第1話
あらすじ
2016年、イギリス。13年間の監禁生活から脱出してきたアイビーは警察に保護され、家族や友人たちもアイビーの帰還を知る。しかし、13年間はあまりにもブランクが大きかった。そんな中、犯人の身元が判明し...。
ネタバレ感想
好きな映画を挙げるなら5本の指には『ルーム』が入るので誘拐モノ、それも長期の監禁がテーマとなれば見ずにはいられません。
短さやレビューの点数だけ見るとややB級なのかな?とぼんやり思っていましたが、BBC製作なのですね。
タイトル通り、13歳の頃に誘拐された〈アイビー・モクサム〉が主人公らしいのですが、このサーティーンという数字は誘拐から13年後に逃げ出したという経緯にもかかっているそうで、少女どころかいきなりパニック気味の成人女性が出てきた事に小さな驚きがありました。
何が起きたのか、開始早々監禁場所から逃げ出したアイビーは911で助けを呼び、エイボン・サマセット警察に保護される事に。
家族対応担当の〈アリア〉に導かれるままに身体検査や決定的な証拠に繋がる可能性がある衣類や爪を回収されひと段落してもぼんやりと待機させられるアイビー。
こんな時いち早く家族に報告がいくのかと思えば、生身で監禁から脱出してきたのが本人なら前例がない前代未聞の事態らしく、外部に漏らさないよう慎重に本人確認を行うようで、これもまた体の良い監禁と変わらないように見えます。
女性巡査部長で特殊犯罪担当の〈リサ・マーチャント〉と、男性警部の〈エリオット・カーン〉による事情聴取が始まりますが、これまで2人の自称アイビーが出ていたりと、疑ってかからねばならない事情も分かるものの特にリサの冷たい視線には居た堪れないものを感じました。
警察からアイビーの母〈クリスティナ〉に連絡がいき、父〈アンガス〉も呼ばれて13年ぶりの再会となります。
余韻も束の間にアイビーへ聴取を取りたいという警察に従い、残された家族はこれからについて考えます。
事件の影響が少なからず家族に亀裂を入れた事は確かで、家を出て不倫中のアンガスに対し、クリスティナは「何もかも事件の前に戻すのよ」と帰ってくるよう指示。頼みやお願いではなく完全な指示、もっと言えば決定事項の報告というニュアンスさえ感じます。
アイビーの証言の元、彼女が監禁されていた地下室がある家に踏み込むも、犯人の〈レナード〉どころか、中は間抜けの殻で、隅々まで消毒され何一つ証拠が残されていない状況です。
帰宅後彼女の不在に気づき、証拠を消して回って行方をくらますまでたった3時間しかなかったにも関わらずどこまで用意周到だったのか。
念の為受けたDNA鑑定は一致したものの、結婚間近な妹の〈エマ〉が「あの女の人はアイビーじゃない」とやけにシリアスムードな上に、家宅捜索ではアイビーのパスポート用写真が見つかり外出していた可能性や、男の部屋にアイビーの衣類がかけてあった事で「地下室に繋がれていた」という当初の証言との矛盾が出てきておや…?という雰囲気。
ガソリンスタンドの監視カメラで犯人の顔が割れ、同時にデータベースで〈マーク・ホワイト〉という本名も判明し、大々的に指名手配となります。
13歳の頃の恋人〈ティム〉が訪ねてくるも、やはり『13年』の時の流れはあまりにも残酷で…。ティムには結婚を約束した恋人がおり、それでもあの時のまま外見だけが大人になってしまったアイビーに全てを話せるはずもなく慌てて左手の薬指からコッソリと指輪を抜き取るシーンは変なリアルさを感じます。
リサは証言の矛盾や犯人の特徴を話さないアイビーに対し、『ストックホルム症候群』なのではないかと感じているようです。これは平たく言えば、誘拐や監禁の被害者が犯人に対し肩入れし、依存したり好意を持ってしまったりするという心理学的な症状の事を指します。
リサとエリオットは恋人関係で、アイビーへの同情心が大きいエリオットに対し、どこか嫉妬に似た感情が見え隠れしているのが気になりましたが、徐々にアイビーがエリオットに対して見せる素振りや従順さはもっと気になります。
捜査に進展があり、なんと犯人はかつてアイビーの通う学校で働いていた職員だった事が判明。その上事件後も働いていたとの事。
さらにさらに、家族でのディナー中にやって来たリサとエリオットはアイビーに署へ同行するよう言って、「犯人の男が別の少女を誘拐した」と話すではありませんか。
いやいや、あまり期待していませんでしたが、なかなか面白い第1話です。これは続きが気になります。
サーティーン/13 誘拐事件ファイル [ ジョディ・コマー ]
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▼次回、エピソード2