エピソード4 “The Angel of Mercy”
あらすじ
ケンブルフォードで病に侵された3人の人物が死に、部屋には白い羽根が落ちていた。果たして本当に天使が迎えにきたのか?誰かが殺し、わざと羽根を置いたのか?一方、訪れていた高齢者ホームで、かつての乳母エレンと再会したバンティは喜ぶが、彼女もまた病に侵されていた。白い羽の天使はエレンの元にも現れるのか…事件は意外な方向へ。
ネタバレ感想
“パウダーハム・ハウス高齢者ホーム”に入所中の〈フリーダ〉は、あまりの苦しさから見舞いに来ていたマッカーシー夫人に枕を手渡し、これで息の根を止めてくれと懇願します。
慌ててブラウン神父を呼びに行ったマッカーシー夫人。今回はバンティだけでなく、もう1人付き添いが。
シスターからの頼みで2ヶ月間ブラウン神父が預かる事になった若い女性〈ケイトリン〉は来て2週間で既に気遣いや有能さを発揮していて、自分のポストが奪われかねないマッカーシー夫人からは目の敵にされそうです(笑)
付き添いで来ていたバンティは待合室で暇そうでしたが、かつて自分の“ばあや”だった〈エレン・ジェニングス〉がホームの入居者だったらしく、偶然の再会となりました。
皆で揃ってホームの庭を散歩していると、1年前、父親が亡くなった際に町を出て行ってしまったフリーダの息子〈セス〉の姿があり、看護師と何やら言い争っている様子。
その後間もなく、看護師長からフリーダが亡くなったと連絡を受けて、すぐにホームへ。
就寝中に亡くなったというフリーダの遺体からはゴムと消毒剤の臭いがして、ケイトリンはベッド脇には白いハトの羽根が落ちているのを見つけます。
違和感を覚えたブラウン神父は警察を呼び検視を求めましたが、マロリー警部補は自然死で間違いないと取り合いません。いつもの事です。
セスは母親の恋人〈チャーリー・クルター〉を嫌っていて、かなり険悪なムードなのを見てしまったブラウン神父達。
父親が死んだのはチャーリーの存在のせいだと考えているセスは、町を出てから母親に「死ねばいいのに」といった手紙まで送っていたとか。
マッカーシー夫人から噂話を聞いたブラウン神父は翌朝セスを訪ねます。
3ヶ月前、フリーダは『家と財産の大部分をチャーリーに遺贈する』と遺言を変更していて、それを知ったセスは怒ったでしょうが、かなり金に困った生活をしている様子だったチャーリーの事も気にかかっているブラウン神父。
セスの家からチャーリーの家へはしごしてみると、自室のベッドで眠るように亡くなっているチャーリーと、ベッドの下には白い羽根が。
さすがにここまで2人の人間の死の状況が酷似しているとなるとマロリー警部補も話が変わったと認め、他殺の線でも捜査してくれる事になりました。
2人とも無傷で全く抵抗の痕跡がなく、ゴムと消毒剤の臭いはガスマスク特有のものだと思い出したブラウン神父は、死因はガスだと話しています。
警察はチャーリーと口論があったという目撃情報でセスを連行してきており、アリバイがない上に、母親宛の手紙や2人を恨む動機があった事から息子が犯人だとほとんど決めてかかっております。
セスの言い分は、金に困っていたチャーリーが、遺言を変えられないように母親を殺したと思い込んで白状させに行ったところ、そうではないことが分かった、と。なにやら曖昧な表現です。
ブラウン神父は、ガスで殺されたとして2人が抵抗しなかったのは何故なのかと疑問に思うバンティに対し、2人とも同意の上だったという可能性を示しました。
マッカーシー夫人に殺してくれと頼むほどの苦痛を味わっていたフリーダ。チャーリーもまた自宅にあった薬から察するにガンを患っていて、2人とも痛みと戦いながら先が短い事も分かっており、自殺の汚名を避けるために痕跡の残らないガスを使ったのです。
問題は、チャーリーの死の手助けをしたのは誰かという点です。
