エピソード5『砕け散った心』“FRACTURE”
あらすじ
不動産会社に宅配便で届いた小包が爆発し、死傷者が出た。不動産会社の社長が奴隷制への補償金支持を表明し、白人至上主義グループからネットで叩かれていたためヘイトクライムではないかと思われた。
ネタバレ感想
虎視眈々とTLIの参加枠を狙うクリスは、人間味あふれる駆け引きまで使い始めました。
仲間を蹴落としてでも勝つというスタイルは負けず嫌いで人一倍成果をアピールせねばならないマイノリティ枠にいるクリスらしいとも思う反面、面倒見の良い正義感溢れる男前な性格のクリスも嘘をついてライバルを油断させようと画策するのか……と意外な気もします。
まだまだ人種間の対立が根深く残る警察と黒人の溝は根本的には一向に変わらず、黒人警官の応募率が下がっている事からも、リンチはホンドーに『警察の顔』として、市警の評判を上げる手伝いをして欲しいと頼みます。
思惑渦巻くキャンペーンの広告塔と言ったところで、いかにもホンドーが嫌がりそうな話で、案の定2人はぶつかり、市長の推す案に対して「俺はマスコットにはならない」と一刀両断したホンドーでした。
奴隷制への補償金支持をしている〈ゲイツ〉が社長を務める会社に配達された小包みが爆発し、2人が死亡する悲惨な事故が起こります。
爆発物処理の〈デイヴィス〉によれば、恐らくパイプ爆弾で、大量の釘が詰まっていたものが開封と同時に爆発したのだとか。大量殺戮を狙ったもので、作りが雑なので素人がネットで調べて作ったものだと推測されます。
リンチがここ数ヶ月、白人至上主義グループの監視で組んでいたという、FBIの〈カー捜査官〉からも情報提供があり、ゲイツ社長の補償金支持の件に対するヘイトクライムではないかとのこと。
“帝国の公爵”なる新たな過激派グループが怪しいようです。
監視カメラ映像を辿って小包みの出どころを調べてみると、最初に小包みを持って車から降りてきた男が見つかりました。
車の持ち主は〈ロナルド・クーガン〉で、息子の〈ハリー〉は工学を専攻する大学生。
令状を取って自宅へ突入したところ、ハリーは黒人の恋人とのツーショット写真を部屋に貼っており、差別主義者かどうかで言えば、完全なシロ。
確かに小包みを持ち込んだのはハリーでしたが、アプリで雑用代行の小遣い稼ぎをしているらしく、2日前にパニクった男から、いくつかの小包みを送るよう依頼を受けていただけで中身は麻薬か何かだろうと考えていたようです。
それよりも持ち込まれた小包みが1つではなかったと分かり絶望感が出てきました。
別の営業所から発送された小包みの追跡番号から、宛先が弁護士の〈ブラウン〉だと分かり急行するタンとホンドー。
車椅子の息子〈ジャック〉が今にも開封しようとしている場面に出くわし、パニックを起こさせないよう注意しながらゆっくりと床に小包みを置かせるのですが、とりあえずホンドーが受け取ってから置くのではダメなのでしょうか?
お馴染みの爆発物専用ロボがやってきて、安全に処理が完了。GANTZ味がある爆弾処理車両はなかなかロマンがあります。
ネット上の書き込みを精査していくと、“帝国の公爵”は関係がなく、ヘイトクライムですらないという可能性が出てきました。
ゲイツの会社の留守電に入った公衆電話からのメッセージに、明らかにパニック状態の男が被害妄想的かつ、支離滅裂な言葉を残しており、「俺の電話を盗聴して奴らを送ったんだろ、お前やブラウン、他の連中の計画は知ってる!やめないと後悔するぞ!」と。
ブラウンの名前も出ているし、ハリーも「パニクった男から依頼を受けた」と証言しているしで、この統合失調症風な男が小包みの送り主で間違いなさそう。
「他の連中」にあたる、次の被害者を何とか先回りして見つけねばなりません。
マスターガンナー検定は難易度の高いゲームのようなシミュレーションで、既に3年連続1位の〈スティーブンス〉と技術面で上だと認めるタンが検定を終えた中では暫定1位に躍り出たクリス。
父親も精神を病んでいたというタンは、留守電メッセージに残されたパニック状態の男の声を聞いて色々と思うところがあったよう。
ショックを受けて前日には眠れなかったらしく、コンディションが悪い状態での思わしくない検定結果だったそうで、これを知ってしまうとクリスの暫定1位を素直に喜べなくなってしまいます。
爆弾の破片に残っていた指紋から〈チャールズ・ピアース〉が割れて、入手した医療記録にはやはり精神科の通院歴が。
弟の〈レオ〉と、その妻〈ブレンダ〉と同居していて、唯一の肉親であるレオは病気で死亡。
ブレンダによれば、元々陽気だったチャーリーは、24歳の誕生日の後3日間音信不通となり、それ以降幻聴や幻覚に悩まされるようになって仕事も無くしたそうです。
ブレンダが持ち込んだチャーリーの私物からプリペイド携帯の番号が分かり、一瞬電源が入ったタイミングで彼の隠れ家が判明。
日頃目にする広告看板にデカデカと載るゲイツやブラウンを見て、彼らに監視されていると妄想を募らせていたようです。
ゴミ箱の中には車修理屋のチラシが捨てられており、ゲイツやブラウンにしてあったように顔にバツ印がつけられています。
雑用代行を頼まれるも小包みの中身を怪しんだところ、依頼者がそれを奪って逃げたという通報が入り、今回は自ら小包みを運ぶ可能性の高いチャーリーが配達を終えてしまう前に現場へ急行。
タンとジムがチャーリーを発見するも、こちらの存在がバレてパニックになったチャーリーは飲食店の裏へ逃げて、従業員の女性を人質にとってしまいました。
タンの説得でチャーリーが小包みを置いて隙を見せた瞬間に、ホンドーはデイヴィスから借りてきたジェット水鉄砲で爆弾を無力化。
事件は収束したものの、犯人にもかなり同情する部分があり、勧善懲悪とはいかない事件でした。弟の事が好きだったんだろうなぁ……やるせない。
マスコットにはならない代わりに『本気のリクルート説明会を開く』という解決策を提案したホンドー。それで何かが変わるのか、難しいところではあるのでしょうが、敢えて内情を晒せばそれはそれで、決意の固い人材が手に入るかもしれません。
検定の結果が出て、今回のマスターガンナーの座に輝いたのは、ジム・ストリート。
クリスの悔しそうな顔は何とも言えませんが、やはり実力主義の世界ではこういった切磋琢磨が不可欠なのでしょう。
母親に悩まされ一時はSWATからも追い出された弟分が今では仕事も恋愛も絶好調なのに対し、自分は30代でおじ宅に居候の身で検定にも負けるというのは、立場が逆転して追い越された気分だと話すクリスの悩み……恐ろしいほどにリアリティがあります。
練習に付き合ってくれていたエリカからジムのことを聞かれて、好きだったし両想いだったけれど仕事を取ったと告白するクリス。
えらくサラッとジムのことを恋愛対象として見ていたことをカミングアウトしてくれました。言葉で聞くのはこれが初めてですよね?
恋愛のことはダメでも、家の件なら助け合えるということで、エリカはルームシェアを提案し、またとない話に久しぶりの笑顔が戻ったクリスでした。
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