
サブスタンス
あらすじ
50歳の誕生日を迎えた元人気女優のエリザベスは、容姿の衰えによって仕事が減っていくことを気に病み、若さと美しさと完璧な自分が得られるという、「サブスタンス」という違法薬品に手を出すことに。薬品を注射するやいなやエリザベスの背が破け、「スー」という若い自分が現れる。若さと美貌に加え、これまでのエリザベスの経験を持つスーは、いわばエリザベスの上位互換とも言える存在で、たちまちスターダムを駆け上がっていく。エリザベスとスーには、「1週間ごとに入れ替わらなければならない」という絶対的なルールがあったが、スーが次第にルールを破りはじめ……。
バイオレンス映画「REVENGE リベンジ」などを手がけてきたフランスの女性監督コラリー・ファルジャが、「ゴースト ニューヨークの幻」などで1990年代にスター女優として活躍したデミ・ムーアを主演に迎え、若さと美しさに執着した元人気女優の姿を描いた異色のホラーエンタテインメント。
予告動画
2024年・第77回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で脚本賞を受賞。第75回アカデミー賞では作品賞のほか計5部門にノミネートされ、メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞。エリザベス役を怪演したデミ・ムーアはキャリア初となるゴールデングローブ賞の主演女優賞(ミュージカル/コメディ部門)にノミネート&受賞を果たし、アカデミー賞でも主演女優賞にノミネートされた。共演は「哀れなるものたち」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」などの話題作で活躍するマーガレット・クアリー。
ネタバレ感想
てっきり妙齢の美魔女が整形手術に執着しておかしくなっていく話だと思っていたのですが、全然違った話でした。いや、大枠では似たようなものか?
かつて超人気女優だったエリザベスは50歳の誕生日を迎えて番組プロデューサーからクビを切られることとなり、動揺した状態で交通事故を起こしてそこで出会った若くハンサムな医師が彼女のコートに一本の USBを仕込みます。
USBの中身は眉唾物な『サブスタンス』なる薬品の商品説明で、周囲の評価や言葉に過敏になったエリザベスはサブスタンスに手を染めることに。
これがただの痩せ薬ではなく、細胞分裂を促進させて新たな自分の分身を生み出すという奇天烈な効能で、例外なく1週間ごとに母体と分身が交代して生活していく、というルールが。
なんと裂けた背中から産み落とされた分身のスーはとにかく若く綺麗なカリスマ性のある容姿で、エリザベスがクビになった番組のオーディションに合格して一躍スターの座に。
次第にチャンスを逃すまいと1週間のルールを破るようになっていくスーと、その影響でスーに安定化液を吸い出されてエリザベス自身の身体は急激な老化で取り返しのつかない事態になるという大きな代償を支払うことになってしまうのです。
自分の分身が徐々に自分に成り変わっていく、というようなよくあるパターンなのにこれがえらく面白いんですよね。
もっと抽象的で内容のない感じのホラーなのかと思っていたら、わりと分かりやすいしついつい見入ってしまう部分があるのは女優の魅力がなせる技なのでしょうか。
50歳にして相当の美貌とスタイルを維持していたはずのエリザベスが周囲の言葉に振り回された結果、バッドエンドを迎えつつあるというのは、昨今の社会問題にまで発展しているルッキズムを風刺しているのでしょう。
ラストのモンストロ・エリザベス化してからは大晦日特番に乗り込んだり血飛沫あげたりと本当にそれでいいのか?と思うような展開でしたが、若さや美貌を食い物にするテレビマン達の責任のない軽口に対応させているからあれはあれで正解なんですかね。
なかなかにグロいので鑑賞後のゲンナリ感はピカイチなのでもう一度観たいとは思えないのですが、しっかり面白かったです。
評価(平均点高めの設定です。)
4.1 /5 点!
概要
監督:コラリー・ファルジャ
時間:2時間22分
配給:ギャガ
公開日:2025年5月16日