エピソード6『ポーンとキング』“PAWNS & KINGS”
あらすじ
チームと合流を果たしたベンの前には、信じがたい答えが待っていた。秘密任務の世界では明快な答えなどないのだ。レイフはチームを離れることを決め、ベンと対立する。ベンは戦争を止めるためにグレーゾーンを受け入れなければならない。
ネタバレ感想
イライザの遺体を置いていくしかなかったベンとは対照的に、敵だと誤認して拷問の末に殺してしまったドイツの諜報員を教会に運び込み、十字架の前で遺体を綺麗にして弔うレイフ。
ベンは大義のためなら無慈悲な取捨選択もするし悪にも手を染めそうなタイプですが、レイフは根の良い奴さが滲み出ているレイフの方がこの現状に葛藤を強く抱きそう。
ただ、状況的にはどちらもあまりにも辛いものがあります。
ルツェルンに到着したベンは爆発で飛んできた何かの破片?が貫通した太腿を、消毒用アルコールを買ってきて自分で手当て。
とんでもなく痛そうで見ているだけで動悸がしてきます。
ジュネーヴの会合では、イランの核施設について医療および産業目的でのみ稼働が許されている、という前提条件のために、GAEAが監視カメラを設置して監視を強化することに同意するかどうかの確認が行われています。
弟のバヒードが欠席する中、これに同意するも、代わりに「石油の禁輸は緩和されますね?監視を受け入れるのですからそれが道理だ」と釘を刺すことを忘れないサイラス長官。
会合後にバヒードの欠席について探りを入れてきたユセフ大臣に対し、「ハリド・ネットワークが明日ベアリングを届けます」と伝えますが、失敗した場合の責任の取らされ方は穏便にとはいかなさそう。
イライザからの連絡を受けて列車でチューリッヒに到着したタルですが、自動車爆破事件で応戦しているベンと車の傍らに倒れた遺体にモザイクがかかっているニュース映像を見て、既にイライザが殺されてしまったことを悟りました。
再合流地点のドイツ、シュタインに辿り着くベン。
元気そうなモーと相変わらずなランドリー、そしてハバフォードと再会します。
イライザがハメられて殺されてしまっただけに、ハバフォードの顔を見るなり食ってかかる勢いのベンに対し、ハバフォードはこの20年で初めて偽の情報を掴まされた、シェパードはベンが回収してきたベアリングの目当てでハバフォードを利用した、という回答です。
そのまま鵜呑みにはできませんが、ここに遅れてやってきたレイフが「ケースの中のベアリングがモルナーのものと違うのは偽物だからだ。俺たちは逆にイランを助けてた。俺たちが襲撃したのはハリドじゃない、ドイツ連邦情報局だ。彼らも対イラン作戦を実行してた。その証拠がニセの2組のベアリングだ」と、拷問で知り得た情報を明かしました。
トンネルにいた味方を襲うようハメたのは誰なのか、厳しくハバフォードに詰め寄るも、それもイライザを殺したのと同じ人物で、今ここにいるから自分の目で確かめろと言われるではないですか。
そうです、黒幕の“シェパード”ことバヒード・ラヒーミを捕らえていたハバフォード。
実の兄は大物で核開発交渉の責任者で、今の事態はこの男の裏切りによってドイツの作戦をこちらに潰させ、強硬派の大臣が自分を疑い始めていることにビビってクドス部隊を差し向けて関係者全員を消そうとした、というのが真相だそう。
本当にそうなのか?まだそれすらもハバフォードの作り出したシナリオの可能性もあるぞ?としか感じないのですが、メタ的なことを言うと7話完結で残り1話しかないので、このすんなりとした真相が真実なのでしょうか?
既に拷問を受けて血まみれで縛られていたバヒードは、裏切りには目をつむる代わりに『兄弟愛』を利用して兄に取引をまとめるよう動くことを約束させられ、その場でハバフォードから携帯電話を受け取り、兄を騙します。
「ベアリングは手に入れた。ハリドの運び屋が明日飛行場に届ける、明日の午前11時だ。ブツの数も約束どおりだ」
電話を切った直後、結局ハバフォードは裏切りを許さず、約束は反故にして用済みになったバヒードの頭を至近距離で撃ち抜きました。イライザの仇とは言え、ハバフォードが誰よりも悪役顔過ぎるせいか全くスカッとはしません。
「ハリドの運び屋になりすましニセのベアリングを大臣に届けろ。明日、我々の手でイランの策略を終わらせる」とベン達に命じたハバフォード。
レイフの何とも言えない表情が目立っていましたが、やはり「俺は出ていく、お前も一緒に来い」と任務を完遂せずに降りる決意をベンに伝えます。
裏切り者を『処刑』したハバフォードの行動は、軍流の規範で考えても逸脱した暴走でしょうし、罪悪感と不信感に飲み込まれるレイフの気持ちの方がまともそうですが、ベンは足かせがなくモラルよりも自分の信じる任務を果たすためにここに残ると頑なです。
元々故郷で見たCIAの汚いやり方を知っていて懐疑的だったレイフは、味方の諜報員を7人も殺したという事実や自分がそのうちの1人を拷問したことが相当心にきていて、これが間違ったことだと確信しており、ベンから強く引き留められるも離脱の意思を変えずに去りました。
「レイフ、俺はお前とは違う。逃げるくらいなら棺桶に入って帰る、覚えとけ」
「そうなるだろう」
こんな別れ方になるだなんてなぁ。関わりたくない気持ちはかなり強かろうが、レイフとしては絆の固い仲間のことが心配で後ろ髪の引かれ方も凄そうです。見捨てきれずに帰ってくるんじゃ?
