エピソード7 “The Smallest of Things”
あらすじ
ブラウン神父はミニチュア人形作家の展示会に招かれる。彼女の作品のテーマは犯罪現場の再現だった。彼女がブラウン神父を招いた理由は、10年前に事故死した母親が、本当は殺されていたのではないかと疑っていたからだった。母の死を再現した模型をきっかけに、新たな殺人が起こる…。
ネタバレ感想
警察からの表彰式があるらしく、受賞者で人形の家を作るミニチュア人形作家の〈アグネス・レッサー〉が展示会も開催するようです。
彼女のファンだというブラウン神父も本人から招かれていて、マッカーシー夫人とバンティ同伴でウキウキやってきました。
警察の公式行事というだけあってマロリー警部補の元々の上司である〈ウェブ警部〉も来ていて、マロリー警部補がボロクソに言われています。警察の面汚しだなんだと罵られておりますが、ケンブルフォードに異動になったのは左遷だったのか。
話は戻って、殺人の現場を人形の家の中で再現するという悪趣味な持ち味のあるアグネスは、犯罪を伝える道具として一級品だという事で警察から功労賞が贈られるのだとか。勲章をいっぱいぶら下げた父親を見てしまうとコネ受賞にしか思えませんが。
父〈ウィルバー〉はともかく、若く派手な後妻の夫人は彼女の作品をよく思っておりません。
受賞スピーチを終えて、いよいよ本題に。
無心論者である彼女がわざわざブラウン神父に招待状を送っていたわけは、殺人事件の捜査が得意だという噂を聞きつけての事で、とある転落死現場の作品を見せるアグネス。
妹の〈バイオレット〉は幼くして溺死し、母〈フローレンス〉も階段から落ちて亡くなってしまうという度重なる不幸がきっかけとなって、一種のセラピーとして死者の無念な思いを形にしようと今の活動を始めていたそうです。
ひと足先にブラウン神父に見せた作品は実母が亡くなった現場の再現で、展示会の場で新作として発表して「真実を知りたい」と話しました。
あれは事故で母親への冒涜だと狼狽える父親と、自分はこの作品を手伝っていないと驚きながらも関与を否定する木工職人の〈ダニエル〉、そして当時この事故を捜査した警部が一気に批判的になりますが、警部と確執のあるマロリー警部補は酔っ払って「見逃しがあったかも」とアグネス側に乗っかります。
模型を見て何か気付いた事があれば教えてくれと言うアグネスですが、父ウィルバーを筆頭に話は打ち切られ、妄想に取り憑かれていると片付けられてしまいました。
ただ、ウェブ警部だけは模型を見て顔色を変えており、何かに気が付いた様子。
ブラウン神父がアグネスに警部と話してみるよう教えていると、女性の悲鳴が。
急いで見に行ったところ、千枚通しを胸に刺されて死んでいるウェブ警部と、それを見つけたメイドの姿がありました。
ウェブ警部の手には、模型の中に飾られていた“スターブライト洗剤”と書かれた新聞のミニチュアが握られていて、これが手掛かりになると考えるブラウン神父。
これは、母が亡くなった夜にアグネスが読んでいた地元紙で、1面と裏面は細部まで記事を再現したものです。
つまり、ウェブ警部の死はフローレンスの死にも関わりがあるとも考えられるので、一気にウィルバーが容疑者候補として繰り上がるのですが、そんな矢先にマロリー警部補のコートの袖口に血がべったり付いているのが見つかってしまい、ウェブ警部と確執があったマロリー警部補は動機があると見なされて逮捕。
ダニエルはフローレンスの死亡当時、悲鳴を聞いて彼女が階下に倒れているのを見つけたそうで、あれは事故だったと断言していますが、その際ウィルバーを呼びに行ってもアグネスの事は起こさなかったり、夫人の噂話をするマッカーシー夫人達に脅しをかけたりと言動に疑問が多い人物です。
ただ、確かな事はアグネスとダニエルがお互いに想い合っている事と、移民の大工など許さないという母親の反対を押し切ってでも結婚するつもりだった2人は、結果として母の死で別れてしまったという事。
マロリー警部補の起訴を早々に決めて警察署から戻ったウィルバーこそ邪悪な雰囲気に包まれています。
そして、妹が死んだ時から刻まれることのなかった柱への成長記録が増えていて、模型には溺れた時に着ていた服を再現したようなバイオレットの人形が突如現れるという怪奇現象?が。
精巧な人形なだけにダニエルが仕込んだと疑われましたが、彼は真っ向否定。
一つ言えるのは、これでフローレンスの死とバイオレットの死が繋がっているという何者かからのメッセージだということ。
マロリー警部補が中庭でタバコを吸っているのが化粧室の窓から確認できた夫人は、アリバイを唯一証明できる人物ですが、過去にモデル活動をしていて人一倍自己顕示欲が強いであろうに夫から相手にされていないという鬱憤のせいで、マロリー警部補に見せつけるようにストリップまがいの事をしていた事実を打ち明けられずにいます。
ブラウン神父の説得で彼女はようやく本当のことを言ってマロリー警部補は釈放に。
さっそく警察署で出待ちし、自分が説得したから感謝の気持ちを形にして欲しいと言って、フローレンスの事故の捜査資料を見せてもらうブラウン神父。めちゃくちゃ見返り求めるやん。
ウィルバーが犯人という線が濃厚ではありますが、まずは証拠が必要です。
ウェブ警部が持っていた新聞のミニチュアを探すために、一度は帰されていたマッカーシー夫人とバンティも捜索隊として緊急招集がかけられました。
捜査資料にあった現場写真とミニチュア模型の遺体の腕の向きが違い、もしかしたら撮影後に誰かが手を動かしたのかもしれないと気付くアグネス。
そうこうしているうちに、ブラウン神父は違う模型の中から見つけたミニチュア新聞の中のクロスワードパズルに書き込まれた『私の罪』という文字に気が付きます。
これはアグネスの筆跡で、しかし彼女はこれを書いたことを覚えていないのでしょう。
ウィルバーに問い詰めるブラウン神父は、アグネスが多重人格障害で、最初に症状が出たのは妹の頭を川に沈めてバイオレットが亡くなった直後からだったと聞かされます。
娘を病院へ監禁して脳の手術を受けさせるなんてできないと考えた夫婦は、その衝動が一度きりのものだと結論づけていたところ、10年前にフローレンスが亡くなる事件が起きてしまったのです。
夜中に起き出していたアグネスを見つけたフローレンスは、異変に気付いてすぐにウィルバーを呼び、2人がかりでアグネスを上階へ連れて行っていた最中にバイオレットの人格が出た娘から突き落とされて亡くなっていました。
それを見ていたダニエルはウィルバーから事故だと言い含められて、愛するアグネスのためにと黙っていたようです。
そんな娘の秘密を漏らさないために真相へ近付いたウェブ警部を殺してマロリー警部補の仕業だと見せかけていたウィルバー。泥沼一家かよ。
アグネスは、模型の母親が新聞を指差すような配置にしていた他にも、バイオレットの人形を作る事で自分自身に手掛かりを残していて、自分の中の闇に気が付いた彼女は自ら命を絶とうとする騒ぎに。
捨て身でアグネスを止めたブラウン神父は、その後診療所で療養する彼女を訪ねています。
ウィルバーはこれまでの功労が認められて絞首刑ではなく懲役刑で済むという朗報も。
ただ、最後はまだまだ正気ではない一面が垣間見え、世にも奇妙な物語のようでした。
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