第9話
あらすじ
サリドマイドの薬害によって、両手脚に障害をもって生まれてきたマラックス家のスーザン。母ローダはスーザンに可能な限り上の兄妹たちと変わらず生きていってほしいと願うが、父バーニーはスーザンの将来にまで考えが追い付かない。相談を受けたターナー医師は義肢開発をしている病院を紹介する。アントワン家の3兄弟は、カブスカウトにも所属し、外で遊ぶことが大好きでとても活発な男の子たち。しかし父親が黒人だという理由で近所の遊び場ではいじめられていた。4人目の弟が誕生した日も、その喜びに包まれたまま遊びに出掛けるが、遊歩道では変わらず悪口を言われ、両親に危険だと注意されていた車道に飛び出してしまう…。(C)CTM Productions Ltd. 2017
ネタバレ感想
さすがに助産婦や妊婦をメインテーマに取り扱うドラマなだけあって、他の患者や赤ん坊達が基本1話完結でその後が見られない構成でもサリドマイド児のスーザンに関する問題は山積みで、再度スポットが当てられるようです。
今回は保育園問題が持ち上がっており、サリドマイド児でも脳に障害がある訳ではないのだから教育を受けさせるべきだと悩む母ローダと、娘が好奇の目に晒される事を恐れて社会に出す事に消極的な父バーニーで意見が割れております。
ローダから相談を受けたターナー医師は、早速義肢技術の開発において第一線だという病院を紹介し、マラックス家を連れて見学へ出向きました。
しかし、スーザンと同じようにサリドマイドの被害を受けた子供達が多く居る病院で、彼らの様子を見たバーニーは上手く現実を受け止める事が出来ません。そして自身が四肢障害の子供達に嫌悪感を抱いたように、娘も周りからそう見られるのか、とますます困惑が止まらないバーニー。
病院で知り合った、同じくサリドマイド児の息子を持つ母親とローダが話をするシーンでは、サリドマイド薬害の報道がされない現実への疑問が語られておりました。
61年にはヨーロッパでサリドマイドの回収が始まりましたが、サリドマイド薬害に関する日本の対応の遅さは有名で、一年近くも回収されずに販売が続けられたんですよね。
改めて夫婦で協力し合って家族のために支え合おうと話が落ち着いたマラックス夫妻は、病院で知り合ったサリドマイド児を持つ親の集まりに参加して、その後も何十年と子供達の尊厳をかけて戦い続けたそうです。
〈アントワン夫人〉の出産に向かったナース・クレインですが、途中で笑気ガスが無くなりノンナートゥス・ハウスに補給要請が。
慌ててガスを持参するウィニフレッドでしたが、フレッドが自転車を修理中で走って向かう事に。
シスター・ウィニフレッドがガスを抱えて到着した頃にはちょうど赤ん坊が出てきたところでしたが、「必要以上に苦しませた」と怒るナース・クレイン。
なんだかんだと運転の実技練習を避けていたウィニフレッドに対し、「車があれば間に合った」となじり、帰り道を強制的に彼女に運転させる事になります。
しかし、ガチガチに緊張したウィニフレッドの運転ではいつ事故が起きてもおかしくなく、曲がり角で立ち往生してクラクションを鳴らされる羽目になるとさすがに運転を交代しなければなりません。
ウィニフレッドに文句を言いながら、自分の目線に合わせてバックミラーをいじっていたその時、なんとナース・クレインの運転する車は車道に飛び出てきた少年を結構な勢いで轢いてしまったのです。
被害者は先ほどまで分娩を手伝っていたアントワン家の長男〈レニー〉。
意識がなく、すぐさま救急車が手配されるも自分のしでかした惨事に呆然とするナース・クレイン。
脳震盪と大腿骨骨折だけで済み、命に別状がなかったのが不幸中の幸いです。
エヴァンジェリーナの時もそうでしたが、いつもキビキビして周りの手本ともなっているような人が取り返しのつかないミスを犯してしまい途方に暮れている姿を見るのはかなり胸にくるものがあります。
責任を感じていたシスター・ウィニフレッドはレニーが車道に飛び出して来たことを話し、他の兄弟もそれを見ていたはずだとピーターに訴えますが、兄弟達がその場にいたという記録が警察にはありません。
毎日のように母親から車道で遊んではいけないと言われている背景を知っていたウィニフレッドは兄弟達が逃げた理由も分かっており、それを聞いたピーターは改めてアントワン家に聴取へ向かいました。
言いつけを破った事がバレるかと言い出せなかったこと、レニーが飛び出していったこと、事故が怖くて逃げてしまったこと、そして、学校やカブスカウトの友人から差別的な悪口を言われるがために遊歩道から逃げ出して車道に出てしまっていたことなど、子供達からの証言が得られ、その場で夫妻は「起訴はしないで」とナース・クレインを庇ってくれます。
ひとまず起訴に至らないようで安心しましたし、日頃からナースとして、人としてしっかりとすべき事をこなし思いやりも持ちながら彼らと接していたナース・クレインの人徳があって本当に良かったな、と改めて『日頃の行い』の重要性を痛感させられました。
とは言え、ナース・クレインの自責の日々は続き、元気のない彼女が痛々しい。
ジュリエンヌの配慮でしばらくシフトから外されていたナース・クレインでしたが、ついにシスター・モニカと二人きりで留守を任されていた時に電話が鳴り響いてしまいます。
お産が迫っているというのに車を運転するのが怖いナース・クレインを気遣い励まし同行したのはもちろんモニカです。
そしてやっぱりお産では頼りになるナース・クレインにいつもの調子が戻ってきました。
最後には、自身が取り仕切るカブスカウトでアントワン三兄弟にスピーチをする機会を与え、人種や見た目の違いがあろうとも仲良くできるのだと示させた事で、周りの素直な子供達との溝も埋められたのでした。
歯科医のドックリル先生を『歯抜き職人』と呼べるのはシスター・モニカぐらいでしょう(笑)
3回も連続で「急用が出来た」とデートをドタキャンされた上に、病院前で見かけたお馴染みのスポーツカーの助手席にシルクのスカーフが置いてあるのを見つけてしまったトリクシー。
もちろん別の女を疑った訳ですが、その真相は離婚歴があり6歳の娘が居るので、娘が居る限り関係は続くというもの。
何よりも隠し事をされていた事に対して苛立ったトリクシーですが、そう言えばトリクシー自身にも秘密がありましたね。
改めて自分が2年間断酒会に通っていることを打ち明け、晴れて二人の間に嘘がなくなり更に絆が深まったように見えました。
Call the Midwife [ Jennifer Wort]

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