
第1章: フィナーレ “The Finale”
あらすじ
今は究極の大天使となったアジラフェル。再臨計画が予想外の危険な展開を見せ、彼はクロウリーに助けを求める。果たしてこの天使と悪魔は、手遅れになる前に関係を修復できるのだろうか?
ネタバレ感想
制作が一時中断もされていたグッド・オーメンズのシーズン3。
大幅な縮小があったのか、シーズン3はこれまでの1シーズンで6エピソードという形ではなく、90分の長尺で1話のみだそうです。映画でフィナーレ的な感じですね。
かつて宇宙の中心で天使同士が争い、永遠の炎を奪おうとした反逆軍が敗れて幕を閉じた天国の戦い。
髪が長く、今より貫禄を感じさせる将軍〈アジラフェル〉の戦略が功を奏して大勝利とのことですが、犠牲も半端ではなく最後の不意打ち攻撃では約100人が犠牲になったそう。
ようやく戦いが終わったことにホッとした矢先、背後から忍び寄る〈クロウリー〉はアジラフェルを脅して怪我をしており逆に包帯を巻かれて助けられています。敵軍である自分を助けてくれるアジラフェルの優しさに感化されたのか、クロウリーも奪った武器を素直に返しておりました。
現在のロンドンは荒んだ街になっており、駆け回るネズミが導かれるように辿り着いた先には寝袋を使って路上生活真っ最中のクロウリーの姿が。
シーズン2の最終話でのバッドエンド的な結末を考えると納得のやさぐれ感です。
一方天界では、キリストの再臨計画が順調に整い、いよいよ始動の時。
〈ムリエル〉から、ヨセフの息子〈ヨシュア〉、つまりイエス・キリストに肉体を与えることに成功したと報告がありましたが、どうやら彼にアジラフェルが書いた原稿を読ませて全世界の言葉にして発信すれば「喜びがあふれ地に平和が訪れる」と本気で考えているアジラフェル。
ご機嫌なアジラフェルに対し、「人となったキリストを車で国連へ運ぶ」という任務が与えられた大天使〈サンダルフォン〉は苦虫を噛み潰したような表情(笑)温度差が凄いな。
サンダルフォンはヨシュアに「終末が来たと伝えるのだ」と言い、〈ミカエル〉や〈ウリエル〉も黙示録通りの展開を想定していましたが、アジラフェルは「ちょっと違う。あの黙示録は……もう古い、今の時代はもっと明るくやるほうがいい。皆が幸せになり喜びが地に満ちる」と言って独断で自分の計画を進めるつもりです。
状況が飲み込めず、とりあえず知人や仲間達に会いたいと言うヨシュアですが、彼が生きていたのは何千年も前の話なので人間の知り合いは残らず死んでしまっております。
人間でない存在との接触もあり、十字架刑の前夜に訪ねてきて力をくれた〈ガブリエル〉と、“世界中を見せてくれた赤い髪で奇妙な目をしたいい人”のことを話すヨシュア。
誰もがクロウリーのことだと分かっており、最近は地上にいると聞いたヨシュアがクロウリーに会いたがるのを複雑な気持ちで止めるアジラフェル。
地上で堕落しきっているクロウリーは借りた金でギャンブルに明け暮れ酒浸りの様子。
ポーカーで大勝ちしていたのに〈ブライアン・キャメロン〉からベントレーを取り返すために“クイーンを探せ”ゲームに挑んだ結果、負けてしまうクロウリー。
メタトロン階では、入室してきた何者かの影響で〈メタトロン〉が消滅してしまい、異変に反応して鳴り響く警報にアジラフェル達が集まって何がとかと話し合い。
その隙に1人になったヨシュアはエレベーターを使って地上へと降り立ってしまいました。これが本当のキリスト降臨か。
奇跡的に通行人から食べ物をもらうわ、少ない手がかりで探していたクロウリーの居場所を教えてもらえるわで、さすがはキリストなだけあるな。
酔っ払っているクロウリーを起こすと、いつもいつも“クイーンを探せ”で負けるのだとクダを巻いており、ヨシュアは「クイーンの探し方を習得したら地上での僕の使命が分かる?」と曲解。
地上観察記録に行方不明のイエスは載っておらず、『命の書』なら全く別物ということですが、天地創造からずっと同じ書見台にあったはずの書物がありません。
イエスと『命の書』とメタトロンを同時になくし、めちゃくちゃ狼狽えているアジラフェルはほぼ八つ当たりで、救世主を見失ったサンダルフォンを大天使から書記見習い天使に降格処分(笑)
ミスの連続で責任者のアジラフェルにとってもヤバい事態。
ミカエルは、ムリエルを調査担当の天使に指名して彼女を連れて『命の書』探しを買って出ます。
その間アジラフェルはイエス捜しに専念することに。
天界が再降臨計画を始めたこともヨシュアを見失ったことも知っている早耳の悪魔達はクロウリーを攫ってきています。
“イエス”という名前を言うことさえできず、クロウリーが“イエス”と発言するたびに地味なダメージを受ける悪魔(笑)
イエスを人質にして天国を攻撃したいのですが,名前すら言えないということは目にしたり触れたりすればどうなるのでしょう?
