エピソード5 “The Daughter of Autolycus”
あらすじ
エリザベス女王の戴冠を祝してローマ教皇が宝石をあしらった貴重な十字架を贈ることになった。その十字架がロンドンまで運ばれる道中、グロスターを通るという。フランボウに盗まれるのを警戒するブラウン神父だったが、なんとフランボウ当人が現れ、盗むのを手伝ってほしい、と頼まれる。
ネタバレ感想
エリザベス女王の戴冠を祝して、エメラルドとルビーがあしらわれた極めて高価なローマ教皇からの贈り物の十字架がバチカンから出発。
高価な聖遺物の輸送ルートまでラジオで公表してしまっては、どこぞの怪盗に狙ってくれといっているようなもの。
更には、通り道でのグロスターでは厳戒態勢で極秘に内見会があり、レディ・フェリシアのところには招待状が届いております。
浮かれ気味な女性陣に反して、フランボウと因縁めいた関係のあるブラウン神父とシドには嫌な予感が。
トールボット司教の後任〈レイナード司教〉に、十字架の内見会を催すのはフランボウにとって絶好の機会になり危険だと警告し、敵の素顔を知っていて見分けられるブラウン神父自身が見張り役を務める運びに。
警備担当を務めるマロリー警部補は嫌そうですし、レイナード司教も『筋金入りの厄介者』と聞かされていたブラウン神父に対してのあたりが強く、国務省長官の座を狙う野心バリバリタイプなので決して味方ではなさそうです。
聖職者が肩書への固執を表に出したり、部下を脅すのはアリなのでしょうか……?
教会にはフランボウが現れ、十字架争奪戦宣言になるかと思いきや、「今回はルール変更だ、助けて欲しい」と。
2日前に誘拐された“聖ヒルダ大学”の学生〈マリアンヌ・ドラクロワ〉の写真を取り出すフランボウ。
日付入りの新聞紙と撮られた彼女の写真の裏には、『命と引き換えに宝石を渡せ』というメッセージと黒い犬の印が。
黒い犬の印は、危険な野望を抱く〈ネロ・ハウンド〉の署名代わりで、フランボウは彼から復讐をされる心当たりがあるそうです。
マリアンヌは飼い猫に、ヘルメス神の息子で父に似て盗みと詐欺の天才とされる〈アウトリュコス〉と同じ名前をつけており、このせいでフランボウの娘だとバレて拐われたのでした。
意外と娘の方も父の存在や盗みの天才だという素性まで知っているものなのですね。
スイス衛兵から十字架を盗み出せるのはフランボウだけだと敵の才能を認めているネロ・ハウンドは、娘を人質に取って手っ取り早くフランボウを動かす駒を手に入れたわけです。
と、まぁ色々あってフランボウが十字架を盗む間、見張り役をしているブラウン神父にはよそを見といてくれという密約が出来てしまいました。
話を聞いて、シドもマッカーシー夫人も良い顔をしませんが、娘の写真から真実味を感じたレディ・フェリシアはややフランボウ寄り。
生粋の大金持ちのフェリシアさんだからこそ言える「皆が思うほど宝石に価値はないわ」という言葉は、まさに彼女が言うからこそ説得力を感じる名言です。
遠路はるばるやってきた十字架は、〈ボニポジオ枢機卿〉からレイナード司教へ引き継がれます。
ボニポジオ枢機卿が十字架を運んでいた間には警備責任者でもあった〈パピヨン枢機卿〉は、マロリー警部補に対して高圧的で、非常時に備えて自分も金庫の暗証番号を知りたいと警戒しており、警察の部下と警備兵のどちらがこの場を守っていくかで揉めている様子。この調子じゃあ警備に穴も出るでしょうな。
身長の割にやたらとキザなフランボウは、〈コーマック司教〉を内見会前に捕まえておいて彼に扮して内部へ入り込む計画を立てております。
シド、マッカーシー夫人、レディ・フェリシアもフランボウに睨みを効かせる見張り役として計画に参戦。
