バンド・オブ・ブラザース
BAND OF BROTHERS
あらすじ
全10話という桁はずれのスケールで、戦争の真実をつぶさに描写したHBO制作のミニシリーズドラマ。特筆すべきは、従来の戦争映画にあるような情感を排した演出である。物語は1944年6月のノルマンディ上陸作戦から1945年5月のドイツ降伏までのヨーロッパ戦線で戦った、陸軍101空挺師団パラシュート歩兵連隊のエリート「E中隊」の激闘を描く。第2次大戦のヨーロッパ戦史に、新たな一頁を記した戦争ドラマである。
ネタバレ感想
プライムビデオにあったので、1シーズン10話で完結という手軽さに惹かれて軽い気持ちで視聴しましたが、ここまでクオリティの高い大作だったとは…。
海外ドラマとしては短く異色ですが、これはドラマというよりは大長編の戦争映画だと言われた方がしっくりきます。
第二次世界大戦中の米独の争いを米軍視点で描いており、米陸軍101空挺師団パラシュート歩兵連隊のエリート集団〈Easy Company〉E中隊にスポットを当てた作品で、アメリカ本土での過酷な訓練の様子から始まり、ドイツ降伏までの約1年間が時系列順に展開されていきます。
毎エピソードの冒頭で実際に戦争に赴いた老人のインタビューがちょこっと入るのですが、当事者達が当時の状況を語るという演出によって、その後の1時間がかなり生々しいものになってきます。
登場する人物は全て実在する人物の実名であり、エピソードの最後には公式の記録が映し出されます。
全てを吹っ飛ばすような派手さはなく、リアルな量の爆薬や致命的な銃弾を受けながら死に切れない人物の多さなど、全てを忠実に再現しているからこその怖さがあるのです。
製作総指揮はスティーブン・スピルバーグとトム・ハンクスで、2001年当時のテレビシリーズとしては異例の1億2000万ドル(日本円にして150億円程でしょうか?)もの制作費を投じて作られたシリーズとのこと。
考証の元、徹底的にリアリティを追求したであろうこだわりがひしひしと伝わってきます。
各回フューチャーされる人物が入れ替わり、戦時下を様々な角度から見る事ができます。衛生兵が負傷した兵士のために極寒の中を文字通り駆けずり回る様子で1時間描かれるという斬新さが特に良かったです。何千人も死者が出る中、たった一人の致命傷を負った仲間を助けるため銃弾の降る中命がけで救出に赴いたり、助けられなかった者にやり切れない気持ちが募り項垂れたり。逆を言うとそのたった一人が何千人にも積み重なっていると考えると気が遠くなります。
将校も兵士も肩書き以前に一人の人間だという事実に改めて気付かせられました。
アメリカ軍とドイツ軍の戦いだからか、どちらかに肩入れし過ぎる見方はなかったものの、どちらが攻めていても双方に対して応援…というよりは負傷を避けて欲しいという気持ちで見入っていました。
戦争の悲惨さや理不尽さ、戦った兵士一人一人に人生がありドラマがある事、全てが丁寧に描かれています。過剰な演出はほとんど無く、淡々とした調子で進んでいくストーリーだからこそのリアルさや戦闘シーンとの緩急の連続に、気付けば生き残るため必死で戦うE中隊の面々を余計な事など考えずにただただ見守っているのです。厳かでどこか物哀しい《メイン・テーマ》がより一層ドラマの重厚感を引き出していました。戦争映画やグロ描写が苦手でなければ必見です。
登場人物のそれぞれが魅力的で見覚えのある顔ぶれが揃っておりますが、中でもめちゃくちゃ男前のスピアーズ大尉のインパクトが強かったです。ドイツ人捕虜20人射殺と酔っ払った下士官をその場で銃殺したという噂は事実だそうです。その冷酷さを差し引いても、エピソード7で見せた無能中尉ダイクに代わり指揮を執り、敵陣の中を一人突っ切って仲間に伝令して帰ってくるというとんでもエピソードは居合わせた兵士にとってさぞヒーローのように見えた事でしょう。めっちゃハンサムなスピアーズ大尉ことマシュー・セトルはゴシップガールでダンの父ルーファス役を演じた俳優さんでした。言われてみれば確かにそうなんですが、これには驚きました。別人やん。
ウォーキング・デッドのエイブラハムでおなじみマイケル・カドリッツの少し若い頃が見られます。エピソード4でフューチャーされるブル役で、また一人葉巻を吸っていましたね。
余談ですが、エピソード6で登場する“ドク”ことユージーンはかなりの美男子です。
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