ほんとうのピノッキオ
あらすじ
ジェペット爺さんの家を飛び出したピノッキオが繰り広げる奇想天外な冒険を、社会風刺や示唆に富んだ物語として描く。貧しい木工職人のジェペット爺さんが丸太から作った人形が、命を吹き込まれたようにしゃべり始める。ピノッキオと名付けられた、そのやんちゃな人形は、ジェペットのもとを飛び出し、導かれるように森の奥深くへと分け入っていく。「人間になりたい」と願うピノッキオは、道中で出会ったターコイズブルーの髪を持つ心優しい妖精の言いつけも、おしゃべりコオロギの忠告にも耳を貸さず、ひたすら命がけの冒険を続けるが……。
ディズニーの名作アニメ「ピノキオ」でも有名な児童文学「ピノッキオの冒険」を、「ゴモラ」「ドッグマン」などで知られるイタリアの鬼才マッテオ・ガローネ監督が、美しくも残酷に映画化したダークファンタジー。
予告動画
2021年・第93回アカデミー賞で衣装デザイン賞、メイクアップ&スタイリング賞の2部門にノミネートされている。
ネタバレ感想
ピノキオと言えばディズニー映画のイメージですが、実写版〈ピノッキオ〉のリアルさは『THE木目』でした。
まず開始早々乞食のような振る舞いを見せる〈ジェペット〉にたまげ、どうしてもジミニー的なイメージで定着していた〈おしゃべりコオロギ〉の唐突な現れ方とその風貌の破壊力にギョッとします。
親方はあそこまでおったまげていたのに、その他の登場人物の喋って動く人形に対する反応が「ちょっと珍しい」程度なところにファンタジーの世界観を思い出させられました。
ストーリーはほぼほぼ童話のピノキオで、誘惑に負けて自己中心的な思考のピノキオの成長物語です。
どうしようもない悪党もいれば、同情して助けてくれる人々が予想以上に多いところはある意味でリアルかもしれません。
妖精は良いとして、カタツムリだったりマグロだったり異様に独特な世界観があり、ロバに変わる悶絶シーンなんかは童話と言えど、子供には見せればトラウマ級の映像でした。
ちょこちょこと闇を感じるシーンが出てくるも、場面転換が潔く、ご陽気な音楽でかなり和らいでいる部分も多かったです。全体的に映像美というよりは音楽が印象的。
ダメな方にダメな方に進んでいたピノッキオがついに心を入れ替えて勉学や労働に励み、親孝行も忘れない人形になった暁には妖精が現れて本物の人間にしてもらえてハッピーエンド、という結末。
大体のストーリーは知っているし単調なのにどこか飽きさせないテンポの良さがあって童話の実写ものにしては比較的長尺に感じる2時間強も余裕で見ていられました。
評価(平均点高めの設定です。)
3.8 /5 点!
概要
監督:マッテオ・ガローネ
時間:2時間4分
配給:ハピネットファントム・スタジオ
公開日:2021年11月5日