そんなわけで、自分達は動くわけにはいかないので人間を理解しているクロウリーに天使よりも先にイエスを見つけてこいと言うのです。
まぁもちろん即答で断られて、相当予想外だったのか食い下がるでも脅すでもなく「きっと後悔するぞ」の捨て台詞で諦めてくれるところに可愛げを感じます。
ムリエルから「頼んだらどうです?あの友達に……助けを」と言われたアジラフェルはそれは論外だと考えておりましたが、彼女から最後に見た時にクロウリーが生きる意味を失っていたと聞いて気掛かりが倍増し、そのまま悩む余地もなくウィックバー通りへ。
すっかり様変わりして寂れた商店街のことをアジラフェルは知らなかったのでしょうか?
とにかく路地裏で眠るクロウリーを見つけ、再会は意外にもすんなりと。
相変わらず怒っているクロウリーから相手にされず、仕方なくその場を後にして久しぶりに書店へ足を踏み入れるアジラフェル。
何世紀も所有して大切にしてきたはずの書店は店ごと埃を被っているような状態で、後を引き継ぐはずだったムリエルは結局アジラフェルに呼ばれて天国で働くことになっていたのです。
遅れて入ってきて嫌味をぶちかますクロウリーはなんだかんだアジラフェルに構いたいのでしょう。
そして、何年も無人で店を閉めていたのに埃が被っている程度で何も盗まれず窓も割れていないし普通ならネズミくらい出るはずなのにそれもないのは、アジラフェルが去って「店まで失えない」という本音があるクロウリーが守ってくれていたからでした。
別ドラマになりますが、この2人の関係性は『ドクター・ハウス』のハウスとウィルソンのようです。うん、そっくりだ。
調子の良いアジラフェルは「クロウリー、君を助けに来た」と言うも、クロウリーは既にイエスを戻そうとして逃げられた件で地上に降りてきたことを知っています。
開き直ったアジラフェルからイエス捜しの手伝いを頼まれるも、車がないから無理だと答えるクロウリー。
ベントレーを取られた経緯は、車の中で寝ていた時に乗り込んできたギャングのブライアン・キャメロンに「腕と運の勝負」を持ちかけられて、アッサリ断ると書店に火をつけて灰にするぞと脅されたものだからアジラフェルの大切な書店を守るために自分の家でもあるベントレーを賭けの材料にしてしまったのです。
「火事が嫌ならサインしろ」と契約書へのサインを促され、そこでやったボードゲームで身ぐるみを剥がされたクロウリー。
話を聞いたアジラフェルから「一緒に我々の車を取り戻し、イエスを捜しに行こう」と言われ、「俺の車だ。俺1人で取り返す」と啖呵を切って乗り込んだ結果、あっさり用心棒に捕まっています。悪魔なのに(笑)
そんなクロウリーを助けるために正面切って乗り込んだアジラフェルは「友人です。彼と我々の車を助けに来た」と堂々宣言し、キャメロンを煽って腕と運の勝負の契約書を出させてサイン。
例のボードゲームになる流れでしたが、契約書のルールによると挑戦者に選択権があるらしく、アジラフェルが選んだのはクロスワード早解き対決でした(笑)
キャメロンは娘の〈ミスティ〉に心配されながらもベントレーを賭けて『必要なら助けを借りる』のもアリという条件付きでこの勝負に乗ります。
しかし、助けを借りる手配をしているうちにあっという間に目の前で難解なクロスワードを完成させられてしまいました(笑)
勝負ではチートの奇跡も使わずに到着からものの5分ほどで車も友人も取り返したアジラフェルは、銃を向けられても奇跡パワーでものともしません。
そのままイエス捜しが始まり、また2人がベントレーで爆走する姿が見られて、グッド・オーメンズはこうでなくっちゃという感じ。
その頃イエスことヨシュアはクイーン探しで街を彷徨いており、カフェで相席した〈ハリー・フリッシュ“ハリー・ザ・フィッシュ”〉がクイーンを探せゲームに詳しく、彼に教えてもらうことに。とんとん拍子でいくのがイエス・キリストだからだと思うと納得です。
偶然にも何の手がかりも無しにヨシュアが入ったカフェの前に辿り着いたアジラフェルとクロウリー。
アジラフェルには天国の〈サラカエル〉から連絡が入り、「サンダルフォンが殺された」とのこと。
一旦天国に戻るアジラフェルに「お前1人じゃ無理だろ」と着いていくクロウリーは、なんだかんだでアジラフェルの窮地を見過ごせないのでしょう。
