
シンシン SING SING
あらすじ
無実の罪で収監された男、ディヴァインGは、刑務所内更生プログラムである「舞台演劇」のグループに所属し、収監者仲間たちと日々演劇に取り組むことで、わずかながらの生きる希望を見いだしていた。そんなある日、刑務所で一番の悪人として恐れられている男、通称ディヴァイン・アイことクラレンス・マクリンが演劇グループに参加することに。そんな中で演劇グループは、次の公演に向けた新たな演目の準備に取り掛かるが……。
米ニューヨークで最も厳重なセキュリティが施されたシンシン刑務所で行われている収監者更生プログラムの舞台演劇を題材に、無実の罪で収監された男と収監者たちとの友情を描いた実話を映画化。
予告動画
主人公ディヴァインGを演じたコールマン・ドミンゴは、第97回アカデミー主演男優賞にノミネートされ、「ラスティン ワシントンの『あの日』を作った男」に続いて2度目の主演男優賞ノミネートを果たした。そのほかのキャストには、シンシン刑務所の元収監者で、舞台演劇プログラムの卒業生及び関係者である俳優たちが多数参加している。監督は「ザ・ボーダーライン 合衆国国境警備隊」などの作品を手がけてきたグレッグ・クウェダー。
ネタバレ感想
全体を通して良い渋さを感じる作品でした。
主人公が『無実の罪で収監された男』と銘打たれているのですが、そのあたりの詳しい情報を削いで、徹底して演劇を通した更生プログラム“RTA”にスポットが当てられている潔さ。
RTAに欠員が出たことで、新たにギャング出身の受刑者を参加させることになるのですが、これが良くも悪くも新しい風に。
刑務所という常に閉塞感の漂う環境の中で、演技を通じてひとときの開放感を味わう受刑者達がこのプログラムをいかに心の拠り所にしているかが伝わってきます。
閉鎖的で抑圧されているという前提がある中であれやこれやと意見を出し合い真剣に演技と向き合い楽しんでいる様子は微笑ましくもある反面、水面下での苦しみや葛藤が見え隠れする複雑さを感じ、没入感も抜群です。
特に主役を演じたコールマン・ドミンゴの繊細な感情の起伏の表現は凄かった。
主役以外のキャストはほとんどが元収監者のRTA出身者を起用しているというのも驚きです。
セリフの中にYouTubeが出てきたり、今なお収監されている仲間がいるというテロップも出ていたので、比較的最近の話なのでしょうか。
説教臭くなりそうな題材でありながら、登場人物の心境の描写が非常に丁寧で秀逸でした。
仲間の突然の死や、減刑を求める面談云々では報われない現実を突き付けられたりと、負の感情が徐々に限界点に達していく様もかなりリアルです。
そして何より、確かにハッピーエンドなのにただならぬ哀愁が漂うラストシーンもじんわりくるものがありました。
評価(平均点高めの設定です。)
4.1 /5 点!
概要
監督:グレッグ・クウェダー
時間:1時間47分
配給:ギャガ
公開日:2025年4月11日
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