エピソード2『危険な扉』“Every Door Out...”
あらすじ
ジョン・スミスは“ニーベンベルト”にいる部下から重要な情報を受け取る。一方、自分の世界では家族の問題に苦心していた。ベルと黒人共産反乱軍はワイアットへの協力を決める。木戸は疎遠だった息子、徹との絆を取り戻そうとする。チルダンは日本人の助手と協力し合う。ジュリアナは、自分の世界での敵が、別の世界では友となり得ることを知る。
ネタバレ感想
時は3年前に遡り、〈イライジャ〉がベルを連れてエクイアーノが秘密裏に主催するBCRの会合に参加するところから始まります。兄弟や子供達といった親しい人々が収容所送りにされた彼らの復讐の熱意はちょっとやそっとじゃ折れそうにありません。
ナチスの極秘計画ニーベンベルトは更なる発展を遂げており、今や別世界を行き来する工作員が続々と他の世界の情報を持ち帰って来ております。
「捕らえらたアベンゼンには、昼夜フィルムの分析をさせて多元世界の解明を急がせている」と話すメンゲレ。
スミス元帥は、「外敵が来ないよう妨害計画を強化するように」と“扉”へ注意を払うよう命じました。
スミス元帥は別世界での自分の事も調べさせており、ベイリーズ・クロスローズにヘレンとトーマスと共に暮らしている事を聞きます。そして、そちらの世界ではトーマスが生きているものの、娘達の存在は無い事や、自分が軍人でなく保険のセールスマンをしていると聞きます。
そして添付された写真に映り込んだジュリアナの姿をバッチリ確認。
とは言え、もう一人のスミス元帥が存在する世界なので、本人が向こうに渡れる訳ではなく、部下にどうにかさせる事になるんですかね?
別世界にも馴染んで〈ラス〉というボーイフレンドまで居るしどこに行ってもジュリアナはモテモテです。美女な上にミステリアスな所があって放っておけない感じがムンムンですしね。
そしてこちらのジョンは気の良いおっさんで、かなり良くして貰っている様子ですが、別人とは言え同一の存在に撃たれたとあってジュリアナの警戒は解けません。そこまで警戒するなら関わるなよ、というのは一旦置いときましょう。
ラジオ放送から「核開発計画の主任研究員ザカリアン博士が心臓発作で急死しました」とニュースが流れ、ジュリアナは「博士の死とロケットの打ち上げ失敗は偶然じゃないわ、彼らがこっちへ来て防衛計画を妨害してる」とラスに話します。電波過ぎる…!いや、実際には正解なのですが。
「BCRの使命は黒人に自衛と自決を促すこと」であって「白人とは組まない」と武器を流して欲しいワイアットの要求は一刀両断されますが、ワイアットも裏世界を渡り歩いて来ただけあって怯むことなく、強気な交渉術を持ち合わせております。
いかにもチルダン好みな日系女性〈ユキコ〉と共に商売を再開しているチルダンは、イヤー・ゼロ計画によってナチスからどんどんアメリカの骨董品が流入している今の情勢がビジネスチャンスだと言わんばかりに手広く仕事をしている様子。
そして、チルダンが開く競売に合わせて東京から〈増田将軍〉がやって来るとの情報を仕入れたBCRは、満洲大虐殺で悪名高い増田に加えて木戸警部、そして〈志村〉と〈長崎〉の二枚の防衛大臣もが一堂に会する競売会場『プレシディオ』で彼らを暗殺する計画を立てました。この計画に協力する事を条件にワイアットが求める武器を提供するという取引です。
自分たちで手を下さないBCRに、「置き去りにして罪を被せるつもりでは?」と不信感を募らせるワイアット側でしたが、そもそも黒人は会場に入ることすら許されないのだとか。
猪口提督を連れた妃殿下はチルダンの店を突然訪ね、競売に備えて何やら考えがある様子。
ワイアットは料理人に扮してチルダンに売り込みをかけ、ケータリング業者として競売会場に潜り込む事には成功しますが、下見に来ていた木戸警部の鋭い第六感が働いていますし暗殺は成功するのでしょうか?
木戸警部の息子〈徹〉は満洲での戦争によるPTSDが発症しているらしく、金鵄勲章を付ける事すら出来ず、予定されていた特攻本部の面接も欠席してしまいます。
責められる事はないものの、憲兵隊の上層部にいる偉大な父からの期待が返って重責になっているようです。
久しぶりに学校に戻ったジェニファーは、イヤー・ゼロ計画に伴い校内のあらゆる面で違和感を覚えます。
クラスメイトの〈ヘンリー〉を家に呼び遅れていた勉強を教えてもらいながら、中立地帯から持ってきていた黒人音楽をかけて彼をダンスに誘うのですが、二人が踊っていたところにエイミーが帰って来て違法なレコードをデッキから取り上げて自室に立てこもってしまいました。
言い争いをする姉妹に、慌ててヘンリーが帰ろうとするとそこにスミス元帥が帰宅します。
学校では、家族であっても違法な言動をする者がいれば密告すべきだと教えられているそうで、エイミーはその教育に染まっている様子。
スミス元帥がレコードはジェニファーが中立地帯から持ち出したのではなく、自分の仕事柄証拠品として押収した物だと誤魔化したしなめましたが、ジェニファーは行き過ぎたナチス政権について行けず号泣しながら中立地帯に残ったヘレンに電話を掛けたりと歯痒いなぁ…。

- 作者:フィリップ・K・ディック
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▼次回、エピソード3