堂々とアジラフェルの補佐役として天国を闊歩し、天使から文句を言われれば「元悪魔で今は一般人だ」と答えており、それはそうなのでしょうが、そういう問題なのか?笑
案の定、「その一般人は天国に立ち入れません」という苦情申立てを受けたアジラフェルはとりあえず苦情は受理してそのままにするというお役所仕事感(笑)
『命の書』の監視カメラ映像を出させたり、盗まれた瞬間の映像がなく指紋や足跡もないと聞いて「現実を消した?」と核心にせまりながら調査を主導する一般人。
その瞬間を『命の書』からなくせば現実も調整されて無かったことになるということです。メタトロンが消えた原因も同じで、いずれ皆が忘れるだろうと不安を煽っていく一般人。
地獄に戻ってできる限りの調査を頼もうにもクロウリーではすぐにバレてしまうので、変装の達人であるアジラフェル自身が地獄入りして聞き込みや調査をすることに。地獄に行くことにノリノリのアジラフェルはなんなんだ(笑)
変装の達人というよりリトルマーメイドのヴィラン、アースラやジョーカーのようですが、とりあえず天使には見えません。
責め苦の支配者“大王スローチ”に扮して悪魔を騙し、〈ダゴン卿〉に会いに行くアジラフェル。
天使よりも悪の大王の方がよほどお似合いで、潜入のための演技とは思えないほど(笑)
グルメなアジラフェルのために点心を大量注文するクロウリー。他の天使のお手本になろうと心掛けるアジラフェルは暴食を悪として断りますが、クロウリーが蒸籠を開けて湯気の立つ点心を見るとすっかり心が揺らいで自然と箸を持っています。まさに悪魔の誘惑という感じ。
「天国は誰にも味方しない」と言ったクロウリーの言葉で、天国を皆の味方に変えようとしたことを語り出しながらしっかり地上の食べ物を食べているアジラフェル。
まずはイエスが来る目的はすべてを終わらせることでしたが、再臨をハルマゲドンではなく出直す機会にすればいいと上を説得したこと、人間をもっと善良に変えればいいのだと熱弁。
神の反応を聞かれて「イエスは君に好意的だったよ。世界を見せられたことも覚えてた」と伝えると、ここでようやくクロウリーは路地裏で自分を起こした相手がイエスだったのだと気がつきました。
地獄での聞き込みで得た情報は、『命の書』でメタトロンと大天使2人が殺されたというもので、サンダルフォンしか殺されていないからこれは誤りだと疑問視するアジラフェル。
すかさずクロウリーが、「天国の情報源が起きた事ではなく計画を伝えてたとしたら?」と指摘。
計画していたのが地獄の者じゃないのなら天国の者だという推理も純粋な天使にはない発想で、やはりクロウリーが居てくれないと話になりません。
そこへミスティが乗り込んできて凄い剣幕で父親が倒れた文句を言っているのに、後から現れたムリエルは要するに“黒幕はミカエル”だと推理できたことを嬉しそうに報告。
真実を隠したい犯人にとって調査の適任者は利用できるマヌケで、ミカエルに命じられて事件を調査していた自分を分析する悲しい推理ですが、本人はウキウキです。
地獄の情報源はいつもミカエルなので、クロウリーとアジラフェルも一歩早く黒幕に気付いていましたが。
ミスティが置き去りにされている中、アジラフェルの変装にようやく気付いた悪魔まで乗り込んできて外交ルールの侵害について文句をぶちまけます。
ミスティの方はアジラフェルが奇跡を使って父親を回復させるつもりらしく、「そばにいてあげて」とそっと諭せば天使パワーで黙って店を出て行きました。
ミカエルはメタトロンとサンダルフォンを消し、アジラフェルのことも消すつもりです。
「再臨は預言どおり正しく行われるべき。何もかも壊す。今回は私の手でまっさらに戻す、きれいに消し去るの」と真相に気が付いたウリエルに宣言し、彼女のページを切り取って握り潰すミカエル。ウリエルまで消えてしまいました。
ミカエルは地上にも天国にもおらず、『命の書』を破壊できる唯一の場所があります。
“永遠の炎”を使って『命の書』を燃やし尽くし、宇宙の中心へ行ったミカエルを追うクロウリーとアジラフェル。
その道中でヨシュアとすれ違い、イエス捜しは思わぬ形で完遂され、ヨシュアの方もクイーンと使命探しに成功して、「人々に手を差し伸べる」そうです。
