エピソード2『入れ替わり』“Transpose”
あらすじ
十代の少年２人が森であるものを見つけたことで、 普段通りの生活から逸脱することになる。
ネタバレ感想
基本的に1話完結でテーマがあるみたいですが、今回のメインキャラクターは1話で出て来たコールの兄ジェイコブでそういった繋がりはあるみたいです。
いかにもな悩める思春期の少年で、弟の面倒見も良く心優しいけれどコンプレックスが大きそうなジェイコブ。
友達〈ダニー〉は卒業後の秋からループで働くことが当たり前のように決まっていて、ジェイコブ自身も祖父がループの責任者なのでレールは敷かれているようなものですが、当のジェイコブは自分が何をしたいか分からず悶々とした思いを抱えている様子。
ハッパを吸ってハイになったまま森の中を彷徨う二人は、船の機雷のような球状の鉄塊を見つけます。
扉を開けて覗くと中は空ですが、ジェイコブが入ると画面は暗転。鉄塊の外には倒れているダニーが映りますが、その中身はジェイコブで、鉄塊の中から出て来たジェイコブの姿をしている方がダニーに入れ替わってしまいました。
しかし、もう一度入ってみると案外簡単に二人は元に戻り、ダニーの提案で1日限定で入れ替わって過ごす事になります。
最初は不安が大きかったものの、身体能力や容姿はそっくり人気者の友人のものに変わり、いい思いも出来たジェイコブ。
ダニーの家に帰ると自分を息子と信じて疑わないダニーの母親から「ループで働きたくてもあんたの成績じゃ難しい、ジェイコブとあんたは違うんだから現実的になって採石場で働くのも悪くないわ」と就職話をせっつかれます。
ループに就職が決まっていると話していたのはダニーの見栄で、ただただ羨ましい面ばかりだと思っていた友人の意外な現実を知る事に。
ダニーは二人ともがジェイコブの姿になる夢を見ますが、そんな夢を見てもなお「もう1日くらい戻らなくても変わらないだろ」と入れ替わり続行を希望。
狙っていた〈メイ〉と、本来の自分の姿をしたダニーがキスしているのを遠目で見てしまい荒れるジェイコブ。
「今すぐ自分に戻りたい」とダニーの元へ行きますが、「俺は嫌だ」と断られてしまいます。どうしてもループで働きたいと考えるダニーは手っ取り早くコネ入社できるジェイコブの姿を借り続けて別の人生を歩もうと企んだわけです。
入れ替わりのテーマでどちらかが相手の人生を乗っ取ろうとするとはありがちですが、当初別人になりたいと望みそうだったのはジェイコブの方なのに、蓋を開けてみれば自分の人生が恵まれており悪くないものだったと分かり、分かった時には逆に友人から裏切られてしまうという皮肉。
やり切れない気持ちを抱えたまま一人森の中の鉄塊があった場所に行ったジェイコブは、それ以来姿を消してしまいます。
ジェイコブが居なくなってしばらくして罪悪感に駆られたダニーは、森の中に捜しに行った先でジェイコブを見つけますが、息はあるものの意識のない状態。
病院に運び込まれ、本来の自分の親が昏睡状態に陥ったままの息子を前に酷く動揺している様子を見ても「僕は分かりません…」と答えるしかありません。
もう一度森へ戻ると、ジェイコブを見つけた際に助けを呼んだ事もあって既に鉄塊は業者の手で解体作業が進められている真っ最中でまさに取り返しのつかない状況に。
ナーバスになりながらもジェイコブとして「ループで働こうかなと思ってる」と両親に伝えるダニー。
その夜、かつて見た夢と同じ状況で、しかし相手の姿はロボットに変わっているジェイコブが現れます。
入れ替わる相手が森の中に居たロボットになってしまったという事か…そのままロボットはその場を走り去ってしまいますが、なんと後味の悪い締めでしょう。このゾッとする感じ、たまりません。ハッピーエンドしか見たくない方には絶対にお勧め出来ないエピソードですが、個人的にはかなり好きな話でした。
友人の人生を乗っ取る事になったダニーのこの先を考えると眩暈がしそうです。
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