エピソード10 “The Honourable Thief”
あらすじ
フェリシアがケンブルフォードに帰ってきた。伯爵がダイヤモンド鉱山のビジネスでだまされて負債を抱え、美術品や宝飾品を競売にかけるために戻ってきたのだ。しかしロシア人のニコライ・ソロヴェイに首飾りを盗まれてしまう。ソロヴェイから首飾りを取り返すべく、ブラウン神父は、旧知の泥棒フランボウを呼び寄せる。
ネタバレ感想
北ローデシア、ルサカの英国大使館でレディ・フェリシアに近付く男の姿が。
〈ニコライ・ソロヴェイ〉曰く、革命後に彼の家に伝わる工芸品が押収され欧州のアンティーク収集家に売られたとかで、彼が差し出した1枚の写真に映っていたアクセサリーはレディ・フェリシアが持っているネックレスでした。
ファベエルジェの弟子ウィグストロム作のこの首飾りを買い戻したいと言うソロヴェイ。
同情はするけれど亡き父からの贈り物なので売れないと断るフェリシアさん。正当な所有者は自分だと主張され、その場から立ち去ろうとすれば彼の用心棒〈ユーリ〉が立ちはだかります。
どちらにせよ今は手元になく英国にあると言ってその場はやり過ごしましたが、どちらも一歩も引かない雰囲気で穏やかに解決とは行かなさそう。
それから1ヶ月後、イギリスへ一時帰国してきたフェリシアさん。
なんと伯爵がダイヤ鉱山の投資話に乗って全財産以上を投入したものの、成果が得られないどころか酷い事故が起きて負傷した作業員達への賠償責任があり美術品や宝飾品を競売にかけるために帰ってきたそうです。
大変なフェリシアさんを励ますためにも、銀行や競売所までは全員で付き添います。
一刻も早く負債を生産しないとあのお屋敷まで失う事になるほど追い詰められているようで、例の首飾りも競売にかけることに。
しかし、銀行から取り出した首飾りを載せた護送車が発進してしまい、運転席には一度見たユーリの姿が。
慌てて追いかけるも車は乗り捨てられていて本物の運転手が意識不明の状態で倒れており、その横には首飾りの空箱が落ちているだけでした。
ソロヴェイがイギリス滞在時に利用していると話していたホテルへ探りに行くと、ホテルで働く従業員に教会の聖歌隊員だった〈ダニエル・ウィンクス〉の姿を見つけます。
まずはブラウン神父が単身乗り込み、ウィンクスにこっそりソロヴェイがどの人物なのか聞いてバーで接触を試みます。
フェリシアさんと知り合いだという事は隠して行くにしても、挨拶もそこそこに伯爵夫人の首飾り強盗事件について切り出し、とんでもないど直球ストレートな探り方です(笑)
ただ、ブラウン神父としては本当に彼が強盗に噛んでいるのか確信を得るために『全て知っているぞ』という圧をかけるぐらいのつもりだったようで、これまた逆効果にならないか不安なところ。
ソロヴェイが盗んだのに間違いないと確信したブラウン神父は再びウィンクスを捕まえてかなり無茶を言ってソロヴェイの部屋を開けさせます。
中で重厚な金庫を見つけて帰ってきましたが、警察は十分な証拠がないから調べられないと言ってあまり相手にしてくれません。
警察が無理なら自分たちで取り返すしかない、となれば、あの金庫を警報器を鳴らさずに破る必要があるのです。
「犯罪の達人なら神父様の友達にいるわ」とバンティ。
正直シドを期待していましたが、こんなパターンでのフランボウ登場は斬新で少し笑ってしまいました。やはりシーズンラストの風物詩(笑)
それにしても、こちらからフランボウへの連絡手段があったのか。
『永遠なる感謝』を見返りに協力して欲しいと頼んでも報酬ゼロならやらないとバッサリだったフランボウも、ソロヴェイの名を聞くと途端に態度が一変。こちらにもまた因縁があったようです。
実は数ヶ月前、ロシア最後の皇后の冠を盗めとソロヴェイに依頼されていたフランボウ。しかし、現場に着いた時には冠は既になくソロヴェイ自身が盗んだ後で、ソロヴェイはフランボウが冠を狙っていると警察にタレコミ捜査撹乱のために利用していました。その時の復讐を果たすために協力してくれると言うのです。
『美女』と『ギャンブル』というソロヴェイの2つの弱点を利用するフランボウの計画にはマッカーシー夫人を含めた全員の協力が必要になるとか。
まずはバンティがソロヴェイに声を掛けさせ、裕福な名付け親のフリをしたマッカーシー夫人とのバカラの場に誘い出しました。
その間に顔が割れているフェリシアさんはメイドに変装してユーリが待機するソロヴェイの部屋に入り、部屋の窓を開けると洗濯室にユーリを誘って薬を仕込んでおいた酒を飲ませます。
ユーリの脅威が無くなったところでフランボウとブラウン神父は部屋に入り込んでいざ金庫破りに取り掛かります。
バンティが酔っ払ってしまうハプニングがあったり、思ったより重厚な金庫に手間取ったりしますが、ついに金庫が開き中に入っていた首飾りを取り返せました。
しかし、他には何も取らないという約束のはずがフランボウは次々に金庫の中身を自分の荷物の中にしまい込んでフェリシアさんが止めるのも聞かず首飾りまで奪って逃亡。
その騒ぎでフェリシアさんがユーリにバレて、芋蔓式にソロヴェイにも伝わるも、とりあえずはブラウン神父も含めた皆の共謀ではなくフランボウに盗まれただけという話にできたのが不幸中の幸いでしょうか。
しかしあのフランボウですからただただ裏切って行くとは考えづらいもの。
ユーリとフランボウの後を追おうとしていたソロヴェイは、検問をはっていたマロリー警部補達に止められます。
盗品を所持していると通報があって張り込んでいたそうで、巡査部長が調べた車のトランクからは首飾りの入ったフランボウの荷物が。
しっかり同じ手でやり返すことで復讐を果たしたフランボウ。フェリシアさんの盗品も正式なルートで返ってきて、強盗犯のソロヴェイとユーリも逮捕されるというこれ以上ない結果に終わりました。なお、この計画はフランボウとブラウン神父が共謀しており、話を聞かされていなかったマッカーシー夫人やレディ・フェリシアは最初から話して欲しかったとボヤきますが、敵を騙すにはまず味方から、という事ですな。
マロリー警部補によればフランボウは少しソロヴェイの金をちょろまかしていったそうですが、その金を使って匿名の入札をして高値で首飾りを落札した上にその首飾りはレディ・フェリシアに返すつもりというただの粋な良い奴というラスト。いいですね。
やや飽きがきていた感もありましたが、このシーズン7は全体的に話が面白く盛り返してきた感じです。
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