エピソード1『やあ、君』”eps1.0_hellofriend.mov”
あらすじ
エリオットは勤務先のコンピューターセキュリティ会社オールセーフで大規模なハッキング被害に対処する。それをきっかけに謎の男“ミスター・ロボット”と彼が率いるハッカー集団“f・ソサエティ”に出会い、世界最大のコングロマリット、悪魔コープを倒し富を再分配するという壮大な革命計画に巻き込まれていく。
ネタバレ感想
SFモノはあんまり興味がないので一度はスルーしていましたが、無性に目につくサムネを開くとレビューは高いわ、よくよくあらすじを読んでみるとロボットの世界どうのこうのといった話では全く無いという事実が判明し、むしろ好みの陰謀系といった方が近い感じのこのタイトル。
プライムビデオで全シーズン配信しているしこれは見るしかなさそうです。
ボヘミアン・ラプソディで主演を務め一躍トップスターとなったラミ・マレックですが、このミスター・ロボットシーズン1の2015年時点で主役を務めていたのですね。というか調べてみるとナイトミュージアムや24、ザ・パシフィックなど有名作品にも色々と出演してらっしゃる。かなり印象に残りやすい顔なのに調べるまで気付けませんでした。
しかしこのラミ・マレックのキャスティングは一言で言って『さすが』です。
若き凄腕プログラマーの主人公〈エリオット〉を演じているわけですが、天才と気狂いは紙一重的なアングラ感がしっくりきていて、ジャンキーという面も持ち合わせるエリオットの目つきや、どこか浮世離れして全てを悟ったかのような雰囲気がマッチし過ぎております。
白目の幅が広いところがかなり印象的でアンドロイド感が出過ぎているあまりに、タイトルも相まってSF系のロボット設定かと勘違いするほどです。
ITの専門分野に特化したテーマな分簡単な話では無いのですが、基本的にエリオットの独白で終始話が展開していくので意外に分かりやすく話についていく事ができます。
そもそも二面性のある凄腕ハッカーという設定だけで厨二心をくすぐられますしね、はい。
「俺なら3分で1人の男の人生をぶち壊せる」と自称するエリオットが最高に厨二病で、しかしながらこのイキり方をしても現実にそれを可能にしてしまうという技術力のバランスが非常に良い。
サイバーセキュリティの会社でエンジニアを担当するコミュ障のエリオットにはハッカーとしての夜の顔があり、ハッキングを通して独自に犯罪を撲滅していくというヒールな正義の守り方をしております。
エリオットには同じ職場で働く〈アンジェラ〉という幼なじみがおり、プライベートではカウンセラー〈クリスタ〉の元へカウンセリングに通っています。
しかし、もはやそういう性なのか、同じく同僚でもあるアンジェラのボーイフレンド〈オリー〉の事や、クリスタの婚活状況などをパスワード解析してSNSやメールの覗き見から調べ上げているエリオット。これだけ他人のプライベートを知る事が出来れば人間不信になりそうな反面、いかにその人物が信用に値するか測る事が容易くて羨ましくもあります。
実際にエリオットがオリーに全く心を開かないのは、距離無しで踏み込んでくるこの男が「俺はアンジェラを愛してるんだよ、彼女が何より大切なんだ」と口では言いながら最初の『愛してる』はチャットで、その後何度も浮気を繰り返している事を全て覗き見ているからなんですよね。いやぁ、面白い。
ネット社会に生きる匿名の孤独な存在でも家に帰れば〈クウォーティー〉と名付けた金魚が待っていてくれるのは唯一の救いです。
社会に怒りを抱え、情緒不安定なエリオットの不安発作はどんどん短くなっているようで、中毒にならないよう1日30ミリグラムまでのモルヒネを吸引する事で対処しているという悪循環も。
第一話ではそんなエリオットが働く勤務先《オールセーフ》が過去最悪に大規模なハッキング攻撃に遭い、切羽詰まったアンジェラからの頼みで対処するほどに拡散する仕様となったウィルスを見抜き何とか対処するも、攻撃相手〈f・ソサエティ〉が残した「このまま放置しろ」というメッセージが気にかかり自分だけがアクセスできるよう隠しておく事にしたエリオット。
これが発端となり、何度か見かけていた浮浪者のような男と地下鉄で接触する事になってしまい、〈ミスター・ロボット〉の名が入った上着を着るこの男は「消去してないなら一緒に来い」とエリオットに話しかけ、どうやらサイバー攻撃と大きな関係がありそうなのです。
