エピソード4 “The Demise of the Debutante”
あらすじ
ローズウッド花嫁学校の生徒ネルが妊娠し、学校の看護師モードと密かに堕胎しようとしたが、警察が踏み込みモードは逮捕される。6か月後、釈放されたモードはブラウン神父の目の前で、坂道を下りてきた無人自動車にひかれて死ぬ。モードの夫ジンボは学校の共同経営者ウィラード牧師が犯人だと疑うが、牧師もまた毒殺され…
ネタバレ感想
闇堕胎を請け負っていた看護師の〈モード〉は踏み込んできた警察から逮捕されてしまいます。
被害者を脅してモードの名前を引き出し、彼女を告発したのはゲス顔の〈ウィラード牧師〉 で、妻を逮捕させた事で怒り狂う夫の〈ジンボ〉は巡査部長と公衆の面前で「貴様を殺す!」と脅してしまいました。
その6ヶ月後、“ローズウッド花嫁学校”のパーティーに行くというバンティに誘われたマッカーシー夫人とブラウン神父。
既婚男性である元校務員のジンボの子どもを妊娠した生徒がいるというゴシップを話しておりますが。
モードが逮捕された日に堕胎を予定していた〈ネル〉もまた花嫁学校の生徒で、今では無事に出産を終えた彼女をサポートしていたブラウン神父とマッカーシー夫人は彼女を見舞います。
家族に勘当され、学校にも戻れなくなったネルは退院後には子供とも引き離されて孤独に路頭を彷徨うことに。
それを聞いたマッカーシー夫人が母子保護施設を提案するも、施設に入れば子供が養子に出されてしまい、それも避けたいから助けて欲しいと縋るネル。
堕胎が法で禁止されていたこの時代、未婚の女性が妊娠するというだけでもタブーで、こういう場合には生まれてきた子は母親と引き離されて養子に出されるのが子供の将来のためには当たり前の事という価値観だったんですね。
ただ、赤ん坊と離れたくないと願うネルの気持ちを汲んだブラウン神父は、司教や慈善施設に掛け合ってみると約束しました。
花嫁学校の教師〈ローズウッド〉と、資金援助したウィラード牧師で共同経営の形を取っているそうですが、この2人もイマイチ馬が合わないというか、牧師からの一方通行な関係性です。
奇跡的に釈放されたモードはかなり先進的な女性で、望まぬ妊娠で不幸になる女性の多さを現実的な問題として捉え、その手助けになるよう戦い続けるとのこと。
また逮捕されると心配するジンボも彼女の志を受け入れていましたが、モードは釈放されたその日に、坂の上から下りてきた無人の自動車に轢かれて亡くなってしまいました。
車の持ち主である丘の上の店のオーナー〈ケンプトン夫人〉は、ブレーキをかけてギアも入れたはずだと警察に話し、通りすがりに事故を目撃してその場に残っていたブラウン神父は事故ではないと口を出しつつ、森の抜け道を通って花嫁学校へ。
事故の際、妻に贈る花を選ぶため脇道の森に入っていたジンボはウィラード牧師が犯人だと疑って銃を持って花嫁学校に乗り込んできます。
ブラウン神父から、ウィラード牧師は犯行時刻にここに居たアリバイがあると説得され、「銃を置いたら私が真相を突き止める」という取引を受け入れたジンボ。
しかし、力無く銃を下ろした瞬間、暴発が起こりなんとマッカーシー夫人が被弾。弾は肩をかすっただけで大事には至らなかったのが幸いです。
突然のことにパニックになって逃げ出したジンボはその場に居たマロリー警部補達から追われる事に。
一方、新生児室から赤ん坊を連れ出し脱走を試みるネルは看護師に見つかってしまいました。
マッカーシー夫人の入院に付き添っていたブラウン神父は病院内での騒ぎを聞きつけて、再度母子で泊まれる施設を探すと約束しますが、退院予定までの時間がないだけにかなり切羽詰まっていますねぇ。
ネルの様子も気にかかりますし、モードを恨んでいた者が学校に居ないか調べるためにも入院中のマッカーシー夫人にはネルと話すという役割が与えられました。
そして、ブラウン神父はゴリ押しで一度は退学になっているバンティを2、3日花嫁学校に入れてもらえるよう掛け合います。当の本人は嫌がっておりますが(笑)
