エピソード1『私の特別なドアマン』”When the Doorman Is Your Main Man”
あらすじ
独身女性のマギーはアパートのドアマンのグズミンに見守られながらシングル・マザーとなる。
ネタバレ感想
こちらはAmazonオリジナルなのでしょうか?
Amazonからのおすすめに突如現れたいかにも『落ち着いた恋愛物』というサムネイルをなんとなく覗いてみると【ニューヨーク・タイムズ紙の人気コラム「Modern Love」に実際に投稿されたエッセイに基づくロマンティック・コメディ・アンソロジー・テレビドラマシリーズ】と紹介されており、好物の実話系だと発覚した事から話数も少ないので試しに見てみる事に。
やたらと小洒落た雰囲気でさすがNYを舞台にしたドラマだけあるな、というのが第一印象です。
1シーズンの中でもエピソードごとにそれぞれ独立した物語を綴るアンソロジー形式。
第1話は風変わりなドアマン〈グズミン〉と住人で書評家の独身女性〈マギー〉を巡るエピソードです。
過干渉にも思えるグズミンは何でもお見通しの千里眼で、ようやく掴んだナイスガイに思えたテッドですらもグズミンの警告通りだんだんと疎遠に。
彼と別れた頃に妊娠が発覚し、動揺し泣き崩れるマギーの話を静かに聞くグズミンでしたが、意外にも彼女にシングルマザーとなる小さな後押しをしてくれます。
ドアマンがキーパーソンなだけに、ほとんどがマンション周辺で起こる狭い範囲でのアレコレなのにグズミンの包容力がそうさせるのか、逆にその狭さがどこか懐かしくて居心地の良さを感じさせる演出にもなっており非常に良いのです。
「英国人は礼儀第一」だと宣っていたテッドは妊娠と出産の決意を聞かされ焦り散らかし「できればそばにいて欲しいけどあなたはこれまで通り生活して構わない」との心にもないフォローを真に受ける始末。
名前を一緒に考えるか問われ「僕はいいかな、どっちでも」と答える男にはマギーでなくても最上級のガッカリ感でゲンナリしますわな。
かたやドアマンはというと、「お腹の子は小魚サイズでヘルメットも被れやしないのにそんな身体で自転車に乗るなんて」と怒ってみせる紳士ぶり。
どんどんとお腹の膨らんでくるマギーと格段の労りを見せるグズミンの間にある恋愛とは関係のない家族愛のような信頼がありつられてほっこりできます。
その『ほっこり』感はいざ赤ん坊が産まれてくれば留まることを知らず、こんな絆があれば何があってもやっていけるという安心感がそこにありました。
しかし別れは突然にやってきます。
マギーに新たな仕事の依頼が来て、じゅうぶんにその才能を発揮できる喜ばしい依頼内容にも関わらず彼女の表情が暗いのは職場がLAに移るから。
マギーとその娘サラを溺愛しているグズミンこそ一人残され寂しさを抱える事は間違いないのにここでも自分のそんな気持ちには見向きもせず彼女達のために背中を押す役目に徹するのです。寂しさを押し殺した背中だけで大いに泣けます。
数年後の再会では、心に決めたダニエルをわざわざ紹介しに来たようで、堅物グズミンからすんなりと初めての『合格』が。
グズミンが見てたのは相手の男ではなくマギーが相手を見る目だったそうで、なおさらいつだって見守っていてくれたこのドアマンの大きな愛をそこに感じました。
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▼次回、エピソード2