ハリー・ザ・フィッシュに横についてもらいながら民衆に語りかけ、“手の込んだパンとチーズ”つまりはピザを配り、助けを求める者に奇跡を起こしながら声をかけていくヨシュア。
飛べば光よりも速いベントレーに乗り込んだクロウリーはアジラフェルを助手席に乗せてアクセル全開で大気圏に突入(笑)
BGMは相変わらずのQueenで最高に軽快です。
ミカエルはハルマゲドンを発動させ、地獄、天国、地上でどんどん場所や人が消えていき、破り取った命の書のページを永遠の炎に投げ入れ続ける場面を止めに入ったクロウリー。
神の計画を正しく実行しようとし過ぎるあまり、すべてを1人で抱え込んで怒りを溜めた結果、今回の暴走に至ったようですが、消してしまったものはすべてミカエルだけは覚えているので、まだ残っている記憶のメタトロンやサンダルフォン、ウリエル達から脳内で責められ続けています。
ミカエルの苦悩に寄り添ってすべてに許しを与えようとしたアジラフェルですが、ミカエルは「私は許せない」という言葉と共に命の書と一緒に自分も永遠の炎にダイブ。
クロウリーは炎の中から焼け落ちかけているウィックバー通りのページを破り取って回収し、「手をつなげ!」とアジラフェルを急かしてすべてが消えゆく世界の中に飲み込まれないよう急いで唯一残ったウィックバー通りの書店に避難しました。
書店の外は真っ暗で本当に無の世界になっているのに、『開店』の札を出すアジラフェル。
「俺が見る限りは宇宙に残ってるのは俺たちと書店だけ。客など来ないと思う」と皮肉を言うクロウリーに対し、次に何が起こってもいいようにあと一つ修復しておきたがったアジラフェルは「私を許してほしい」と頼み、ダンスを始めそうな天使をやめさせるたまにクロウリーは渋々ながらも「お前を許す」と言葉にしてくれました。
ここに来て、他には何もない2人だけの場所に満足そうなアジラフェル。
クロウリーは口では「すべて失った」なんて言っておりますが、元を辿ればクロウリーが望んでいた状況です。
悲観的になっているところに「お互いがいる」と言ってしまうアジラフェルは天然の小悪魔感があり、こういう何気ないひと言にクロウリーは翻弄されてきたのかもしれません。
すべてが消えてしまったので、書店の中にある大量の本の中身も白紙になっています。
2人しかいないはずの場所に1人の客が現れ、どこか見知った顔の相手は擬人化したサタンでした。冷静で温厚そうにも見える淡白さがあるのが意外です。
クロウリーはサタンに敵意剥き出しで、大反乱や天国での戦争も勝てないと知っていて最初から勝つ気などないのにただ役割をこなしていただけだと怒りをぶつけます。
アジラフェルにペンと白紙の本を用意して、『命の書』の代用にして書き込むクロウリー。本物の命の書ではなくても「俺たちが言えばそうなる」だそう。
答えを欲しがってペンを走らせたクロウリーと、唆されて自分も本に希望する事実を書き入れるアジラフェル。
“その書店にいたのは全部で4人。それが世界のすべて。天使が1人、元悪魔が1人、そしてサタン。最後はすでにいた方。どこにでもおられ、常にそばにおられた。これからもずっとそばに”と書いた途端書店に光が差し込み、最初からそこにいた神が姿を現しました。
最後だから質問に答えてやると言われたクロウリーは、「人間を造っておいて人間らしい行為をなぜ罰する?俺たちが何をしようが人間は人間。世界はあらゆる点で奴らに不利な上に人間自身がそれをさらに悪くする。本物の“善”と心臓が止まるような“悪”は人間の心の中にある。とてつもない悪行もすばらしい善行もする。なぜそう造った?」と質問。
神はアジラフェルにも大事な質問はないか聞き、アジラフェルはもっと楽に正しいことをしたかったと呟きます。
神に言わせればアジラフェルは「初めて私に嘘をついた天使だった。怠惰で大食漢で高慢で……」という評価で、これはサタンも概ね同じ意見なのです。
それを認め、「そして2番目に良い天使でした。最も良い天使はここに。君は最高の天使だった、すべてに気を配っていた。芸術家だった。芸術のため理解しようとしてた。他の天使は役割をこなすだけ、疑問も抱かない。君だけがすべてに深い意図があるはずと信じてた」とクロウリーに語りかけるアジラフェル。
