エピソード17『ザ・トレイン』“The Train”
あらすじ
ピアソン家の人々はレベッカのベッドの傍らに集まる。
ネタバレ感想
レベッカがもう長くないと連絡を受けて続々と山荘に集まってくるピアソン家に関わりの深い人々。
研修医をしているらしいデジャがランダルにそっと妊娠の報告をするシーンは良かった。
それにしても成長したデジャ役の女優さんは喋り方や仕草がデジャそのもので、天性のものでも凄いのですが、演技で寄せているのだとすればかなりの研究を要しただろうなぁ…。
ランダルも公認の仲のデジャの相手はマリクではなく、家族が乗った車が横転事故に遭う冒頭のシーンで出てきた末っ子の〈マーカス・ブルックス〉なのですかね?
あの世へ向かいつつあるレベッカを、夢の中で列車に乗ってゆったりと進んでいくように例えているのが洒落ています。
最初に登場したのがウィリアムだったのは意外でしたが、「人を待っているの」と言い続けるレベッカが待つ迎えはジャックなのかミゲルなのか。
正直ここまでの歴史を見てくればどうしても、この時くらいはようやく再会が叶うジャックであって欲しいという気持ちが強いです。
レベッカの容態が変わってきて、翌朝に到着するケイトが間に合わないかという段階にまで入ってきてしまい、大勢集まった親族達はそれぞれ時間をとって順番に別れの挨拶をしにいく事に。
未だ列車に乗っているレベッカがウィリアムに促されて車両を移った先にはベスの姿もあり、現実で最初に別れの挨拶へ進んだベスとリンクしています。
病床のレベッカに語り掛けるベスの声が、レベッカには列車内のスピーカーを通して聞こえてきており、朦朧としているであろうレベッカにもしっかりお別れの声が届いているという演出。
レベッカとの別れを惜しむ声に、どれほど偉大な母親だったかを再認識させられます。
ついに皆のお別れが済み、最期を看取るランダルとケヴィンがレベッカの側へ。
デジャから妊娠の報告を受けて駆け付けてきたのはマリクで、あの後も変わらず運命が2人を引き寄せたのだなぁ…と納得。
それではマーカスはと言うと、あの横転事故での手術の待合中に火事で家を亡くし怪我の手当てを受けていたジャックとマーカスの父親の間にちょっとした会話が。
息子の状態に打ちひしがれる父親にジャックがかけた言葉は、かつて自分も聞かされて力を貰えたレモンの話で、それがこの家族の家訓になっているのですからこれまた凄い繋がりです。
直後にマーカスは蘇生され、急変したジャックは心停止になり死亡という哀しい運命を辿りました。
『暗い瞬間も甘美なものに変えられる』
これがTHIS IS USの全体を通したテーマにもなっているのでしょう。
レベッカが待っていると言い続けていたのはミゲルでもジャックでもなくケイトの事で、ケイトの到着を待つかのように朝まで持ち堪えた後に車掌室へと足を踏み入れます。
3人の子供達に声を掛けられ列車の中のレベッカにも悲しさが込み上げてきた様子。そんなレベッカにウィリアムがかける言葉がいつもながら深い。
「終わった時に悲しい気持ちになるなら素晴らしい経験だったってことさ、実を言うと思ってたんだ…この世界を悲しい場所だと思うのは少し怠惰じゃないかと。
だってすべては終わり、全ては死ぬ。
でも一歩下がって全体を見たら?
勇気を出して自ら踏み出し広い視野を持てたなら?
それができれば終わりは悲しいことじゃないと分かる
次の信じられないほど美しいものの始まりなんだ
君の息子のヘタな絵に似てる」
あの時、あの病院で、ジャックとは反対に奇跡の生還を遂げたマーカスこそが、後にアルツハイマー治療薬を開発する博士となり、その薬が長年レベッカを助けていた、と。
とうとうレベッカが行き着いた先には、隣でレベッカを見つめるあの頃と変わらないジャックの姿が。
これはもう…最終話でも良いレベルの仕上がりのエピソードを持ってこられました。
泣けるのにどこか本来のあるべき姿に戻ったかのようなスッキリ感もあり、悲しみと喜びが共存しているようなフワフワした感覚になります。
とても悲しいのは確かでも、しっかり最後まで見届けたい。こんな最期を迎えられる人生は現実にあるものなのでしょうか。
とうとうレベッカが亡くなってしまい、ラスト1話で遺されたビッグ・スリーは何を思い何を話すのでしょう。
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▼次回、エピソード18