SISU シス 不死身の男
あらすじ
1944年、ソ連に侵攻されナチスドイツに国土を焼き尽くされたフィンランド。老兵アアタミ・コルピは掘り当てた金塊を隠し持ち、愛犬ウッコとともに凍てつく荒野を旅していた。やがて彼はブルーノ・ヘルドルフ中尉率いるナチスの戦車隊に遭遇し金塊と命を狙われるが、実はアアタミはかつて精鋭部隊の一員として名を馳せた伝説の兵士だった。アアタミは使い古したツルハシ1本と不屈の精神を武器に、次々と敵を血祭りにあげていく。
第2次世界大戦末期のフィンランドを舞台に、不死身の老兵とナチス戦車隊の死闘を描いた痛快バイオレンスアクション。
予告動画
「レア・エクスポーツ 囚われのサンタクロース」のヨルマ・トンミラが主人公アアタミ、「オデッセイ」のアクセル・ヘニーがヘルドルフ中尉を演じた。監督・脚本は「ビッグゲーム 大統領と少年ハンター」のヤルマリ・ヘランダー。
ネタバレ感想
数ヶ月前から予告を見て楽しみにしておりました。
タイトルの「SISU(シス)」とは翻訳できないフィンランドの言葉で、すべての希望が失われたときに現れるという、不屈の精神のような意味合いを持つそうです。
予告を見た感じだと、もっとストーリー度外視のはちゃめちゃ最強バカムービーかと思ってかなり気軽に見始めたわけですが、いやはやグロい。グロいと分かっていて覚悟してみる分には耐性があるつもりなのですが、完全なポップコーンムービーのつもりだったので余計にグロさに厳しいものを感じました。
一連の犠牲者1人目に対してナイフグッサーーのシーンはあまりにぶっ飛んでて少し笑えるレベルで、そこからのじじい覚醒モードでナチス兵士を薙ぎ倒していく爽快感。
しかし華麗に無双していくのは実質これが最初で最後だったような……。
他勢を相手に傷を負いながらも不屈の精神で常に攻めゆく姿は凄まじいのですが、良くも悪くも多少はリアリティがある(?)というか、こちとらジョン・ウィックのようなハイパー無双タイムを見に来たのに苦戦してくれるな、爺ちゃんよ……と思うわけです。
荒野で金を掘り出すところから始まりますが、ナチス将校がしつこくじじいを追い回す動機が、自分達の敗戦はほぼ確実で、このまま帰ってもどうせ縛り首になるのを分かっており、保身のために金を横取りするしか選択肢がないから、というのは安易に『部下を殺された復讐のため』や『自分たちのメンツのため』などではないところは現実味があって良かったです。
それにしても『第六章 皆殺し』という安直なサブタイトルには思わず笑いました。
そしてやはり一番面白かったのは、爺さんが凄まじいセルフケアを施す様を見た敵の化け物を見るかのような表情です(笑)そうそう、そりゃそうなるわ!と共感しかありません。
そもそも首吊るされて死んでいないだけでもヤバいのに更にやる気出されちゃあもうどうしようもないってもんです。
女性陣の反逆で、いかにもなここが見せ場と言わんばかりの揃い踏みシーンは狙い過ぎていてやや興醒め。1人暗殺部隊の爺様にもっと大暴れしてもらいたかった(笑)
ナチス将校の最期はまさにギャグ漫画のような展開で、このノリがもっと中盤からあれば女性陣のシーンも同じノリでもっと受け入れやすかったような気もします。
とにもかくにも、犬が無事で何よりでした。
評価(平均点高めの設定です。)
3.9 /5 点!
概要
監督:ヤルマリ・ヘランダー
時間:1時間31分
配給:ハピネットファントム・スタジオ
公開日:2023年10月27日