ただ、模造品を作っている時間などなく強行突破になるわけで、ブラウン神父を人質に取って隙を見て逃げると作戦を提案したフランボウ。しかし、フランボウ以外の4人から言わせれば、マロリー警部補はブラウン神父を盾にされようが遠慮なく発砲してくるのは間違いありません。悲しいかな。
伯爵夫人を撃てば一大事だという自分の立場を利用したフェリシアさんは「私を人質にしなさい」と自ら名乗り出ました。
しかし、いざフランボウが司教のフリで潜入した内見会が始まり、恭しく掲げられた聖遺物箱の蓋を開けてみれば既に中身は空っぽ。
金庫の暗証番号を知っていたのは、マロリー警部補とレイナード司教と、パピヨン枢機卿の3人だけで、すかさずパピヨンを疑い糾弾する警部補。
犯行の出鼻を挫かれただけなのに普段からの行いのせいで、森で身ぐるみ剥がされたコーマック司教が見つかったことも手伝ってますますフランボウの仕業だと騒がれております。
現場へ戻ったブラウン神父は、聖遺物の箱を調べてみて、なんと裏にボタンの仕掛けがあり、そこを押してみると普通に十字架が出てきたではありませんか。
盗難されたものとして考えられている今、このままポッケないないしない手はありません。
左遷される事になれば君も連れて行くぞとレイナード司教が詰め寄っているブラウン神父のポケットにはお探しの十字架が(笑)
大人しく約束を守って待っていたフランボウの前に、十字架を持ち帰ってきたブラウン神父。
すんなりフランボウの手に渡すわけにもいかず、ブラウン神父が十字架を持ったままネロとの受け渡しの場へ同行する事になりました。
呼び出された場所にネロも娘もおらず、別の場所へ移動したのかと思いきや、自力で脱出して銃を手に持つマリアンヌが出てきます。
ネロは地下室、手下は納屋に閉じ込めたとか。
なおも銃を向けてくるマリアンヌは、ネロ達とグルではなかったものの、監禁されているうちに話を聞いて、十字架を横取りする事に決めた様子。
しかし話し込んでいるうちに、地下室から這い出てきたネロが銃を向けて部屋に入ってきて、十字架は奪われるわ、吹っ飛ばされた指の仕返しだと言ってマリアンヌの手に銃を突きつけるわ。何故監禁する時に銃を取り上げておかない。
意外と娘想いなフランボウの父性が炸裂して、珍しいスローモーション効果まで使われる仕様で、銃を奪って形勢逆転。ブラウン神父の傘叩きは必要でしたか?あのブレではフランボウが被弾したようにも見えますが。ゴニョゴニョ。
ブラウン神父とマリアンヌからの説得でネロを撃たずに済ませたフランボウは手下と纏めて閉じ込め直して警察を呼ぶに留められたようです。
腕の傷を手当てしながら娘まで悪事に巻き込むなと説教したブラウン神父でしたが、フランボウはマリアンヌを連れて車で逃げてしまいました。
ただ、道中で思いとどまったフランボウは敢えて娘を突き放し、別々の道を進む事に。十字架を受け取りマリアンヌを車から降ろし走り去るフランボウでした。
実は、魔術師の息子でもあるボニポジオ枢機卿は、聖遺箱のトリックを知っていました。
金庫に入れる直前に箱の仕掛けを動かしておき、隙を見て十字架を盗むつもりでいたのですね。警備責任者のパピヨン枢機卿を失脚させて次期国務省長官の座を我が物にしようとする野心のために。
どこまでも腐っておりますが、ブラウン神父に言い当てられた途端跪いて告解を始め、守秘義務を課そうとする悪知恵よ。
ブラウン神父宛に十字架が送り付けられた事で事件は収束し、守秘義務で悪事をバラせないかわりにパピヨン枢機卿の人柄を褒める事で彼の失脚を防いだどころか、国務省長官への出世を助けたブラウン神父。
十字架を送ったのは、父親を出し抜いていた娘のマリアンヌで、彼女の今後も気になるところ。
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