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 U・ボート ディレクターズ・カット [DVD]

U・ボート ディレクターズ・カット

 

 

あらすじ

戦争に栄光なし、生存あるのみ―。1941年、ナチス占領下の港町。街の酒場はドイツ軍の兵士たちで賑わっていた。その中に、陸で最後の夜を楽しむU・ボートの乗組員たちがいた。他のドイツ兵士がヒトラーに乾杯し囃し立てる中で、彼らは愛国主義だの祖国だの信じてはいなかった。彼らは知っていた。戦争に栄光などなく、生存あるのみ、ということを―。第2次大戦を舞台にドイツ軍潜水艦の乗組員たちの行動を描く戦争人間ドラマ。(C)1996 Barvaria Film GmbH 

 

第二次世界大戦中の1941年秋、ナチス・ドイツの占領下にあったフランス大西洋岸のラ・ロシェル港から、1隻のUボート「U96」が出航する。彼らに与えられた任務は、大西洋を航行する連合国護送船団への攻撃であった。報道班員のヴェルナー少尉はUボートの戦いを取材するため、歴戦の艦長と古参のクルー、若者ばかりの水兵を乗せたU96に乗り込む。荒れ狂う北大西洋での孤独な索敵行、ようやく発見した敵船団への攻撃と戦果、海中で息を潜めながら聞く敵駆逐艦のソナー音と爆雷の恐怖、そして目の前に突きつけられた死に行く敵の姿。疲労したU96の乗組員たちはクリスマスには帰港できることを願うが、母国から届いた指令はイギリス軍の地中海要衝であるジブラルタル海峡を突破してイタリアに向え、という過酷なものであった。中立国スペインのビゴにて偽装商船から補給を受けたU96は、敵が厳しく警戒するジブラルタル海峡突破に挑む。艦長、ヴェルナー少尉、そして乗組員たちの前には非情な運命が待ち受けていた。

本作は、「海の勇者」、「灰色の狼」、「深海の英雄」と美辞麗句で持て囃され、優秀な人材を投入されながら、実際には出撃した将兵のうち実に4分の3にも及ぶ犠牲を出したUボート乗組員たちの生き残りを賭けた苦闘を描く、戦場の物語である。

 

ネタバレ感想

戦史に詳しい訳でもなく、Uボートに関する知識もほとんどない状態で3時間を超える超大作を見るのに不安があったので、鑑賞前にナショナルジオグラフィックチャンネルの「恐怖のナチス潜水艦 U-166の記憶」を見て少し前情報を仕入れておいた。

歴史的な背景や、潜水艦内での動きの理由など、多少分かりやすく感じたのでこれから見るのを迷っているという方には併せての鑑賞をおすすめします。

Uボート(ドイツ語: U-Boot、英語: U-boat)は、ドイツ海軍の保有する潜水艦の総称。一般的には特に第一次世界大戦から第二次世界大戦の時期のものをいう。

ドイツ潜水艦隊の華々しい活躍により、Uボートの名はドイツ潜水艦の代名詞として広く普及した。第一次大戦では、約300隻が建造され、商船約5,300隻を撃沈する戦果を上げた。第二次大戦では、1,131隻が建造され、終戦までに商船約3,000隻、空母2隻、戦艦2隻を撃沈する戦果をあげ、引き換えに849隻のUボートの損失を出した。

後に連合国が有効な対策を編み出した事もあり、全ドイツ軍の他のあらゆる部隊よりも高い死亡率であった
第二次世界大戦(1939年 - 1945年)においては、終戦に至るまでUボートは大西洋の戦いなど、図らずもドイツ海軍の主力兵器でありつづけ、戦後イギリス首相ウィンストン・チャーチルに「私が本当に怖れたのは、Uボートの脅威だけである」と言わせる働きをみせた。

wikipediaより引用

 

1941年第二次世界大戦の最中、歴戦の艦長が率いるU96には「子供十字軍」と称されるほど若く、下品で陽気な海軍兵士たちが乗り込み、任務へと出航する。

 

移動も一苦労の狭苦しい艦内を、ひとたび警報が鳴れば乗組員達は総出で船首へと走り、潜水を一秒でも早め敵の目から逃れるよう尽力する。それが生き残りをかけた一つの手段であり、全員が「本気」なのだ。

 

30隻以上のイギリス船団を発見したU32の支援作戦に出動する際には沸きあがる艦内だったが、ひとたび駆逐艦からの反撃に遭えば狭い艦内に緊張感が張りつめる。爆雷に激しく揺れ、照明が次々に消えていく、深く沈むほどに軋む艦体が水圧への恐怖を助長させる。

明るくパワーに満ち溢れた艦内も長い航海とともに徐々に疲弊していく様子が手に取るように伝わってくる。悪臭が立ち込め、食糧にはカビが生える。決して衛生的とは言い難い環境下におかれ、疲労の蓄積された身で、敵船からの攻撃だけでなく、自然の脅威をも相手にしなければならない海上での長期に渡る戦い。考えただけでもゾッとする。

 

戦時中とはいえ、フランス人の婚約者を持ち、更に妊娠して出産を決意しているという若者がいたり、チャーチルを脅威に感じている様子や、敵国の人間でありながら生存者を見殺しにすることに大きな罪悪感を抱き泣き出してしまう者が居たりと、非常に人間臭い。少し考えてみれば当たり前の事なのだが、ドイツ軍全てがヒトラーを崇拝しているわけではなく、戦争を前向きに受け入れているわけではないのだ。それぞれがそれぞれの想いを持っていたという忘れがちな事実を思い出させてくれる。

「ティペラリー」という敵国であるイギリスの歌を合唱するシーンがとても印象的だった。

 

潜水艦からの攻撃は、自分達の戦果ですら音を頼りに確認する他ない。標的を沈めて喜ぶのも束の間、敵の駆逐艦からの反撃に備えなければならない。常に警戒態勢で、一瞬の油断が命取りになる緊迫感。爆雷に激しく揺れ動く艦内は正に生と死の境目だろう。

 

物語終盤では、帰港直前になって本国からの指示が入り、無謀ともいえるジブラルタル海峡の突破を余儀なくされる。狭く、敵の警戒が厳しい海峡で、U96は致命的なダメージを受けてしまう。爆撃や銃撃で死ぬのとは違い、潜水艦は浸水し浮上しなくなったら死を悟り怯えながら残りの時間を過ごさねばならない。そういう絶望や閉塞感がダイレクトに伝わってきて、見ているだけで息苦しい。

 

艦長すらも諦めたほどの困難を乗り越え無事帰港した矢先に、空襲に見舞われ死んでゆく仲間たち。一度は沈んだものの、そこからなんとか持ち直した潜水艦が、空襲を受けあっけなく沈んでいく様を見つめながら静かに息絶える艦長。このラストシーンに戦争の非情さが存分に描かれていたように思う。 

 

評価(平均点高めの設定です。)

  4.7 /5 点!

長編作品だが、それを全く感じさせずあっという間に時間が過ぎて行く。戦争においての一軍人の揺れ動く心理が生々しく鮮明に描かれた良作でした。

概要

監督:ウォルフガング・ペーターゼン

時間:3時間28分

提供:角川映画

公開年:2013年

 

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