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海外ドラマ≫≫The Devil's Hour デビルズ・アワー 〜3時33分〜 シーズン1 6話ネタバレ感想

アモール・ファティ

エピソード6『アモール・ファティ』“Amor Fati”

あらすじ

犯人が逮捕され、ルーシーが人生で抱えてきた謎に答えが出ようとしている。だが、彼女は信じるだろうか。

ネタバレ感想

伏線が根こそぎ回収されるのか見ものなシーズン1最終話。

 

何度も死んではまた巻き戻り、人生を繰り返しているギデオン。

幼少期の彼は、信仰心が強く厳格すぎる父と、優しくも浮気に走ってしまった母に育てられ、両親の代わりを務めるかのようにマルコムを守っていました。

2人の息子を車に乗せた父に無理心中させられるという人生を繰り返し、繰り返し味わったギデオンは、何周目かのループで遂に父親に抗う道を歩むのです。

こうして見てみると、なかなかに不憫で父殺しの道を選ぶ他なかった幼い少年の苦悩は凄まじく、それでも何度となく同じ人生の最期を味わったからこそ後悔する余地もなかったように見えます。

その後も失踪して見つかっては自殺する事でリセットしていき、今の人生に辿り着いているギデオン。

という事はもはや、大きい目で見れば何度もやり直しが利く彼の行動や言動によって世界の歴史が変わり得るという事じゃないですか。

親切にしてくれた見知らぬ少女のためにやり直す事だって可能なのです。

悲惨な事件を書き留めては次の人生で悲劇が起こらないよう未然に対策を取り、人知れず人助けを続けていた過程で、事故に繋がる家電を投棄していた事も分かりました。

『9.11』のテロを止めるのはまだ無理でも、『7.12』なら止めたと話すギデオン。

ギデオンが防いだからこそ誰も知らない『7.12』事件。この理屈でいけば、彼と同じ能力を持つ者以外に証明の仕様がありません。

 

肝心の今回の一連の事件について、警察に渡すために小児性愛者だったスレイドのパソコンを盗んだはずが、中身を見てあまりにも腐り切った性根が露わになった事で気が変わり、自分で手を下そうと考えたのだとか。

もしもギデオンがスレイドに関与しなければ起こっていたはずの事件というのが、ルーシーが見ていた、少女2人の遺体が川から引き揚げられていたビジョンだったというわけです。

次の人生にはもちろん書き留めたノートを持ち込めるはずもなく、事件の全てがギデオンの暗記にかかっていたとなると、別の意味でもとんでもないスキルを持った爺さんという事になります。

その話を裏付けるかのように、押収したギデオンのノートを出して開口一番「字が汚い」と言ったディロンのセリフも分かっていたと話し、ノートの最後に隠すように貼り付けられていたページを開いてみれば、達筆な文字で『これならまし?刑事さん』というメッセージが予め書かれておりました。

 

ギデオンに残虐性はないと確信し、自分も特殊な能力があることに気が付いているだけに、もしも彼の話が本当なら?と仮定し始めるルーシーは、ギデオンがアイザックをさらったという事はつまり、アイザックに危険が迫っていたからで、それが何だったのかが知りたいようです。マイクだな、これはマイクに違いない。

 

アイザックの他に、ギデオンが誘拐したとされていたジョナについては、両親に殺される運命だったジョナを信頼できる女性に託したと話します。

自分に親切にしてくれた少女を救うため、人生を改変させたところ、少女〈エブリン〉は心のどこかで事故を覚えていて、現実に違和感を持ったのだとか。

アイザックのように現実と非現実が見えているせいで精神を病んでしまったエブリンを精神病院から退院させ、現実のバグに対する向き合い方を指南するも、結局は僻地で世間と断絶しながら暮らす道を選んだ彼女が、今はジョナの世話をしている、と。

ここでは『ビジョン』と呼んでいた、特定の人物が時折見ていたフラッシュバックかのような映像は、前の人生で他人が残した足跡で、並行世界ではなく、同じパターンを繰り返していく人々の残像のようなものとでも言えばいいのか?

