エピソード8『不用意な噂』“Loose Lips”
あらすじ
ジュリアナはレジスタンスに、ある情報を伝える。だがそれは第三次世界大戦を引き起こし得るものだった。ベルリンでの政情が不安定になり、ジョーは命を危険にさらしてでも残るかの決断を迫られる。フランクはジュリアナに関する真実を知る。その結果、親しくなったレジスタンスの仲間に疑問を覚える。
ネタバレ感想
えらい変わりようで、父と食事を共にしながら愛した女性ジュリアナの話題まで出すジョー。
そんなタイミングでただならぬ様子の親衛隊が乗り込んで来て、ホイスマン首相がハメられて失墜でもするのかと思いましたが、総統が倒れた事による動きだったようです。
親衛隊長官のヒムラーに紹介されたジョーは、この大物が自身の名付け親だと聞かされました。
ヒトラーが昏睡状態に陥り、回復の見込みもないとのことでヒトラー直々に総統代理に指名されたのがホイスマン首相だそうですが、以前にも似たような事が起こった際、代理を名乗った者は家族もろとも総統に処刑されたそうです。
いずれにしても重責が付き纏う上に、ホイスマン首相を陥れようと企む者も少なくはないらしく、巻き添えを食わないためにもニューヨークへ帰るよう勧められたジョーですが、それを聞いてすんなり手を引くジョーではないはずです。
『高い城の男』の正体がアベンゼンである事や、ジュリアナが彼に会ったはずだという事まで知っていながら自分から話すまで泳がせていたらしいスミス大将。
尋問されたジュリアナはすんなりフィルムの事や、ジョーが映っていた事までペラペラと喋っております。
とりあえずは解放されたもののスミス大将に命を握られている状態で「早く逃げなきゃ」と焦っていますが、レジスタンスも親衛隊が街の要所を警備し始め不穏な状況を感じ取っており、内部から情報を探れるジュリアナをみすみす手放すはずもありません。
ルーシーは完全にジュリアナの事を信用しているみたいで、おしゃべり好きな彼女相手に色々と探りを入れやすい状況のジュリアナ。警戒心が強く私生活に災難続きでピリピリしているヘレンにはまだ心を開き切ってはもらえませんが。
まぁ、プロパガンダに使うテレビ映像を作るルーシーの夫のお陰で訳知り顔なルーシーに総統の容態異変に関するヒントは掴めたみたいです。
ちなみに、アリスが陰謀論を唱えて解剖させようとしていたアドラー医師は、妻の預かり知らない所で強制的に火葬にされてしまったそうですよ。そしてそれについての真相を調べて貰っている相手がスミス大将という…(笑)
レジスタンスから解放されたい一心で、ヒトラーの死が近い情報を提供したジュリアナですが、この一言がレジスタンス達の蜂起に繋がったようで、サンフランシスコを壊滅に追い込むあのフィルムの内容はもしやジュリアナの発言から始まったのでは?とザワつく展開です。
ジョージとジュリアナはアーノルドに電話を掛け、すぐに街を出るように、フランクとエドにもこれを伝えるようにと頼みました。
憲兵隊にナチス親衛隊上級大佐のディールスが来て小野田将軍への面会を申し込みました。
木戸警部が代理で話を聞けば、ディールスは亡命を希望したではありませんか。
その手土産というのが、『皇太子暗殺騒動の狙撃犯がナチスである証拠』で、明らかに日本を煽り始めた行動はやはり、総統が倒れた途端に反逆派閥が動き始めたという事でしょうか。
これでは必死の揉み消しを謀った木戸警部の立場がありません。
フランクの技術、エドの販売の才能、そしてチルダンの人脈と評判を掛け合わせれば良いチームになってがっぽり稼げると三人で組む事を提案したチルダンでしたが、どっぷりレジスタンス沼にハマってしまったフランクはそれどころじゃないのでしょうね。
変わってしまったフランクの目を覚まさせようとエドが反旗を翻しても、逆に日本軍がサンフランシスコで原爆を作っているから自分達が何とかしなければならないと使命感に駆られて熱弁するフランク。
必死に「君だけが頼りなんだ」とエドを誘い込むフランクは、さながら惚れた弱味につけ込み健気さで引き留め続ける共依存関係の駄目恋人のようでした。
そこへアーノルドが訪ねてきて、自分達は街を去ること、ヒトラーの死が近く、そうなればレジスタンスが蜂起しこの街は原爆で壊滅する可能性が高いこと、帝国でレジスタンスと組んでいるジュリアナが電話でこれを知らせてきたことをフランクに伝えます。
フランクとしてはナチスのスパイと浮気の末に国を捨てて敵国に寝返ったジュリアナがそんなまさか、と疑いを持ちますが、アーノルドから「今日君に警告しに来たのもあの子の頼みだからだ、今も君を想ってる!」と声を荒げられてぼう然(笑)早とちり?でレジスタンスと関係を持ってしまった後に言われてもなぁ。
全てを知ってゲイリーに怒りをぶつけたフランクは、気を取り直してヤクザに支払う予定だった金を使ってニューヨークに発とうと提案するエドに対しても「ここでやらなくちゃならないことがある」と大義をふりかざし行き詰まったままです。
「彼女を守れるのは僕だけだと思ってたが、彼女は自分で身を守れる、僕らより強いよ…」やないっちゅーねん。なにを憂いとんねん。
親衛隊に鎖で繋がれ拷問状態のこの男は誰だったかな?上級大将…?と思いましたが、スミス大将が反逆罪で逮捕したハイドリヒでしたね!
きっちり軍服着込んで貰えないとなかなか思い出せません。そういえば居たなぁ。
総統が亡くなりレジスタンスが蜂起した事でサンフランシスコには原爆が投下され、ベルリンからハイドリヒの身柄を解放するよう命が下ったと話し、家族だけは助けてくれるよう懇願するスミス大将。
何の描写もなく原爆もう落ちちゃったとかそういう斬新な演出…ではなく、ハイドリヒすらを陰で操る黒幕を探るために打った芝居です。
「ハイル・ホイスマン!」と絶叫したハイドリヒに、全てが分かったスミス大将は、そのまま頭を撃ち抜かせて用済みのハイドリヒを始末しました。
あれほど忠誠心の塊みたいな顔して謀反を企んでいた一派の親玉だったとは…ホイスマン恐るべし。
危険だかなんだかでジョーを遠ざけようとしたホイスマンですが、これがまさにジョーの性格を調査し見抜いた上での操り方だったのか…?
案の定自分の意思で戻って来て「ここに残らせて下さい!」と頼み込み、自ら進んで親衛隊メンバーへの入隊儀式を受けるジョー。
やっちまった感、止められない感に溢れております。
フランクはレジスタンスの一員となり、ジョーは親衛隊のメンバーに。これじゃあますますあのフィルムの内容が現実になる日も近そうです。
- 作者:フィリップ・K・ディック
- 発売日: 2012/11/30
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▼次回、エピソード9