サタンの存在すらも、神が1人で遊ぶゲームのコマに過ぎないと考えているアジラフェルはやはり1つ質問があると頼み、「なぜ私にクロウリーを?与えて満たし、奪うなんて……」と問いかけました。
てっきり答えてはもらえないかと思いましたが、神は「大抵の人が気づきもしない価値を君は大事にしたからです。彼への君の愛は宇宙で最もメチャクチャでバカで分かりやすかった。いつも笑顔になれた。でもその宇宙も終わった、君たち2人もね」と言って書店をも終わらせようとしている神に待ったをかけるクロウリー。
創り上げた無限の宇宙を6000年存続させておいて突然ひっくり返して終わらせるなんておかしい、なぜ名案だと思ったのか、と。
「認めないぞ、全ての決断をお前が下すなんて」と言ったクロウリーに、1つの決断だけは2人に任せることにした神。
何もかも元どおりに戻すでも良しと言われたのに相談することにして、神も意向を汲んで2人だけで相談する時間を設けました。
2人きりになってどうしたいかクロウリーの希望を聞くアジラフェル。
聞かれたクロウリーは迷いながらも「分かってるだろ。本物の宇宙が欲しい。人間にチャンスを与える、自由意志を現実のものにしたい。人間は本物の世界でチャンスを得るべきだ、天使がいなくてもな、悪魔もだ。二度とお前に会えなくても。間違ってる?」と固い決意を明かし、アジラフェルはショックを受けながらも「2人の決断だな」と賛同。なんちゅう悲恋だよ。
蓋を開けて見れば堕天使だったクロウリーが誰よりも抜きん出て本物の慈愛に溢れておりました。
話がまとまった2人は談笑する神とサタンを前に、天使も悪魔も神もサタンもいない、天国も地獄もなく計り知れない神の計画もない宇宙をもう1つ創造して欲しいと頼みます。
自分達も消えてしまうという大きな代償を理解した上で、人間が自由に生きられる世界を望んだ2人。
神はこの申し出を受け入れて、最後に別れを済ませたアジラフェルとクロウリーは納得した表情で書店と共に消えて行きます。
そしてビッグバンが起こり、138億年後の地球、ロンドンのウェックバー通りの角地に位置する書店。
通りがかりに店内へ入ったのはどう見てもクロウリーの生まれ変わりの〈アンソニー・クロウリー〉、書店員をしているのはアジラフェルの生まれ変わり〈エイザ・フェル〉。
天体物理学の本を探し求めて来たクロウリー教授に、売れていないから半額でいいと言うとなんとそれはクロウリーが書いた本だそうで、気まずい空気が(笑)
代わりに相対性理論の第二版を出し、求めていた本だと喜んでいる相手を見て自分も心底嬉しくなっているアジラフェル。
一目会って明らかにクロウリーを気に入ったアジラフェルは、店主のメタトロンに背中を押されて買い物を済ませて出て行った彼を追いかけます。
生まれ変わっても出会えるのは奇跡ですが、惹かれ合うのは必然か。
追いかけて行って購入したクロウリーの著書にサインを頼むついでに、「電話番号も書いてもらえます?食事に誘いたい」とストレートにナンパし、これが成功。
天使と悪魔の頃には内心はどうあれいつもクロウリー側の愛が重たかったのに、逆にアジラフェルからというのが絶妙なバランス感で非常に良い。
初デートから20年後のサウス・ダウンズで、年老いた2人は仲睦まじく天体観測中。
ここでも2人が飲んでいるのがココアというのもこれまた良い。
流星群を楽しみながら願い事をしたアジラフェル。
クロウリーはナイチンゲールが鳴いたのを聞きます。
「この宇宙があって君がいれば十分だ。望んだすべてがここにある」
思わぬ形で、奇跡のような巡り合わせで今度こそ心穏やかに一緒になれた2人のラストシーンに文字通り宇宙規模の愛を感じました。
元の世界ではヨシュア周りでもう少し何か起こるのかと思いましたが、まぁ主軸は天使と悪魔の深い愛だったわけで、そこのところに関して納得できるエンディングで終わってくれたので終わりよければ全てよし。
ラストは話数がなくてどうなることやらと不安でしたが、映画尺なりにいい感じの緩急とテンポがあったし、終着点が良かったので文句なしです。
ハッピーエンドとして完結してくれたことに感謝です。
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