スティルウォーター
あらすじ
逮捕された娘の無実を証明するため、異国の地で真犯人を捜す父親の姿を描いた。留学先の仏マルセイユで殺人罪で捕まった娘アリソンの無実を証明すべく、米オクラホマ州スティルウォーターから言葉も通じない異国の地へ単身渡ったビル。現地の協力者を得るも、ほとんどの地元民はよそ者のビルに口をきこうともしない。何者かの襲撃を受けるなど自らの身にも危険が迫る中、ビルはわずかな手がかりを頼りに前進していくが……。
予告動画
マット・デイモンが主演、アカデミー賞受賞作「スポットライト 世紀のスクープ」のトム・マッカーシー監督がメガホンをとったサスペンススリラー。娘のアリソン役は「リトル・ミス・サンシャイン」「ゾンビランド」のアビゲイル・ブレスリンが務めた。
ネタバレ感想
マット・デイモンにハズレ無し、というわけで本格派サスペンス・スリラーを期待しての鑑賞です。
娘の無実を晴らすために親父が奮闘するというざっくりとした前情報のみでしたが、その娘〈アリソン〉というのが逮捕劇うんぬんがあるのではなく、開始早々異国の刑務所で既に5年もの刑期を過ごしてきているのには面食らいました。
留学した先で恋人であり同棲していた〈リナ〉殺害容疑で実刑判決が出ていたアリソンでしたが、面会時に弁護士に宛てた手紙を渡してくれ、と父親に懇願。
ここからアビゲイルの無実を晴らすためにマット・デイモン演じる父親がちょこちょこ暴走しながらも奮闘していくのです。
いかにもアメリカの片田舎に居そうな親父風なのに引きで見るとそのスタイルの良さが際立っていてやはりマット・デイモン感は隠し切れません(笑)
娘を救うために真実を追及していく最中にも関わらず、わりと自然な形でのシングルマザーとその娘との出会いがあり異国での不思議な同居生活が始まります。
もはや実の娘は置いてけぼり感もありますが、仮釈放の1日が描かれる時にはこの家族との交流もあり、切なくもほっこりさせられたり、それでも根深い闇が露呈し自殺未遂があったり…。
思い返してみると色々と起こり過ぎなほど機転や事件が起こっているのに詰め込み過ぎに感じさせない所は単純に凄い。
終盤になり真犯人疑惑の男を偶然見つけてしまってDNA鑑定までの間、監禁までしてしまうのですが、結局のところアリソンは完全に無実で濡れ衣を着せられていたのではない、という真相に辿り着いてしまった時の取り返しのつかなさよ…。
タイトルにも冠される『スティルウォーター』は父娘の故郷であり、その地名そのものが事件の真相に大きく関与していました。
あの幸せな3人暮らしを捨ててまでした行いが完全な正義に繋がらなかった、ある意味で実の娘に裏切られた辛さと、なりふり構わず愛する娘を救うためにとった行動が結果的に娘を刑務所から助け出せたという無償の親心のせめぎ合いなんかを考えると天秤はどちらに揺れるのか。
娘を取り戻してなお複雑な感情だけが残り、思い出の曲で浸るしか為す術もなく、かと言って結果論でしかなく、何もせずに事態を傍観する事が出来たのかと聞かれればそれも絶対に無理だったろう、とか。
勧善懲悪全否定のようなラストのたたみ方は個人的には大好物です。
まさに『人生は冷酷だ』という台詞を上手く表した真相でした。
つい最近ようやくリトル・ミス・サンシャインをレンタルしてきて見たばかりなのですが、そうか、あの少女がこんなに大きくなったのか…と感慨深いものも。
『私の中のあなた』や『幸せのレシピ』『ハウンター』なんかでもメインキャラクターを演じる事が多いようで、どうりでなんとなく見たことある顔だなと思いました。
評価(平均点高めの設定です。)
4.3 /5 点!
概要
監督:トム・マッカーシー
時間:2時間19分
配給:パルコ
公開日: 2022年1月14日