エピソード3 “The Requiem for the Dead”
あらすじ
マギー・バンクス殺しの罪で14年間服役していたネッド・ハニガンが出所し、ケンブルフォードに姿を現した。ネッドはマギーの殺害は認めていたものの、遺体の在りかは明かしておらず、遺体はいまだに見つかっていない。そのため、バンクス一家は今なお苦しみから抜け出せずにいた。ネッドは誰かと会う約束があって村に戻ってきたようだったが、さっそくマギーの父親ジョンとトラブルになる。
ネタバレ感想
『住みよい村コンテスト』の準備を指揮するマッカーシー夫人はいつも以上にイキイキしています。
娘の〈マギー〉を殺人で亡くした〈バンクス夫人〉もこの準備に参加していましたが、出所してきたマギー殺害犯の〈ネッド・ハニガン〉がその場へ現れ、やや混乱状態に。
マギーの父〈ジョン〉は、妻からネッド・ハニガンが村に来ていると聞くや否や、息子の〈ダニエル〉が止めるのも聞かず穏やかではない表情で外へ。
ブラウン神父は聖職者だけあって、釈放された全国区の殺人犯にも寄り添って世話をする義務があります。
遺体の在り方を教えろと凶器を持って食ってかかってきたジョンとネッドは揉み合いになり、ダニエルの呼んでいた警察が駆け付けてきていたおかげで死人こそ出ませんでしたが、ネッドは手のひらを負傷。
状況証拠しかないまま殺人は認めても黙秘を続けているネッドとマギーの間には一体何があったのでしょうか。
バンクス夫人が行方不明になり、シドとブラウン神父が森の中を探していると横たわって死んでいるネッドを発見。
温室に居たというバンクス夫人も怪しいですが、家族全員に動機がある分誰かを庇っているのかもしれません。
ネッドが司祭館へ置き忘れていった荷物の中には、去年出版されたばかりの本が農場主で育ての親の〈グレイシー〉から贈られた形跡が見つかります。
つまりグレイシーさんはネッドのところへ面会に行っていて、釈放されたネッドと会う約束をしていた可能性があり、グレイシー農場もまた遺体発見現場の森に隣接しているのです。
グレイシーさんが言うには、最後に刑務所へ行った時、面会者名簿にダニエル・バンクスの名前があったそう。
警察は腕時計に残された指紋が一致した事から、ネッド・ハニガン殺害容疑でバンクス夫人を逮捕。
ハニガン夫人は台所の窓からネッドの姿を見て追いかけていき、森の中で倒れているネッドを発見。脈を確認した際に腕時計に指紋が付いてしまいました。
彼の死亡を確認したあたりで夫と息子が自分を見つけて、先に見つけた事は隠蔽しようとその場を急いで去ったようです。
これらをハニガン夫人本人の口から聞いたブラウン神父は真相を突き止めることを約束。
司教との定例電話があり司祭館を離れられないブラウン神父は、出所直前のネッドに会いに行ったダニエルを訪ねて欲しいとシドに託しました。
ダニエルが面会に行った理由は、家族を呪縛している妹の殺人事件について蒸し返されてこれ以上状況が悪化する事を懸念して、出所しても村に戻ってくるなと伝えるため。
そして、ネッドと乱闘騒ぎを起こして警察に連れて行かれていた父親は、『警察署からまっすぐ帰った』と話していましたが、実際には1時間前に署を出ていたそうなのです。歩いて10分の距離にも関わらずそう話した父親が森から出てくるのを見ていたダニエルは当然父がネッドを殺害したのでは……と勘ぐりますよね。
ブラウン神父とマッカーシー夫人が戻った司祭館の方では、窓ガラスが割られていて置いてあったお手製の焼き立てスコーンが無くなるという事件が。
ジョンのところへ話を聞きに行ったブラウン神父は、娘の遺体を見つけ出してやりたい父親の切実な心情を聞いております。
そして、何としても遺体発見に繋げようと14年にも渡って独自の調査をしているジョンの資料を見ているうちに、ある一つの仮説に辿り着きました。
ネッドには「マギーと一緒に森に行った」というグレイシーさんの証言と、グレイシーさんが見つけた血の付いた上着という2つの不利な証拠があり、どちらもグレイシーさんが関連しています。
恩義のあるグレイシーさんを庇って罪を認めても、知りもしない遺体の居場所については言いたくても言えなかったのではないでしょうか?
もはやマロリー警部補だけが規則を遵守しているのでは?と思うほどやりたい放題なブラウン神父達は、定番化した巡査部長の計らいで保管室から当時の事件資料を盗み見るどころか盗み出してきております(笑)
それによればグレイシーさんには終日農場にいたというアリバイがあることが分かりました。
また振り出しかと思われましたが、捜査資料に映っていた写真とネッドの荷物に入っていた双子座の円盤が同じ物だと気が付き、誰も嘘をついていなかった、と閃くブラウン神父。
ネッドは生きていて、彼が養護施設をでてからすぐに行方不明になっていた双子の兄〈ブリン・ハニガン〉の存在の確認も取れました。
司祭館に押し入ったのは、忘れてきた自分の荷物を取り戻すため。
双子の兄弟は2人で1つの人生を分け合っており、交代で1人が隠れながらもう1人がネッドを演じる事でなんとか外の世界で生きて行こうとしていたのです。
そんな運命共同体かのような2人なので、兄の犯した罪を背負って刑務所に入る事も厭わなかったネッド。
出所したネッドは森で兄と密会し、実際に14年前何があったのか、そして遺体はどこにあるのかと問いただしました。
森の端にある蓋付きの古い井戸に隠したと聞き、当時の事を語っても「仕方なかったんだ」と言い訳するばかりで開き直ってすらいる兄を見限ろうとし揉み合いになった末に正当防衛で兄を殴り倒したのでした。
森で死んでいたのはネッドではなく兄のブリンで、ネッド本人がリスクを承知ですぐに村から逃げなかったのは家族に遺体を返したいという思いから井戸を捜していたようです。
どうせ正当防衛だと信じてもらえないとしても、自分は絞首刑になって当然だと涙ながらに語るネッドには救済措置が欲しいところ。同じように感じたブラウン神父は彼に告解をさせて 全てを綴った告白文を残した上で逃してやりました。
無実の罪で起訴されていたバンクス夫人は帰ってきて、ネッドの告白文を元に遺体の隠し場所とされる古井戸大捜索が始まります。
かつては森だった伐採地にまで捜索の範囲を拡げ、骨になってしまったマギーの遺体はようやく家族の元に帰り、キチンとした葬儀が開かれ弔われました。
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