エピソード8『忘れられたメル』“Mel vs. the Missing Day”
あらすじ
ゴーティマーたちと遊ぶ暇もないほど予定を詰め込んでいたメル。無理がたたって体調を崩し、学校を1日休むことに。翌日、元気になり登校するメルだったが、みんなの記憶から自分が消えていることに気づく。
ネタバレ感想
当たり前のように『今月の優等生』として表彰されるメルはやり過ぎなほど活動的な勤勉さでゴーティマーとレンジャーの誘いを断るほどスケジュールはビッシリ。
そんな無理がたたってか、胃腸炎になってしまったメルは渋々1日だけ学校を休みます。
次の日、全快したメルが登校するもキャサリンはどこかよそよそしく、後ろの席に座っていたはずの〈トレーシー〉が自分の席に座り、レンジャーとゴーティマーと楽しげに遊びの計画を立てております。まさにそこはメルのポジションだったはず。大して仲良くないトレーシーとつるむばかりか、メルによそよそしい態度を見せる親友二人に「二人ともおかしいわ」と言えば「はじめまして」と返されてしまう始末。
どうやらたった一日休んでいる間に皆の記憶から自分が消えてしまったのだと理解したメル。
単純にメルを忘れてしまっただけでなく、乗っ取られたかのように自分のポジションを今まで目立たなかったトレーシーにかっさらわれているのがポップな世にも奇妙な物語を見ているようです。
疎外感と焦燥感に駆られながら冷静に自分を客観視するようにトレーシーの観察を続けるメルは、皆が口々に言う『ヒピティホピティ フリピティフロピティ』という謎の呪文が気になり始めます。
挨拶がわりのこの呪文はメルが休んだ社会科見学中にトレーシーが言ったらしく、今回の謎に大きく関係していそうですね。
これまでメルが残した功績もすっかりトレーシーの手柄として扱われている事に不満がありながらも、一人でこの難題に立ち向かうメルのガッツが泣かせます。
社会科見学があった博物館の館長に話を聞きに行くと、昨日ノーマル船長が雇った航海士の六分儀に盗難の被害があったと発覚しました。
六分儀というのは歴史的にとても貴重なもので、多くの悪党がその伝説の一品を狙ってきたのだとか。
1832年、ノーマル船長の“ラ・マス・ボニータ・デルマー”《一番美しい海号》が二度目の大西洋横断中に船に乗っていた目立たぬ雑用係〈ナサニエル〉は『ワシの目』の異名を持つ見張り係の〈イーサン〉に憧れを抱いていた。
自分もいつか見張り台に立ち世界を見下ろし注目されることを夢見ていたナサニエル。
ある日大嵐が船を襲い、その時航海士の寝床から落ちた六分儀を拾ったナサニエルは嵐が過ぎてから見張り台に登りその六分儀で星を見た。
翌朝、海賊達から突然見張り台に登るよう言われたナサニエルと、入れ替わるように雑用係に追いやられてしまったイーサン。
こうして『六分儀は航路だけでなく人生も左右する』という伝説が生まれたそう。
つまりイーサンがナサニエルの全てを乗っ取られたのと同じ事が今メルとトレーシーの間に起きているのです。
すぐにトレーシーをとっ捕まえ「六分儀を盗んだでしょ」と全てを元に戻すよう訴えますが、トレーシー自身もメルが羨ましい気持ちはあったものの勝手に物事が進んで戻し方も分からないらしく、使い方も知らないという六分儀をそのまま渡されます。
少し落ち着いてトレーシーから詳しい話を聞く事にしたメルは、博士が六分儀の伝説のことを話して重要な人物になれるチャンスだと考えたトレーシーがランチタイムの間にこっそりと六分儀を手に取り少しいじったところ、気がついた時にはもうゴーティマーとレンジャーから親友扱いされていた、つまりメルになっていたという経緯を知る事になりました。
メルになった気分で実際に皆から評価されリーダーとなったトレーシーでしたが、何故その相手がメルだったかという理由に「去年工学クラブを作ろうとしたけど人が集まらなくて出来なかったのにメルが始めたらみんな殺到した」という地味に根深い想いがあったようです。
誰にも相手にされない自分と違って皆から頼りにされている上に最高の親友まで持っていて恵まれているはずなのに、最近はゴーティマー達をないがしろにしていると指摘したトレーシーに、思い当たる節のあったメルは素直に自分の非も認めました。
トレーシーもメルの友達や人生を奪う事は良くないと分かっていて、全てを元に戻そうとメルが六分儀をいじったものの、今度はメルがトレーシーになってしまい事態は悪化。
よきせぬ展開に焦ったトレーシーはすぐに館長の元へ行き六分儀を盗んだ事を自白し壊れてしまった六分儀を直してもらいます。
その間、赤の他人同士として残されたゴーティマー、レンジャーの二人とトレーシーの人格が入ったメル。
なんだかんだと親友同士の結び付きは深いのか、そんな状態でありながら打ち解けてしまった三人を見て、戻ってきたトレーシーはどこか寂しげでもあります。
同時に館長が六分儀の修理を終えてメルも元に戻るのですが、友達の居なかったトレーシーはメルの助言通り勇気を出して「今度遊ばない?」と三人に声をかけたのです。
そして工学クラブにも入れて欲しいとメルに頼み、なんと副部長として歓迎されましたとさ。
アルバムに載る活動の数で人を測ることはできない
その人が何を選ぶかが大事だ
自分を磨き好奇心を満たすもの…
努力して挑戦する人生
周りの人を支え尊重し、愛すること
その選択で測るならメルは誰よりも立派な人だ
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▼次回、エピソード9