電車から降りて男にブルックリンまで連れられていった先はf・ソサエティの本拠地であり唯一の活動拠点で、何らかのプロジェクトを進めているのだとか。
オールセーフへの大規模な攻撃はエリオットを勧誘するか否かの試験だったようで、現実か妄想かも信じられなくなったエリオットがf・ソサエティを検索しても、ネットですら誰も触れていないという時点でミスター・ロボットは本物の凄腕だと確信します。
証拠を固めてハッカー集団f・ソサエティを突き出すと話すエリオットは、「自分たちを支配する存在に気付き、世界の矛盾を感じているからここへ来たんだろ」と指摘され、f・ソサエティのプロジェクトでこの仮想現実がもう少しで止められるのだと聞かされます。
オールセーフの取引先でもある世界最大企業『E・コープ』またの名を《悪魔コープ》は世界の金融を完全に手中に収めており、そこを倒す事が出きればより良い平等な世界になるという信念のもと革命を起こそうとしているらしいのです。
データセンターの攻撃でサーバーを初期化しカードの支払いやローンといった借金を無くす事で、過去にない規模での『富の再分配』を行うのだと本気で語るミスター・ロボット。
E・コープの事を指す『コングロマリット』という単語が何度か出てきて、コングロマリットとはなんぞや?と思い調べてみたところ、複合企業の事を意味するらしく、日本で言えばソフトバンクグループや楽天グループが典型例だそうです。
FBIとサイバー軍がオールセーフに乗り込む情報を掴んでいるミスター・ロボットから、内部から崩していくためにもDATファイルを書き換え〈コルビー〉のIPをファイルに加えるよう任務を下されたエリオットは、この計画が以前から感じていた自分の世間に対する強い怒りの解決にも繋がると思い始めます。
どこか清々しい表情を見せたエリオットは、f・ソサエティを暴く証拠が入った封筒を机上に用意し、悪魔コープとの会議に臨みますが、尊大な態度で顧客主任のアンジェラを外したE・コープCTO《最高技術責任者》のコルビーを見て、偽のIPアドレスを割り出した資料をFBIに引き渡しました。
この封筒の入れ替えを目敏く見ていた悪魔コープの技術担当上級副社長〈タイレル・ウェリック〉が気になりますねぇ。上役にしてかなりITに精通している人間っぽいですし彼が大きなキーになってくるのでしょう。
CTOの不正に繋がる資料を提出したにも関わらず、10日以上が経過しても何の騒動にもならない現実は、エリオットを元の独自ハッキングルーティーンに戻すには十分の時間だったようです。
クリスタの新しいお相手が偽名を使っていると気付き、既婚で何股もかけている上に売春までしている事実を本人に突きつけ、「全て話して別れなければ警察に突き出す」と脅しをかけ、ついでにほぼ虐待のような扱いを受けていた小型犬を引き取ってきました。
泣き腫らした顔のクリスタにカウンセリングしてもらい、会議以来避けられているアンジェラと面と向かって話す事にしたエリオット。
会議から3週間が経ったこの時点でようやくエリオットの仕掛けた罠がハマり、長期に渡る調査の結果ハッキングに使用されたのがコルビー氏の端末だったとCTOの不正及び逮捕が報道され始めます。
ついに動き出した事態にこれが紛れもない現実なのだと舞い上がるエリオットに近付き、車に乗るよう指示する黒服の男達。
彼らに連行された先はとある高層ビルの一室でした。その中にはタイレル・ウェリックの姿も…!
頂点に立つ一握りの権力者達が神様ごっこをしている、というのはあながちドラマだけの世界ではないのでしょう。
1話を見た感じだと右に倣えの現代社会における富裕層と貧困層の格差に警鐘を鳴らす作品、といった感じですかね。見応えもあり、よくある『途中まで見ていたら知らない間にどんどんハマっていた』系の海外ドラマではなくド直球で1話目から面白くて引き込まれました。
エリオットには今後とも世界の壮大な闇にのまれ揉みくちゃにされていって欲しいものです。
パーカーのフードを被って歩くいかにもな感じは実際のアメリカの街中なんかではメジャーなスタイルなのでしょうか。
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