エピソード4 “The Children of Kalon”
あらすじ
心の病により施設に入院中のジェラルドに会いにいったブラウン神父。ジェラルドは自ら宗教団体を作り、そこで妻を殺害した過去を持っていた。彼は心身の状態が安定してきていることから、施設からの退院について、ブラウン神父に口添えをしてほしいと頼む。マッカーシー夫人の心配をよそにジェラルドの退院に協力するブラウン神父。しかし、ジェラルドは再び入信を求めて宗教団体に足を運ぶ。
ネタバレ感想
精神病院に入院中の〈ジェラルド〉はブラウン神父を呼んで、いかに自分が改心したかを伝えて何やら退院のための口添えを頼んでおります。
退院したらブラウン神父が社会復帰の手伝いをする、という受け皿になる事を医師との面談で約束した結果、ジェラルドは退院が決まり司祭館で受け入れることに。
ジェラルドの悪魔のシーンで遅ればせながらやっとピースが繋がりましたが、この“人殺しの変質者”ってカルト教団アポロ教会の指導者〈ケイロン〉ですか!(S1-ep.5)
「妻を窓から投げた男」と言われても全く気が付きませんでした。
そしてスージー懐かしいな!突然居なくなってまたこうして名前だけでも出てくるとは思いませんでした。アポロ教会に洗脳されかけたスージーはその後仏教徒と駆け落ちしたそうです。
確かにこの前提を考えれば、マッカーシー夫人がかなりの拒絶反応を示してブラウン神父を必死に説得しようとした気持ちが理解出来ます。あの男かー。
しかもあんな事件を引き起こしたというのにアポロ教会は健在で、今はケイロンに代わって〈トバイアス〉が指導者の地位に就いています。
早朝に司祭館をそっと抜け出したジェラルドはトバイアスの所へ行き「入信の許可を求めに来た」と。
玄関を見張っていたブラウン神父はすぐに用心棒のシドを引き連れて後を尾けていて、アポロ教会の信者達からもてなされるシュールな展開に。
教団は拡大していて来たる夏至祭には国中の支部から信者が集まるのだそうですよ。
同胞を殺した男を再入信させるだなんて言語道断だとする〈テルマ〉は孤軍奮闘状態で、娘の〈クララ〉と〈セレステ〉やトバイアスまでもがケイロンの復帰に前向きです。
そして洗礼の儀式が始まってしまい、テルマは声を荒げるもトバイアスから「神聖な儀式の邪魔をするな!」と一喝されてしまいました。
さぁ、誰が死ぬ?
無事に?再入信が済み、白装束を見に纏ったケイロンはしっくりしすぎています。スーツだと全く誰だか分からなかったというのに。
自身に対しかなり盲信的なクララに話をしようとしたケイロンは、自室を使おうとするも鍵が閉まっていて声を掛けても返事がありません。
ドアの下の隙間から室内を覗き見たクララは人が倒れているのを発見。
無理矢理ドアを開けると、中ではテルマが倒れて亡くなっていました。
シドが呼んできたマロリー警部補は一見して密室での事故だと考えるも、そうでないことくらい巡査部長でも考えずと分かります。
テルマが首から下げていた拡大鏡は割れており、揉み合った際にポケットから落ちたと思われるフェニトインの薬瓶が遺体のすぐそばに転がっていました。
信者は宇宙の祖先による自然治癒を信じていて、現代医学を信じていないので、薬瓶がここにある事自体が不自然だと指摘するブラウン神父。
遺体の指先には黒い塗料が付着しており、暖炉の上には割れたガラス片。凶器は血と髪の毛がついた水晶玉で間違いなさそうです。
黒い塗料は教団の追放の印で、殺された際にテルマは誰かを教団から追放しようとしていたのでしょう。
過去の事件当時はケンブルフォードに居なかったマロリー警部補も、妻殺しの経歴やテルマが入信を拒んでいた確執を知って早々にケイロンを容疑者認定。
ケイロン、もといジェラルドが教団に戻った真の狙いは、幼い頃に教団に来たが故にかつての自分の妄想により心と人生が壊れてしまったクララを救うためでした。
教団に身を捧げるつもりだと手紙が来たらしく、病気で発作をよく起こしているのに宇宙の祖先を信じているせいで適切な治療が受けられない彼女に責任を感じていたのです。
抗けいれん薬のフェニトインは、クララを心配する信者仲間の〈アルバート〉が村の薬剤師から処方してもらったものでしたが、教会の教えを盲信するクララはこれを断りました。
その現場をテルマに見つかり薬は没収され、制裁としていつも身に付けていた拡大鏡を使って腕に火傷痕を残されていたクララ。それすらも「罪を償う必要があった」と受け入れています。
ただ、この時母親に逆らって拡大鏡を投げ捨てたらしく、傷が付いていたのは殺害時の揉み合いとは関係ない事が分かりました。
クララに薬を買った事で、テルマから追放されるところだったのはアルバートですが、もう1人の娘で亡きテルマのあとを引き継ぎ監督役に就任したセレステが怪しいんですよねぇ。
農地の池に捨てられていたヒビの入った水晶を見つけ出したブラウン神父。こちらが本物の凶器というわけです。
暖炉の上の破片は、ジェラルドの水晶体を凶器に見せかけるためにわざとぶつけて壊した際の跡で、付着していた髪の毛と血は遺体に擦り付けて偽装されたのだとマロリー警部補に説明します。
テルマの足取りを掴むために誰でも参加OKな夏至祭へと足を運び、屋敷へ忍び込むとトバイアスの書斎に隠されていた差し押さえ通知を発見。
テルマもケイロンの洗礼の儀式の後、書斎に入って偶然この通知を見つけてしまい、教団の秘密を知ってしまった彼女はトバイアスに殺されていたのです。
無理な投資を続けて資金を全て失っていた事をひた隠しにしており、騙されていた事を悟ったテルマからは教団の信者に暴露すると脅されて彼女を殴りつけたトバイアスは、死体を罪の着せやすいケイロンの部屋へ運びました。
その際セレステはこの事態に鉢合わせしてしまい、トバイアスから書斎を片付けて水晶を捨ててこいと指示されて従っています。
偽装工作中にケイロンとクララが部屋へ来てしまい、咄嗟にドアの後ろに隠れたトバイアスは、セレステのアシストでたった今悲鳴を聞いて駆け付けてきたふりをしていたのです。
正論とは言え、聖職者が違う宗派のお祭りに参加してそこの指導者を「私は断言する、君は嘘つきだ!」と糾弾するのはなんだかとんでもない構図です(笑)
おかげで呼んでいた警察にトバイアスは手錠をかけられ、目を覚ましたクララは無事に現代医学の恩恵を受けられそう。
教団は解体され、宙ぶらりんになった信者達のアフターケアはジェラルドが責任を持って請け負っていくようです。ここでまた変な思想に走らなければいいですが(笑)
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