モサドの本部に連絡してイライザの死を報告しているタルは、シェパードの場所を調査中だと言うも、「現在地を動くな、調査は中止だ。すでにハバフォードがシェパードを始末した」と言われます。
「イライザが死んだのにまだハバフォードを信じるの?」と疑念をぶつけたタルは、自分が手に入れたハバフォードとシェパードとの機密ポータルを言われた通り本部に持ち帰ることはしなさそう。
レイフが去った翌朝、モーとランドリーの作戦参加への意思を再確認したベンは、3人揃って飛行場へ行く計画を発表。
犬猿の仲に近かったランドリーに対しては、モーを命懸けで助けたことで見直したとも伝えます。
ハバフォードは改めて自分達が正義側だと伝え、飛行場にいる3人を鼓舞しながら送り出しましたが、その頃タルはポータルを解析してハバフォードがシェパードを始末したと報告した時間よりも後に、シェパードとの連絡手段に使っていた機密ポータルで座標を送信していた履歴を発見。すぐさま送られた座標の位置を特定しにかかります。
飛行場に到着したベン達3人に対して、待ち構えていた見張りの兵士達はやけに軽武装。
揃って奥へと進むとユセフ大臣が待ち受けておりました。
それにしても人員が3人しかいないのに3人まとめてノコノコ入っていく作戦はどうなのでしょうか?
1人ぐらい狙撃手として離れた場所に待機させた方が良さそうに感じます。
モーはケースの中のベアリングを見せて支払いを求めますが、「本物か確かめてからだ」と遠心分離機を用意していた相手方。バヒードのことさえ疑っているのだから、どこの誰かも分からない3人組にそう簡単に支払いをするわけがないというのは納得です。
遠心分離機に緑のランプがつかなければ偽物だとバレてしまい、いくら相手が軽武装でもこちらには3人しかおらず、即殺されかねない状況。
しかし、偽物だと思って取引をもちかけたはずが、なんと遠心分離機には緑のランプが点灯。普通に本物だったのです。
計算違いでイランの強硬派にみすみす本物のベアリングを渡してしまった3人。
と言うのも、やはり裏切っていたハバフォードは元からサイラスと通じていて、弟のバヒードを殺すという決断すらもサイラスは受け入れていたのです。
長年ハバフォードと組んでいた情報屋の“シェパード”の正体はサイラスの方でそうですが、バヒードがスケープゴートにされただけなら拷問されて兄に電話させられた時の、裏切りがなんだかんだという会話に違和感があるような……?
バヒードは兄を裏切ってドイツに寝返り手を組んだとのことですが、その“裏切り”のことを言っていただけか。
聞いていたベン達には、当然シェパードとしての“裏切り”だと解釈されていた、という言葉のあやみたいなもの?
サイラスは苦渋の決断で受け入れたどころか、自らハバフォードに障害となった弟の始末を頼んだのだそう。とんでもねぇな。
イランは晴れて核保有国になり、この功績でサイラスは更に外務大臣に上り詰め、核を抑止力にして西側と交渉し、新たな枠組みを作るよう語るハバフォード。
特定した位置情報を頼りにサイラスとハバフォードの密会現場付近に辿り着いていたタルは、ハッキング映像でハバフォードの裏切りの決定的な証拠を掴みました。
タルはベンに“シェパードは生きてる、サイラス・ラヒーミ”とメールを送り、一体どうなっているのかと動くに動けずにいたベン達はこの連絡でハバフォードの裏切りを知ることに。
「ポーンでもキングを取れる」
とモーの言葉を借りたベンを筆頭に怒り爆発モードで、ベアリングが飛び立ってしまう前に飛行機を襲撃する3人。
飛行機の窓ガラスってこんなに簡単に割れてしまうものなんですか?
外からの銃撃でほぼ皆殺しとなり、まだ息のあった大臣がサイラスに電話を繋いでいたのを確認し、無慈悲に腕に撃ち込んでそこからベアリングのケースと手錠で繋がれていた腕を切り落として、ケースを奪還しました。
そして、なんとなんとレイフは狙撃手として密かにベン達が無事に帰れるか張り込んで見張っていました。仁義に厚い男です。
ここでベンが立ち去ったのを見届けて本当のお別れということでしょうか?
警戒しながら戻った再合流地点の拠点にハバフォードは待ち構えてはおらず、代わりにCIAの〈ブレナン長官〉に宛ててハバフォードが送ったメッセージが残されています。
『モスルで集めた工作員たちの任務時の不祥事を報告します。
・モハメド・ファルーク
・ジュールズ・ランドリー
・レイフ・ヘイスティングス
任務のさなか友軍の兵士を殺害し、違法な核開発技術をイランに売ろうとしました。彼らは反逆者であり、イランを核保有国にする技術を所有しています。武装した危険な集団とのご認識を』
最悪な報告がなされたのを確認していたところに、タルも合流。
頼みの綱のタルが集めたメッセージはすべて暗号化されており、リアルタイムで捕まえないと証拠はありません。
そして、ハバフォードが組んでいたのはイランの格交渉の責任者という相手が相手な状況なだけにモサドでも手が出せないとのこと。
孤立無縁で国際指名手配レベルの扱いになってしまったではないですか。
ベンはベアリングの入ったケースを見ながら「まだ戦える」と策を閃いた様子。
自分の陥った状況を何も知らないレイフがうっかり捕まるようなことがなければいいのですが……。
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