エピソード1『あなたが愛したスポーツカー』“On a Serpentine Road, With the Top Down”
あらすじ
オープンカーでドライブすれば、私だってシフトチェンジできると思える。危険に立ち向かい、問題に対処し、そして悲劇を乗り越える。夫は目を潤ませてこう言った。
「あの車が好きなんだろ。前のご主人はすばらしい人だったんだな。」
ネタバレ感想
2021年8月13日にようやくモダンラブのシーズン2が全8エピソード解禁されました。
サックリ見られる小洒落たエピソードばかりなので楽しみにしておりましたが、事前に見られるボーナストラックの感じからして今回はよりマイノリティ特化な雰囲気でそれがどう転ぶのか。まぁ、そもそもニューヨーク・タイムズに掲載されるようなコラムの選出なので、ありきたりなものはなく短い尺でほっこりさせてくるのでしょう。
女医の〈カラン先生〉は、時々しか乗らない30年前のスポーツカーに一種の執着を見せています。
夫の〈ナイアル〉からはたびたび故障する車の修理費や維持費がバカにならないと言われ、ナイアル自身も趣味の船を家計のために売るつもりでいるので大学生活を送る長女〈シャノン〉とまだ幼い次女の〈メリッサ〉のためにも貯蓄に回そうと大人の決断を。
売り手は決まっても内心渋っているのは明らかで、この車にそれほどの思い入れがあるのが見て取れます。
オンボロのスタッグは、死別した前の夫がまだ学生時代に買ったこれまでの思い出が詰まった車で、今となっては唯一亡き夫を感じられる空間なのです。
上の娘シャノンが生まれる前も生まれてからもずっと一緒で、幸せな時も辛い時もいつもこの車が一緒だったという過去が。
夫を亡くしてからシャノンと二人になった時にもこの車がそばにあり、一人の時には助手席に座っているかのような故人と会話を楽しむほど。
ようやく車が売れたタイミングで、前の夫にあの車を通じて想いを馳せていた事を打ち明けた時の今の夫の対応もこれまた大人。
どう考えても勝ち目のない故人への愛に嫌な顔をしたり皮肉を言ったりするどころか、全てを肯定し受け入れ認めるというのは簡単ではありません。
もう会えない、美しい思い出に溢れた前の夫にばかり愛の比重が大きくなりそうなものですが、「人生で二度も伴侶に恵まれた」という呟きが出る主人公にも寛容さを感じました。
寛容さで言えばもちろん器が大き過ぎるナイアルは、妻の隠されていた苦悩を知り、いかにあの車が大切なものだったのか理解すると車を買い戻しに行ってくれて、これからも思い出と共に歩み続ける人生が始まりそうです。
最後に帰省した娘をスタッグで迎えに来た母親に驚きながらも喜んで、かつて父が好きだった『デイズ・ライク・ディス』を選曲し、過去に戻ったようにドライブを楽しむ二人、もとい三人の雰囲気が最高に粋で良かった。
▼Amazonプライム・ビデオで視聴できます。
月額500円でプライム会員になれば、会員特典対象の映画やドラマ、アニメ、Prime Original 作品が見放題。30日間のトライアル期間でお試しも可能。
▼次回、エピソード2