花嫁学校の中でも問題児で、彼女の仕掛けたイタズラのせいでバンティが退学になったという経緯もある〈セシリア〉は、ジンボに好意を抱いており、その気持ちを知るジンボは彼女の前へ姿を見せると、警察から逃げて身を隠している場所への差し入れを頼んでおります。
ただ、セシリアに欲情して後をつけていたウィラード牧師がこの現場を草陰から見ており、警察に密告してジンボは逮捕されました。
花嫁学校のパーティーは敢行されていて、男性陣がダンスを披露しているとウィラード牧師が突然吐きながら倒れて死亡。毒を盛られたようです。
牧師の上着に入っていた愛用の嗅ぎタバコケースからはニンニク臭がしており、これは殺鼠剤の臭いだと特定するブラウン神父。
この件でも、二度もウィラード牧師を脅迫したジンボの仕業だと信じ切っているマロリー警部補です。
ネルと話をするマッカーシー夫人は、彼女が本当に何も知らないまま騙されて罠にはまり、結果的に未婚の母になってしまったと知りました。
しかもその相手が、噂されている既婚者のジンボではなく、聖職者のウィラード牧師で、牧師本人が疑われないようジンボが相手だという噂を流していたのです。
立て続けにローズウッドさんまでウィラード牧師と同じ症状で倒れて救急車で運ばれます。
バンティの制服を用意してやったセシリアは、またミカン科の植物ヘンルーダの葉を制服に仕込む嫌がらせをしていました。
彼女がジンボに好意を抱いているのを見抜いているブラウン神父は、警部補に話せば共犯になると脅してこの葉がどこにあったのか尋ねます。
湖の岸辺で探し当てた痒みを引き起こすヘンルーダが重要なアイテムのようです。
バンティに出たヘンルーダによる発疹と同じような痕が倒れたローズウッドさんの脚にも出ていて、かゆみで皮膚を引っ掻いた際に、指に少量ついていた毒が体内に入り込んだ結果、倒れてしまうも死には至らなかった、と。
指に毒がついていたのは嗅ぎタバコに毒を仕込んだ時のもの。
入院して話せるまでに回復しているローズウッドさんに、モードと牧師を殺した事実を突き付けるブラウン神父。
モードを殺すのは時間的に無理で自分にはアリバイがあると言いますが、湖に乗り捨ててあったあのボートを使えばそれが可能なのです。
急いで学校へ戻ろうとしてボート付近に生い茂っていたヘンルーダに当たり発疹が。
モードが釈放されて夫と歩いているのを見かけたところ、「望まぬ妊娠で苦しむ女性を今後も救う」という“恐ろしい話”をしているのを聞いたローズウッドさんは手近にあった車のハンドブレーキとギアを外した、と。
「罪のない子を無惨に殺すのを何としても止めねば」という彼女は心からモードの意志を悪だと感じていたようで、これはかなり難しいところ。
ウィラード牧師については「不信心で好色でネルを不幸にした」とその通りなのですが、まさか知っていたとは。
ただ、黙認していたわけではなく、助けを乞うネルからの手紙を盗み読んで毒を盛るという決断に踏み切ったのだとか。
毒でふらつきながらも病院の教会に駆け込み、自分は罪など犯していないと主張して必死に神に祈りを捧げるローズウッドさんですが、意識混濁して地獄の業火に焼かれる妄想を見てしまっております。これが潜在的な罪の意識なのでしょうか。
そんな彼女にも神の慈悲深さを説いて告解に持ち込んだブラウン神父でした。
ジンボは無事に釈放されましたが、この男もあのままセシリアの気持ちを利用するのが上手くいけば彼女と関係を持ちそうな雰囲気もありましたし、ただただ妻を失った不憫な男というわけでも無さそうだったのがなんだかなぁ(笑)
病院ですっかりネルに同情したマッカーシー夫人は、彼女を受け入れてくれる慈善施設へ行くまでの6週間の間、自宅で母子を預かることにしたようです。さすがマッカーシー夫人です。
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