エピソード5『スミス家の岐路』“Mauvaise Foi”
あらすじ
ジョン・スミスは自らの選択と向き合うことになる。日本は秘密裏に黒人共産反乱軍と休戦協定を結ぼうとする。一方、木戸は日本を分裂させるかもしれない裏切り者を捕らえる。ジュリアナは大ナチス帝国を倒すためにワイアットと合流する。
ネタバレ感想
トーマスが産まれて間もない頃、若かりしジョン・スミスはまだアメリカの兵士でしたが、原爆の影響が大きく敗戦国となったアメリカでは食糧難も手伝って、家族を守っていくためにはナチスで地位と食糧を得る以外に道はありませんでした。
こんなに不本意な鞍替えから、元帥にまで登り詰めた男は今、ナチスの最新技術を使って別世界へと旅立ちます。
自分の世界では自ら安楽死の道を選んだ亡き息子が目の前に現れ普通に生活している光景に感極まるスミス元帥にこちらまで嬉しくなってしまいました。ジュリアナよりも遥かに主人公適性を感じさせます。というか、ジョーもフランクも主要人物のわりに死んでしまうし、ジュリアナは元からあの性格だしで、スミス家はこのドラマにおいてかなり感情移入しやすくある意味主役なんですよね。あとはなんだかんだと肝心な場面には絡んでくるチルダンも隠れ主役かもしれません。
元の世界に戻り、レジスタンス相手にアメリカが戦勝国となった世界の歴史を布教するジュリアナはワイアットと再会します。
大した盛り上がりもない短い関係だったと記憶しているのですが、「死んだと思ったいたけれど、君のことを忘れた事はない」とさも特別な関係のようなムードだけが高まっていきこっちはいまいちついていけませんよ。
勝手にモテているだけ、にしてもジュリアナもジュリアナで節操無いんだよなー(笑)フランクと恋人同士みたいな別れ方をしていたのは無かったことになったのでしょうか?
【日本太平洋合衆国】の湾岸地域“モラガ”に、BCRの言い分を聞くため猪口提督がお忍びでやって来ます。
休戦の見返りに、黒人のための自治共和国を作るための自由な土地を要求したエクイアーノは、ひとまず皇太子妃に「憲兵隊の一斉検挙をやめて誠意を示せ」と伝言を託しました。
「平和を模索する軍人」と称されるほど好印象でまとまりかけた密会でしたが、この場から立ち去ろうとしたエクイアーノがどこからか飛んできた銃弾に倒れます。
猪口提督が連れて来た少数の見張りや運転手は殺され、イライジャとベルは慌てて車で逃げ狙撃を交わしましたが、猪口提督は訳もわからないうちに憲兵隊に囲まれる事に。
出てきたのは木戸警部で、「反逆罪で逮捕します」と手錠をかけられてしまった猪口提督。
木戸警部は、エクイアーノの死と猪口提督の逮捕を矢守総督に報告し、東京に送って軍法会議にかけると話しますが、矢守総督は皇太子妃の横槍が入らないようサンフランシスコで軍法会議を開けと反対。
さらに木戸警部が、田上大臣暗殺の件については皇太子妃との約束があるのでまだ調査中である事を話せば、これまでの15年間さまざまな事件で証拠を捏造し、無実の人間に自白を強要して罪を被せ処刑してきた過去や、自分の息子が起こした事件は擁護し揉み消しにも尽力したという痛い所を突かれます。
トーマスとの再会の余韻も束の間に、息子から海兵隊に入隊したいと聞かされ、二度も息子を失いたくないと全力で反対するスミス元帥。
口論が続く中現れた客人は、かつての親友でありながら親衛隊に入り決別したユダヤ系の〈ダニー〉で、彼の姿に動揺が隠し切れません。
スミス元帥には、収容所に送られるトラックに詰め込まれたダニーから助けを乞われながらも見殺しにした過去があったのでした。
- 作者:フィリップ・K・ディック
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▼次回、エピソード6