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レオン 完全版 (字幕版)

レオン完全版

あらすじ

 凶暴な純愛がここに完結する。『グラン・ブルー』『二キータ』のリュック・ベッソン監督が、ニューヨークを舞台に放つアクション・エンタテインメント!アカデミー賞女優、ナタリー・ポートマン鮮烈のデビュー作。『レオン オリジナル版』には未使用の、レオンとマチルダが心を通わす過程がより緻密に描かれた、22分のシーンを加えた完全版。家族を惨殺された12歳の少女マチルダは、隣の部屋に住む殺し屋レオンに助けを求める。戸惑いながらもマチルダに救いの手を差し出すレオン。そこから二人の奇妙な共同生活が始まった。弟の仇を討ちたいというマチルダにしかたなく殺しのテクニックを教えるレオンと、読み書きもできないレオンに文字を教えるマチルダ。やがて二人の間には父娘とも恋人ともつかない愛情が芽生えていくが…。 

 

ネタバレ感想

いわずと知れた名作で、DVDを購入して見ようと思っておりましたがプライムビデオで配信していたのを遅ればせながら鑑賞。

フランスとアメリカの合作作品ということで、アメリカ映画のようなドンパチアクションともフランス映画のような洒落た雰囲気漂う映像美ともまた違った、しかし絶妙にいいとこ取りに成功した独特の世界観があります。

 

ジャンレノ演じるレオンが殺し屋としての腕を遺憾無く発揮しテンポ良く任務を遂行するシーンから始まります。

その後BGMが一気に心地よくなり、隣人であるマチルダが登場。気怠げで訳知り顔。だけどやっぱり子供らしさも残している。ナタリーポートマンのデビュー作としても知られるレオンですが、デビュー作でこの感じ…しかも弱冠13歳での演技、ただただ凄いです。これは2000人から選ばれますわ。

家庭環境が悪く、父親から虐待を受けていた事もあり、どことなく憂いを帯びた表情の彼女ですが、この後更に悲劇に見舞われることとなる。買い物で家を空けている間、麻薬組織に家族を惨殺され、隣人であるレオンに助けを求めたマチルダ

 

丁寧にアイロンがけをしたり、最高の友と呼ぶ植木の世話をする様子はレオンの神経質さが感じられます。それが殺し屋という職をストイックにこなすキャラクターととてもマッチしています。かと思えば、映画を楽しみご機嫌で口笛を吹いたり、鼻血を出している少女にハンカチを差し出したりする場面を見ると意外と普通の感覚を持ち合わせたおじさんだという事も分かります。

子供というものは直感が優れており、彼女がとっさに助けを求めた相手がレオンだったのも、彼が悪人ではないとどこかで何か感じる物があったからなのでしょう。

ドア越しに隣家の様子を伺っていたレオンは戸惑いながらも彼女を迎え入れ不器用な優しさを見せます。

家庭内で虐げられていた彼女だったが、4歳の弟だけは彼女の孤独を和らげていた存在でした。

レオンの職業が掃除人、もとい殺し屋と知り、弟の敵を討つための術を教えて欲しいと頼むがあっさり断られるマチルダ。しかし、帰る家がなくなった彼女を家に置く心優しい殺し屋さん。12歳の少女に上手く言いくるめられる殺し屋さん

優しい大人と言われ動揺の隠せないレオンは少年のようです。

 

関係ないですがMA-1のマチルダめちゃくちゃ似合ってて可愛すぎ。

凄腕の殺し屋なのに読み書きも出来ないポンコツさが愛らしい。

 

孤独を背負ったもの同士、共同生活を送りながら、殺しのハウツーや読み書きを学び成長していく二人。

信頼が芽生え心を通わせ、歳の差を感じさせない無邪気な二人が“思考力と記憶力を鍛える”最高のゲームをするシーン、ほんと最高でした。

 

日本公開時のコピーは「凶暴な純愛」。

時に過保護な父親のように接するレオンに対し、マチルダは“レオン、あなたに恋したみたい”とど直球ストレートを放り込みます。お腹の締め付けられるような痛みが消えて暖かい、と表現するあたりがフランス映画っぽいですねぇ。

 

一人、かつての自宅に足を踏み入れるマチルダ。そこで居合わせた麻薬取締局の捜査官スタンフィールドが正当防衛を偽り家族を撃ち殺した張本人だと確信します。

上着がダメになったと逆上し、這いつくばる相手を更に撃ちまくった汚職捜査官。ピストルではなくショットガンでどかどか攻め込んでいたシーンからもその野蛮さが伺えます。

余談ですが、スタンフィールド役のゲイリーオールドマンはハリーポッターシリウスブラック役をされていますね。それぞれのキャラが全く別物なのに演技がハマり過ぎていてなかなか気付かなかったです。さすがはブラピが演技の神様と崇めるだけあります。

 

人を殺せばすべてが変わり取り返しがつかないと諭すレオンに対し、私が欲しいのは愛か死よとマチルダ

自分の愛を証明するとともにレオンの愛をはかるため、リスキーな賭けに出る勝負師っぷりも清々しい。

勝負に負けたレオンは渋々ながら彼女を連れて仕事を手伝わせる。

初仕事成功のお祝いにアルコールをがぶ飲みし、笑い上戸になるマチルダに思わずこっちも笑ってしまいました。

 

ある日の仕事で銃を乱射されたレオンとマチルダ。無事ではあったものの自分の職がいかに危険と隣り合わせか再認識したレオンはしばらく一人になりたいとマチルダを置いて行く。

きっと一人で仕事をしていたら麻痺していたであろう感覚だったと思います。マチルダを大切に思う気持ちが強くなった事と、銃乱射の反撃にあったことが引き金となったのでしょう。

 

ゲイリーオールドマン演じる復讐相手スタンフィールドを見つけ、無謀にも彼の元に単身乗り込んだマチルダだが、何も出来ず窮地に追い込まれる。すんでのところで書き置きを読んだレオンに助けられる。

チルダの書き置きが読めるようになっているところに二人の過ごした時間が表れています。

 

部下を殺された報復に訪れるスタンフィールドらだが、機転を利かしたマチルダが人質になりながらも嘘の合図を教える。元より狂気じみて情緒不安定なスタンフィールドは逆上し、警官総動員で包囲する。傷を負いながらもマチルダを解放させた後、自身がそれまで唯一大切にしていた最高の友を持たせ、彼女一人逃げるように迫る。

ここで初めてレオンが「愛してる」と言葉に出して心を通わせます。彼女を逃がすため。捨て身で彼女を守るレオンは内面も成熟した大人の男性でした。

 

レオンを失い、再び孤独になったマチルダだが、彼の植木を鉢から出し、根を張らせるべく大地に植え直す。

大地に根を張って暮らしたいという彼の望みを叶え、“もう安心よ”と呟くマチルダ

 

内面の成熟した少女と不器用で心優しい殺し屋の物語。

評価(平均点高めの設定です。)

  4.3 /5 点!

全編通してもっとシリアスで重苦しい映画かと思っていましたが、意外と笑いどころもあったり全てが絶妙でした。

幼いながら自分はもう大人で後は歳を取るだけ、というマチルダ

歳だけを重ねてしまい内面はまだまだ子供なんだというレオン。

二人に共通する不完全な未成熟さが合わさって、不安定でありながらも確かな「凶暴な純愛」がそこにありました。

概要

監督:リュック・ベッソン

時間:2時間12分

提供:アスミック・エース株式会社

公開年:1996年

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