エピソード1『星へ』“To the Stars”
あらすじ
老夫婦のアイリーンとフランクリン・ヨークには秘密がある。それは荒涼とした奇妙な惑星に通じる裏庭に埋もれた地下室だ。しかし、ある驚くべき発見により、夫婦は地下室についての認識を改めることになる。
ネタバレ感想
若かりし日にビリヤードバーで出会った〈フランクリン〉と〈アイリーン〉の老夫婦が主役の物語。
「今夜星を見に行かない?」と提案したアイリーンが夫と向かったのは納屋にある隠された地下室で、なんとこの地下室を進んだ奥にある扉の内側はとある惑星に繋がっているというロマン溢れるSF設定です。
突然無重力空間に放り出されるというような話ではなく、扉の中に入ると一瞬のうちに宇宙空間に繋がって再度扉を出れば惑星が見渡せる近未来的な一室へ通じているといった感じです。
年老いてもお互いを想い合っている夫婦が長年この秘密を2人きりで共有し、ピクニック気分で現実世界から離れてたびたびこの景色を観に来ているらしく、こりゃロマンチックだ。
しかし、1年ほど前に倒れた経験のあるアイリーンは以前に増してこの空間に執着するようになったようで、妻の肉体だけでなく心境の変化を心配するフランクリン。
856回目にもなる“星”へのトリップは少なからず負担のあるもので、やんわりともう辞めにしようと提案するフランクリンに対し、自分達がこの場所を見つけた謎を解かなければいけないと食い下がったアイリーンでした。
病院では73歳とは思えない健康状態だと指摘されており、やはり度重なるトリップが身体に悪影響を及ぼしているのでしょうか。
そして自身の深刻な症状を夫には隠しているようです。
越してきたばかりの隣人で町議会議員を目指す〈バイロン〉は、「あの夫婦は納屋に何か隠してる」と嗅ぎ回るだけでなく、2人が深夜に徘徊していたと大学生の孫娘〈デニース〉のSNSを探してメッセージまで送り付けている始末。
妻の〈ジニーン〉に嗜められながらも詮索を辞めようとせず、ついには夜中に納屋へ不法侵入までしています。
死が現実的なものになり、2人だけの秘密を手放す必要性を感じ始めている夫婦が残された余生を仲睦まじく過ごしている様子はグッとくるものがありました。
死を待つだけの日々を心底恐れたアイリーンは、フランクリンに手紙を残して自ら命を絶とうと深夜に一人、地下室へと向かいトリップをするのですが、「一度ネズミを出したらすぐに死んだ」らしい扉を開こうとした瞬間、背後から息も絶え絶えに倒れながらうめく謎の男の姿が。
年老いてガタが出始めている老夫婦の日常をベースとしているからか、どこか物悲しさが付き纏い、死に向かっていく残酷な現実を突きつけられながらもお互いを必要としている唯一無二の関係性には穏やかな切なさを感じます。
映像がかなり綺麗な事や繊細な音楽が、『死生観』という一つのテーマをより際立たせているようでした。
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