エピソード6 “The Rod of Asclepius”
あらすじ
レディ・フェリシアとマッカーシー夫人が事故に遭い、病院に搬送される。入院中、サー・マルコム・ブライトウェイトや看護師を見て「ウェストン夫妻…」とつぶやいた患者が麻酔中に死亡する。さらに、患者の死を疑問視していた看護師も殺害される。レディ・フェリシアとマッカーシー夫人は真相に気付くが…。
ネタバレ感想
誰もがミスリードだなぁ、と分かりながら始まるこの感じ、コミカルで嫌いじゃないです。
夫から新車を贈られた初日に、道端で拾ったマッカーシー夫人を助手席に乗せながら大事故を起こしたレディ・フェリシア。
2人は救急車で“セント・ルーク病院”へ運ばれる車内でも血を流しながら言い争いをしているぐらいには元気そう。
伯爵夫人が運び込まれたとあって、看護師長は大慌てで外科医長の〈サー・マルコム医師〉を呼びに行かせます。
ロンドンの私立病院で手術を受けたいから手配してくれと頼むフェリシアさんに対し、マルコムは国民保険サービスの支援者であるレディ・フェリシアがこの病院で手術を受ける事で公的医療機関への信頼を国民に示して欲しいと温厚ながらもキッパリ。
新任の麻酔科医〈フェアファックス先生〉は別名“セクシー先生”の異名を持つ遊び人らしく、フェリシアさんとマッカーシー夫人がメロメロになるのが今から想像できます(笑)
サー・マルコムは知り合いのフェリシアさんにこそ穏やかに接しておりましたが、看護師や患者に対してかなり嫌な感じの高飛車男です。
ハシゴから転落して運ばれた〈ギャリティ夫人〉に関する報告がなされると、忙しい自分には軽度な骨折よりもっと重要な仕事がある、と本人を前にして言い放つデリカシーの無さ。
そんなマルコムを見て、ギャリティ夫人が朦朧としながら「また会うなんて、ウェストン夫妻……」と呟くと、一転翌朝一番の手術を決めるマルコム。
しかし、手術前の麻酔の段階で亡くなってしまったギャリティ夫人。
マロリー警部補は、審査があるゴルフクラブ“R&A”に入りたいがために、サー・マルコムにコネを作ろうと張り切って不審死を調べに病院を訪ねています。動機が不純なだけあって、大した取調べもなく納得しておりましたが。
若手看護師の〈フレッチャー〉が「ギャリティ夫人の死因に見当がついたの、殺されたのよ」と先輩の〈ハニーウェル看護師〉に話し、「証拠を見つけて通報する」と鼻息を荒くしています。ハニーウェル看護師の他にも、その場にはフェアファックス先生、看護師長、マルコム医師、そして物陰で盗み聞きしてしまったマッカーシー夫人の姿が。
そして、知り過ぎてしまったフレッチャー看護師は何者かにメスで刺されて殺され、手術室のキャビネットの中に隠されていた遺体とのご対面と同時に麻酔で落ちて行くフェリシアさん(笑)
マッカーシー夫人の代理として教区会から派遣されてきた〈スティール夫人〉は、かなり厳格で融通が効かないタイプ。
もちろん、ブラウン神父の首突っ込み癖をよくは思っておらず、聖職者としての日々の責務を全うするまでは外に出さんという勢いで監視の目を厳しくされていましたが、レディ・フェリシアから看護師が殺されたので病院に来てくれという言付けを預かってきたシドは裏口へ回り、呼応するように抜け出してくるブラウン神父。いや、ほんとに仕事しろ(笑)
何か知っていそうだったハニーウェル看護師に、友人を亡くした辛さがあるだろうからいつでも教会に来たら良いと誘い、事の顛末や、ギャリティ夫人が転院してきた日の発言などを聞き出します。
病院のベッドの中のマッカーシー夫人は、フェリシアさんの怪しい瞑想のおかげ?か、盗み聞きしていた際にフレッチャー看護師が「中庭の向こうから走ってきた」と話していた事、彼女が持ってきたファイルは引き出しの中にしまわれていたことを思い出しました。
突如妻に先立たれる事になったギャリティ氏を訪ねたブラウン神父は、“ウェストン夫妻”に聞き覚えはないかと訊ね、かつて旅先で出会った若い男女に結婚の証人を頼まれるというロマンチックな体験をした夫人が、休暇で行った“ウェストンスーパーメア”にちなんでそう呼んでいたのだと聞かされ、その時の写真を見せてもらいます。
殺される前、フレッチャー看護師が居たであろう洗濯室に忍び込んで手掛かりを探しているフェリシアさんと、ブラウン神父に言付けてくれるよう殺人事件に関する重要な話があると電話口のスティール夫人に伝えていたマッカーシー夫人。
マッカーシー夫人のこの発言は犯人に聞かれており、1人きりの間に急遽手術が前倒しになったと薬を飲まされストレッチャーで運ばれていきます。
“ウェストン夫妻”の写真を見て全てを悟り、慌てて駆けつけてきたブラウン神父とシドは、洗濯室から証拠を持って帰ってきたフェリシアさんと落ち合うも、マッカーシー夫人の姿がない事に気が付き、大急ぎで手術室へ。
そこでは、ギャリティ夫人死亡時と全く同じ状況が繰り広げられており、突然踏み入って「酸素を切りなさい!」と怒鳴り付けるフェリシアさん。
洗濯室から見つけてきた、清潔なはずの手術室用の白衣にはペンキが付いていて、フレッチャー看護師は二酸化炭素のボンベにペンキを塗って酸素ボンベに見せかけていたというトリックを確かめようとしていました。
その白衣はフェアファックス先生のものですが、犯人は彼ではありません。
旅の踊り子と1ヶ月半で別れるも、離婚手続きをしておらず、その後妻にした女性がカトリックで離婚者を夫には出来ないため独身だと偽っていたサー・マルコム。
重婚の発覚を恐れるあまり、患者を殺してしまうという暴挙。とんでもない医者です。
更にレディ・フェリシアを人質に取って逃げ出そうとするも、ちょうどフェアファックス先生を訪ねるため来ていたマロリー警部補と巡査部長に助けを求め、マルコムはその場で逮捕されました。
怪しげに見えた看護師長は、薬品棚のペチジンを盗んでは自分に使っていた薬物依存を隠そうとしていたからで、彼女はハニーウェル看護師の勧めで更生プログラムを受けることに。
神の赦しなど気にしないレディ・フェリシアの、内に秘めた孤独や葛藤はグッとくるものがありました。
無事に退院したマッカーシー夫人が完治するまで居座る気満々だったスティール夫人に対して、名乗りをあげたフェリシアは「あなたに務まるような仕事じゃない」と金持ちの道楽だと言わんばかりに小馬鹿にされたところへ「戦時中国防省にいたの、1分に60語タイプできるわ」とバッタリでやり込めたのは流石でした。逞しくて美しい、それがレディ・フェリシアです。
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