X エックス
あらすじ
1979年、テキサス。女優マキシーンとマネージャーのウェイン、ブロンド女優のボビー・リンと俳優ジャクソン、自主映画監督の学生RJとその恋人で録音担当のロレインら6人の男女は、新作映画「農場の娘たち」を撮影するために借りた農場を訪れる。6人を迎え入れたみすぼらしい身なりの老人ハワードは、宿泊場所となる納屋へ彼らを案内する。マキシーンは、母家の窓ガラスからこちらをじっと見つめる老婆と目が合ってしまい……。
史上最高齢の殺人鬼夫婦が住む屋敷に足を踏み入れてしまった3組のカップルの運命を描いたホラー。
予告動画
出演はリメイク版「サスペリア」のミア・ゴス、「ザ・ベビーシッター キラークイーン」のジェナ・オルテガ、「ピッチ・パーフェクト」シリーズのブリタニー・スノウ。「サクラメント 死の楽園」のタイ・ウェストが監督・脚本を手がけた。
ネタバレ感想
『ミッドサマー』のA24製作ホラーということで色々と覚悟して見に行ったものの、その覚悟を超えてくる感じでした。
アメリカンドリームを夢見てポルノ映画をクソ真面目に撮りに行く3組のカップルが、欲にまみれた共依存老夫婦のアレコレに巻き込まれるというお話。
とにかく何を見せられてるんだ…という気にさせられるのが特徴です。
こういうテイストのホラーにありがちな馬鹿で迷惑なだけで殺されてもまあ仕方ないというような若者ではなく、ただの良い奴な巨根アフロだとか、貞操観念ガバガバな反面老人には親切なビッチだとか、それなりに救済措置があっても良さそうなキャラも容赦なく殺されていくのが印象的。
エログロはミッドサマーでもありましたが、あちらの方がカルト教団で規模の大きい集団が揃って頭おかしいという不気味さがあるから映えていたように思えるのです。
今回のvs老夫婦という設定はこじんまり感が否めず、欲求不満が故の嫉妬がここまで人を駆り立てるという事実にもやや違和感が。
老いへの恐怖を感じると同時に、憎らしくなるような若さはある意味暴力だよなーと感じられる対比は分かりやすかったです。
何らかのメタファーなんかはガンガン仕込まれているのでしょうが、パンフレットや事前情報無しで見る限りはその辺りもミッドサマーの方が比較的分かりやすくて、本作は一見すると(?)かなりのB級サイコホラーにも見えました。
ただ、冒頭からちょこちょこと流れていたあのテレビの演説の光景が、ラストになってマキシーンと繋がるのは盛り上がれます。
シャイニングやサイコなんかのオマージュは分かりましたが、他にもありそうなのでネタバレサイトで補完すればもう少し自分の中での評価が上がりそうではあります。
そして、今回唯一の生き残りとなったマキシーンに対し、やたらと執着を見せて特別な存在だと評価していたのにもしっかり理由があるのですね。まさかの一人二役で、そこを分かった上で思い返せば自分自身との対峙であり、最後にはマキシーンがパールにとどめを刺して放った『私らしくない人生は受け入れない』という信念が、こういう末路は自分の進む道ではないという野心溢れる決別のセリフに見えました。
前日譚まであるというのが吉と出るのか凶と出るのか…(笑)
評価(平均点高めの設定です。)
3.9/5 点!
概要
監督:タイ・ウェスト
時間:1時間45分
配給:ハピネットファントム・スタジオ
公開日:2022年7月8日