第10話
あらすじ
ノンナートゥス・ハウスの皆は修道院本部からガラクタを送り付けられ、それぞれ整理していた。その中の一つの箱にはウェディングドレスがたくさん入っていた。思い出話に花を咲かせていた皆だが、エヴァンジェリーナだけ機嫌を損ねていた。その頃、赤ちゃんの形成異常が原因でディスタヴァルの販売が停止となっていた。睡眠薬としても処方されていたその薬は数多くの妊婦が服用していた。ターナー医師らは急いで処方した薬を回収しに向かう。妊娠9か月のノエルは恋人ミッチェルと婚約中。ポプラーで式を挙げる予定もしていた。膨らんだお腹に合うサイズのドレスはなかったが、エヴァンジェリーナのドレスをお下がりとして頂くのであった…(C)CTM 5 Productions Ltd 2016
ネタバレ感想
1950年代を舞台に始まったシーズン1でしたが、シーズン5最終話時点で1961年の出来事だそうです。
かつてシスター達は着衣式でウェディングドレスを着るという風習があったのですね。
『キリストのものになる』という意味合いがあるそうですが、女性なら神の道へ入ろうとも純白のドレスに対する憧れの気持ちも持っている人も多そうですし、どんな形であれ機会があるというのは嬉しいものだったりするのでしょうか?
修道院本部の屋根裏部屋の大掃除があったらしく、ノンナートゥス・ハウスには大量の荷物が送られて来ます。
その中にはシスター達それぞれの私物があり、各々の着たウェディングドレスも入っていました。
左手が動かないので助産婦業や新生児を扱う仕事はしないと言い張っていたエヴァンジェリーナに助けを求めて連れ出したのはバーバラ。
現場に出ればやむを得ず沐浴を担当する事にもなるのですが、なんだかんだとこれまで長年やりがいを持って続けてきたこの仕事はエヴァンジェリーナを自然と笑顔に生き生きとさせてくれるものなのです。
バーバラとエヴァンジェリーナの師弟関係はしっくりくるものがありましたし、この調子で出来る範囲の業務に戻れればいいなー…なんて考えていた矢先に、シスター・エヴァンジェリーナはとても静かに、眠るような安らかさで暖をとりながら逝ってしまいました。
ターナー医師によれば2回目の発作が起きたのだろうとの事。
突然死だから検死官に報告する義務がある訳ですが、ターナー医師が以前の発作の事を持ち出し話をつけてくれたおかげで検死で身体を傷付けられるという事だけは避けられそうです。
それにしても突然の出来事で、ようやく戻ってきてくれたと思ったのに…と悔しさすら感じました。
町中の人々が世話になったシスターを弔いたいという思いでいる事も、葬儀社の男性がかつてエヴァンジェリーナに受けた恩を返したいと葬儀に関する全てを無料で取り仕切らせて欲しいと申し出た事も、全てがシスター・エヴァンジェリーナの人柄や行動の結果で、善い人だったよなぁ…と改めて感じさせられます。
ヴァイオレットの親戚〈テッシー〉が、息子〈ミッチェル〉を連れて仕立て屋に来ていますが、どうやら結婚が決まったミッチェルのお相手でオーストラリアから来るという〈ノエル〉は既に臨月という状況のようです。
到着したノエルの往診に行ったシンシアは、彼女が大きなお腹に合うウェディングドレスがなく、どこの仕立て屋も忙しそうで普通のドレスを用意さぜるを得なかった事を気にしている事を知り、エヴァンジェリーナの声を聞いたとジュリエンヌに話します。
この時のシンシアとジュリエンヌのやりとりが泣かせますなぁ。確かにエヴァンジェリーナなら、自分の大きなドレスを悩める新婦にあげてしまってと言うでしょうね。
エヴァンジェリーナが言いそうなセリフに笑うジュリエンヌ、笑いながら泣いてしまうあたりもリアルです。
エヴァンジェリーナのドレスを借りたノエルが、挙式を終わらせパーティーの最中に産気づいてしまい、純白のドレスのままで赤ん坊を産んだというのもこれまた紡いでいっている感がある良いハプニングでした。
形成異常で産まれたスーザンは順調に成長しているようですが、母親の心労は相当なもので、検診時につい感極まって泣いてしまったローダに弱めの睡眠薬『ディスタヴァル』が処方されます。
しかしそれから程なくして、ディスタヴァルが赤ちゃんの形成異常との関連が疑われているとして販売停止になったとの通達が。
出ました、サリドマイドです。ディスタヴァルに含まれるサリドマイドの胎児への有害性が示唆される医学紙への投稿も見つけますが、これまで多くの妊婦にディスタヴァルを処方してきたターナー医師としては、いくらこれまで合法で有効な薬として扱われていたとは言え、とんでもなくショッキングで信じ難い話でしょう。
自身の処方薬によってスーザンのような形成異常の子がこの地域で多く生まれただなんて、自分がターナー医師の立場なら立ち直れそうにありません。
パッツィーとナース・クレインも手伝ってカルテの洗い直しが始まりますが、記録には無くても妊娠初期のバッチリなタイミングで形成異常の子を生んだ母親達がサリドマイドを含む薬を飲んでいた可能性が浮上してきました。
かなり重ためなエピソードで、ラストシーンも葬儀で終わるという物悲しさはあるものの、どこか穏やかな重さなのはやはり荘厳な葬儀そのものがいかにシスター・エヴァンジェリーナが愛されていた人物だったかという証明にも繋がっていて、天寿を全うするような最期だったからかもしれません。
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