 

エイダン・ステナーはヤク代を踏み倒した客の恋人で2人の子を持つ妊婦を殺しており、この事件を防ぐためにギデオンは何度も何度も自らエイダンを殺してきました。

監禁して拷問していたコナーは、ギデオンがそうしなければレイプ魔となっており、彼を殺さずに済むよう、性に対する嫌悪感を植え付けて彼の性質を根本から変えるための実験をしていたのです。

『殺人鬼が血を恐れるようになったら?』というひと言、気になり過ぎます。刑事にも関わらず、血や殺人に対しての生理的嫌悪が人一倍強いディロンですよ。

 

これまでの人生で、何度ループしようとギデオンは結局ある1人の刑事の手で捕らえられているのだとか。

そんなギデオンは、他の誰でもなくルーシーにたった一つの質問があるのだと言い、君の人生で最悪の経験は?と問い正します。

そこでルーシーは遂に思い出すのです。

母シルビアがショットガン自殺に成功していたはずの人生を……。

30年後のルーシーから母の自殺の話を聞いたギデオンは、次の人生で悲劇を阻止するため家に忍び込み、ショットガンの撃針を抜いていました。あのボタンはその時にギデオンのコートから外れて落ちたものだったのです。

ルーシーの本来の人生が書き換えられて別人のようになっており、ギデオンはいつだかの人生でルーシーを目覚めさせると約束したそう。

マイクもルーシーの夫になるはずの人物ではなく、アイザックは生まれないはずの子でした。

 

人生のループが直線上にあるものではなく、文字通り円を描くよう繰り返しているとすれば、今を生きる人間にとって前の人生は、過去であると同時に並行して起こっていることでもあるという仮説は全ての辻褄が合います。

ここに居ないはずの人が見えたり、毎夜3時33分に鳴っていない銃声で目が覚めたり、今の人生と過去の人生がふとした瞬間に交錯するのも納得です。

ただ、本来存在しなかったはずの特異とも言えるアイザックは、一段上の特別な存在で、前の人生が見えるだけでなく触れることも会話もできる。だからこそバランスを失って別の人生に入りこんでしまうのだとギデオンは説明します。

どの人生においても、人間に不可欠な“魂”がアイザックにはありません。それが感情の無さに繋がっているとは言っても、ここ最近明らかに前とは違う表情を見せるようになった息子の事をルーシーは誰よりも理解しています。

アイザックが愛情を持つことなどないとギデオンが言い切ったことで目を覚ましたルーシー。

 

その頃自宅でマイクからビールを浴びせられたアイザックは、濡れた服をヒーターの上にかけて炎が出ている様子をじっと見ていました。

直前にマイクのスマホからルーシーに電話をかけていますが、ギデオンと話していたルーシーは電話に気がつくことはなく……。

スマホがない事に気付いたマイクは、アイザックの部屋に行き、燃え盛る部屋の片隅とじっと座っている息子を見て、少し考えた末にソッとドアを閉めたのです。なんて男だ。

アイザックは電話に出なかったルーシーへ留守電メッセージを残しており、その内容はまさしく母親を信頼して助けを求める不器用な男の子のもの。

ただ、ルーシーが自宅へ辿り着いた頃には炎に包まれる自宅と人集りが。

炎の中に飛び込んでアイザックを探しに行くも、息子の姿は見つからず、激しく咳き込みながら倒れ込み、自分の別の人生を想起するルーシー。

ディロンと結婚していた本来の人生でルーシーは刑事で、何度もギデオンを追い詰め捕らえていた刑事というのはルーシーの事だったのです。

不自然過ぎるほどに自然な流れでディロンと惹かれ合ったのも、刑事であるディロンよりもはるかにギデオンを追い詰めた人物が一介の福祉職員であるルーシーだったというのも、本来あるべき姿を考えれば当然の流れだった、と。

最後の瞬間、燃えていたのはメレディスの一家が住んでいる7番の家で、ルーシーは現場を担当する刑事として家の前に立ち、デジャブを見るのでした。

 

これは……かなり面白かった!!

予想をはるかに超えた秀逸な展開と結末で、全6話というコンパクトさでありながら重厚な良いサイコスリラーが見られました。

序盤からあっち系?いやいや、そっち系?と視聴者を振り回してくれて、投げっぱなしにならず、最終話を1話まるごと答え合わせに使ってしっかり畳んでくれるところも最高です。

シーズン2もありそうな雰囲気ですし、何もかも解決していないと言えばしていないし、そもそもこの話の流れで何を持ってして解決と呼べるのかは分かりませんが……。

道が変わってしまっていたルーシーの今回の人生はアイザックと共に火事で終わってしまったんですかね?

にしても、マイクへの制裁が欲しいところです。なんだあの男。

いやぁ……個人的な好みにガッツリ合っていてとにかく面白くてあっという間に見てしまいました。

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▼次回、S2エピソード1

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