グリーンブック
あらすじ
1962年、ニューヨークの高級クラブで用心棒として働くトニー・リップは、粗野で無教養だが口が達者で、何かと周囲から頼りにされていた。クラブが改装のため閉鎖になり、しばらくの間、無職になってしまったトニーは、南部でコンサートツアーを計画する黒人ジャズピアニストのドクター・シャーリーに運転手として雇われる。黒人差別が色濃い南部へ、あえてツアーにでかけようとするドクター・シャーリーと、黒人用旅行ガイド「グリーンブック」を頼りに、その旅に同行することになったトニー。出自も性格も全く異なる2人は、当初は衝突を繰り返すものの、次第に友情を築いていく。
予告動画
人種差別が色濃く残る1960年代のアメリカ南部を舞台に、黒人ジャズピアニストとイタリア系白人運転手の2人が旅を続けるなかで友情を深めていく姿を、実話をもとに描いたドラマ。
トニー役に「イースタン・プロミス」のビゴ・モーテンセン、ドクター・シャーリー役に「ムーンライト」のマハーシャラ・アリ。トニー・リップ(本名トニー・バレロンガ)の実の息子であるニック・バレロンガが製作・脚本を手がけ、父とドクター・シャーリーの友情の物語を映画化した。監督は、「メリーに首ったけ」などコメディ映画を得意としてきたファレリー兄弟の兄ピーター・ファレリー。アカデミー賞の有力な前哨戦として知られる第41回トロント国際映画祭で最高賞の観客賞、第76回ゴールデングローブ賞でも作品賞(コメディ/ミュージカル)を受賞した。
ネタバレ感想
「最強のふたり」を彷彿とさせるテーマですが見終わったあとは全く違った印象です。あちらもかなり好きな映画なのですが、個人的には僅差でこちらの方が上かもしれません。それくらい面白かったです。
白人と黒人の分断された差別問題をテーマに据えながら、富も才能も持っているリッチな黒人ピアニストに仕える粗野で下品な白人コンビという新たな切り口です。
人種差別の根強い南部をツアーで回る天才ピアニストに運転手として同行する事になったナイトクラブの用心棒。
学があり品格を重んじるけれど堅物過ぎて面白くない、そんな人間が正反対の相手と接する中で徐々に心を許していく…当初は黒人への偏見に満ちていたはみ出し者がその差別を目の当たりにし続けその酷さに憤慨する…ボーダーを越えて二人の信頼関係が出来上がっていく様子が描かれています。
ケンタッキーフライドチキンのくだりなんかは最高でした(笑)
トニーはドクから教養や品格を教えられ、ドクはトニーから楽しい人生の生き方を学んでいきます。
黒人でありながら一目で分かるほど高価なスーツを身につけ品位を重んじるドクを同じ黒人である人々すら“気取ったやつ”と呼び敬遠する…演奏の時だけは彼を受け入れるも根本的には見下し侮蔑の目を向ける白人達。そんなどちらにも相容れない孤独を抱えたドク。
車の故障で路肩に止めている間、農園で働かされている黒人達のドクを見る目がかなりキツい描写でした。
どこへ行ってもただ肌の色が違うというだけで不条理に虐げられているドクが放つ“暴力は敗北だ”というセリフが深く心に響きます。
ラストシーンでは“寂しい時は先手を打て”というトニーの教え通り自ら一歩踏み出す勇気を持ったドクが歓迎され受け入れられる締めくくりで心の底からほっこりできるラストです。
ドロレスのお見通しもさすが(笑)
評価(平均点高めの設定です。)
4.6 /5 点!
文句無く面白かったです。人種差別がテーマでシリアスなシーンも多いものの二人のやり取りは笑える部分も多く、お互いに欠けている物を補い合う温かいお話です。
概要
監督:ピーター・ファレリー
時間:2時間10分
配給:ギャガ
公開日:2019年3月1日
- アーティスト: サントラ,ドン・シャーリー,ザ・リフ・ラフズ
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2019/02/27
- メディア: CD