エピソード7 “The Kembleford Boggart”
あらすじ
毎年夏に、ケンブルフォードに逗留する一族を異教徒と嫌うモクスリー。モクスリーは小説家である娘のハナを溺愛し、朗読会に参加するハナの付き添いをブラウン神父に頼む。朗読会は大盛況。ハナはそこで、ハナの小説の大ファンだというジャーナリストのハリーと出会う。朗読会の後、ハナとハリーを見失ったブラウン神父は、慌ててモクスリーの屋敷に向かうが、そこでモクスリーの刺殺死体を発見する。
ネタバレ感想
毎夏恒例のケンブルフォードへの訪問者〈アギー〉を歓迎するブラウン神父。
教会の聖杯が盗まれた件で、アギー達を放浪者だと嫌う〈ジェレマイア・モクスリー〉がアギーの息子〈アルフォンス〉を目撃したと証言し、バッチバチの睨み合いに。
「薄汚い異教徒め」と罵る方も、銃を持ち出し「次にうろついたら棺おけで運び出すぜ」という方も、どっちもどっちな過激な対立です。
モクスリーは、小説家をしている娘の〈ハナ〉を溺愛しており、その箱入りっぷりは成人女性相手には過保護なぐらい。
新作の朗読会の場にも、ブラウン神父を見張り役として付き添わせたり、帰る時間も細かく指示したりと、束縛具合はなかなかヘビー。
自分の収入すら父親が管理しているというのは度が過ぎているとハナ自身も不満に感じているようです。
朗読会が始まる直前に、ハナの小説のファンだというジャーナリスト〈ハリー・グランディジ〉をフェリシアから紹介され、思わぬロマンスの予感が。
盛況に終わり、約束の時間通りにハナを連れ帰るはずが彼女の姿はどこにも見えず、ブラウン神父はマッカーシー夫人と近道をして家に着く前に彼女と合流しようということに。
しかし、モクスリー宅では玄関扉が開け放たれており、内側から鍵が挿しっぱなしになって閉まっていた屋根裏部屋で、ペーパーナイフで刺されて血を流して倒れているモクスリー氏を発見。
部屋は荒れており、床の傷と部屋中に舞い上がった煤が目につきます。
その光景はまるで、先ほどの朗読会で読まれた新作小説に出てくる小鬼の仕業のよう。
マッカーシー夫人の糾弾により、事件当日の朝にモクスリーを脅していたアルフォンスは容疑者として逮捕されてしまいました。
アルフォンスが滞在するキャラバンの家宅捜査では、モクスリー氏が殺されていた部屋に落ちていたアクセサリーの片割れが出てきます。
更に、屋根裏部屋のドアの指紋とアルフォンスの指紋も一致。証拠が揃ってサリバン警部補は起訴する気まんまんです。
小説を再現したかのような事件現場について、逆にこの状況が日常的なもので、小説の内容が想像ではなく写実だったとすれば……と思いついたブラウン神父は殺人現場に忍び込んで隠し扉を見つけ出しました。
建て付けが悪く、開くたびに床に傷をつけていた扉の先にはなんと子供部屋が。
ハナには隠し子が居て、祖父にあたるモクスリー氏に幽閉されていたのです。
そうまでして事実を隠蔽したいほどに、娘の相手として、孫の父親として、認めたくなかったのは放浪者のアルフォンスで、駆け落ちを計画していたハナは、父親が財産を管理していたからせめて手元にある宝石を持っていくようアルフォンスに託していただけ。
孫を幽閉するような男ですから、娘宛にきたファンレターを読んで勝手に返事を出してしまっていてももう驚きません。
ベルギーからたびたび手紙を出して、文通関係になっていると思っていたグランディジでしたが、朗読会で会ってみて彼女が自分を知らない事や、サインを貰った時に筆跡が違う事で初めて返事を書いていたのがハナではなかったと気付いたのです。
求婚するためにわざわざベルギーからやってきてのこの仕打ちに裏切りを感じ、言い争っている最中には幽閉された赤ん坊が泣き出し、更にカオスに。ハナに成りすまして返事をする事で、娘に相応しい男かどうか値踏みしていたモクスリー氏は、お眼鏡にかなった相手を失うわけにはいくまいと今にも出ていきそうなグランディジに襲いかかり、手に取ったナイフで逆に刺されて死亡。まぁ、正当防衛か。
そして父親を亡くしたハナの孤独を利用して信頼を得ると、一緒に町を出るよう仕向けていました。最後の最後でハナを騙すような行為に走らなければ彼もただの被害者で終われたというのに……。
ブラウン神父から自首を勧められたグランディジは警察に向かい、無実のアルフォンスは釈放。
こうしてハナはようやく自由になれたのでした。
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▼次回、エピソード8