出来過ぎな感じや、爆撃を受ける崩壊した街の映像美がファンタジーさすらある程の演出で逆に違和感を覚えてしまう面も。

なんとか攻撃中止の命を伝え、健在だったブレイクの兄にも弟の最期を伝え使命を果たしたスコフィールド。

軍の伝令と友の遺言、二つの意味での伝令係となっていた分、それは紛れもなく『命をかけた伝令』でした。

絶え間ない緊張感の張り詰める前半と比べ、後半はリアリティーよりも演出染みたフィクションさを感じる部分が多く、登場人物の心情もまあそれなり、という印象に終わりました。

全編ワンカット風？の撮影手法が売りのようなので、その点に留意しない見方をすると心に刺さるものはイマイチ感じないかなぁ…という部分で個人的には大絶賛とまではいかないのが正直な感想です。とにかく戦争物って名作が多過ぎるんですよね。それらを超えて来るのかという強い期待があったのも大きな影響があると思います。

あとカンバーバッチの使い方が贅沢過ぎませんか(笑)