別件と思われていた、信徒〈アルフレッド〉の死を思い出したブラウン神父は、アルフレッドの妻〈ナンシー〉に故人が亡くなったベッドを見せてもらうとやはりここにも白い羽根が。
3人にガスを渡したであろう人物は、羽根を使って天使のイメージを植え付けようとしたのかもしれません。
被害に遭った3人の共通点に、余命が短いことが挙げられると聞いたバンティは慌ててエレンの様子を見に行きます。
エレンはピンピンしており、何やらケイトリンの相談に乗っていたようです。ミサに行くと嘘をついてどこかへ行っていた何かと怪しいケイトリン。
バンティは冷酷な看護師長が袋に入れられた何かを倉庫へ持って入るのを見ていて、鍵をくすねて中身を確認。
中はガスとガスマスクで、すぐにマロリー警部補に通報するも、証拠は動かされていて出てきたのは肉の塊だけ。配給の一部を隠しておいて、闇市で売る事で資金を工面していたと話した看護師長。犯罪であってもさすがに彼女を罪には問えないと話すマロリー警部補。
犯人が見つかるまでの間、モンテギュー邸でエレンを預かる事に決めたバンティはさっそく彼女を迎えに行きますが、部屋は空っぽで看護師長は勝手に消えてしまったのだと言っていて、バンティが連れ出したと思っているようです。
部屋の中からは白い羽根も見つかり、慌てて司祭館へ戻るバンティ。
ケイトリンの粗探しをしていたマッカーシー夫人は、彼女の日記に『自由とは己の生死を決める権利なのでは?』と書かれているのを見つけています。
タクシー会社に電話して、施設から乗せた客について聞くと、30分前にバースの“コプリー高齢者ホーム”に向かった車が一台あると教えてもらえたので急いでバースへ。
そこにはケイトリンに付き添われたエレンが居て、エレンはバンティから自殺を進める人物が町にいるという話を聞いて施設の移転を決め、ケイトリンに手配を頼んでいただけでした。
エレンの荷物をわざとらしく手を滑らせて地面に落としたブラウン神父。明らかに金属のぶつかる音がします。
彼女は真相を近付いたバンティに邪魔されるのを恐れて逃げたのです。
車椅子生活で足が動かないはずだったエレンは、実は重病だけど歩ける事を隠していました。夜中に階下のフリーダの部屋へ行ったり、それどころか施設を抜け出してチャーリーの家にも行けるレベルでしっかり歩けたのです。
バンティが倉庫へ忍び込むのを窓から見ていたエレンはガスマスクを回収し、大急ぎで自分の部屋を片付ける間に例の羽根を落としてしまっただけ。
本当は歩けるのに歩けないふりをしていたというオチは2度目ですね。
両親がやつれ果てた姿で死んでいくのを見たエレンは信仰を失い、安楽死の手伝いを始めていました。
自首を勧められても、自分は手段を提供しただけであくまでも皆自分の意思でガスを使ったのだと開き直るエレン。自殺幇助には間違いないのですが、罪を認める気などさらさらないエレンはそのままブラウン神父の隙をついてバンティの車で逃亡を謀ります。
手近にあった車に乗り込みあとを追うバンティとブラウン神父。
車を止めて橋の上に立つエレンは、今にも飛び降りようとしていましたが、捨て身で止めたバンティに遮られて結局は警察に自白することになりました。
実は恋人が居たケイトリン。修道院を破門になってここへ送り込まれていたらしく、今回の騒動を受けてやはり恋人と新たに出直すと決意を固められたようです。ミサの間にデートをしていたとはやりますね。
ブラウン神父の童心 (創元推理文庫) [ G・K・チェスタトン ]
▼Amazonプライム・ビデオでも視聴できます。
月額500円でプライム会員になれば、会員特典対象の映画やドラマ、アニメ、Prime Original 作品が見放題。30日間のトライアル期間でお試しも可能。
▼次回、エピソード5