エピソード12 “The Theatre of the Invisible”
あらすじ
町にBBCの人気クイズ番組がやって来た。町中の人々が集まる解答者の選考会の中には、番組のキャストが泊まる宿泊施設のラッジ夫人もいた。しかしその夜、宿に充満した煙でラッジ夫人が窒息死する。一旦は事故として片付けられるが、ブラウン神父とバンティが煙突の仕掛けを見つけ殺人事件と判明する。
ネタバレ感想
BBCの人気クイズ番組『あなたにお任せ』の制作担当〈ハロルド・ジェームズ〉が入院した事で、気弱な雰囲気の新プロデューサー〈ジェレミー〉が就任し、彼は地方巡業を提案。
クイズ番組への出場者を決める予選がケンブルフォードの町民会館でも開催される事になり、出題者〈バーニー・バターフィールド〉とピアノ演奏〈ジョイス・メリマン〉、アナウンサーの〈リッチー・クイーナン〉から成る出演者達も町へやって来ました。
出演者達が滞在中のB&B“ロッジ桜の木”を営む〈ラッジ夫人〉も、産まれたばかりの子ネコ達を抱えながら予選に参加するようです。
傲慢を絵に描いたようなバーニーが、嫌な参加者を払い落とす常套手段でラッジ夫人を問答無用の予選敗退に追い込む中、ちゃっかり決勝に進む事が決まったマッカーシー夫人とバンティ。
割と身の程知らずなジェレミーは予選に出場したバンティに村の案内を頼んで体良くデートに誘っております。
予選での悶着もあり、客であるはずの出演者達1人ずつに暴言を浴びせていくラッジ夫人。環境も良くないB&Bなので、色々と辟易していたジェレミーから話を聞いたバンティは部屋が余っているから皆揃って泊まりに来ればいいと提案します。上流階級の人達は本当に簡単に人を泊めようとしますな。お国柄なのか?
ジェレミーとバンティが居たパブに入ってきたジョイスは、バーニーが約束の時間になっても現れないと心配していて、これから散歩に行く予定だった2人も探してみると請け合います。
散歩途中に通りかかった彼らの宿泊している宿屋では煙が上がっていて、取り残されているであろう子ネコを助けに行ったジェレミーはラッジ夫人が死んでいるのを発見。
通報を受けてやって来た警察は、煙突の閉塞で煙を吸って窒息死に至った悲劇的な事故と結論付けますが、ラッジ夫人が度を超えるほど綺麗好きだった事を知っているブラウン神父は、彼女が煙突が塞がるのを見過ごすはずがないと不審に感じます。
裏窓から家の中に入ってみようと考え、バンティと2人で現場を封じる警察の目を掻い潜って侵入。
煙突の中を探ってみて、ろうと石が付いた金網が仕掛けられていたのを見つけました。熱の力で徐々に煙突を防ぐ仕組みになっています。
これから屋敷へ泊める人間達の中に殺人犯が混ざっているという情報を得られたのは良かったのか悪かったのか。
到着早々全員が警察に連行されてしまったらしく、その隙に荷物を調べたバンティが戦利品の黒い手帳を持って司祭館に駆け込んで来ます。
手帳はリッチーの私物で、最後のページには『宿の女主人は死んだ、気の毒だがこれでチャンスをつかめる』と記されていました。
警察の聴取が終わり、一先ず皆帰って来たはいいものの、リッチーは警察への聴取に対して映画に行ったと話していましたが、その映画はまだ封切りされていなかった事が分かって、警察は早急に彼に話を聞き直したいと訪ねてきます。
リッチーの姿はどこにも見えず、彼不在のまま他のメンバーと偵察に来たブラウン神父とでリハーサルを行っていると上階から爆音でクラッシックが。
閉まっていた部屋の扉をバンティが蹴破り、バスタブに沈んで死んでいるリッチーが発見されました。
擁護と見せかけてリッチーに不利な証言をポロポロとこぼし続けるジョイスは、何故か昔馴染みのバーニーに気があるようで、彼のアリバイ作りに協力までしていて男の趣味が悪いですね。ただ、バーニーも口が悪い癇癪持ちなだけで2人の人間を殺した犯人とは言えなさそう。
クイズ番組の本番が始まり、子ネコに関する質問が出たところでピンときたブラウン神父の中で全てが繋がったようです。
裏方で小忙しそうなジェレミーのところへ行って、彼に真相を突きつけるブラウン神父。
全てはジェレミーがセルフプロデュースのために組み立てた演出で、バンティの前で宿が煙に満ちているところに出くわし、自分が子ネコを救いに行く英雄になって男らしさをアピールしようと目論んでいただけで、ラッジ夫人を殺すつもりなどなかったのです。
しかしその細工をしている最中にリッチーに見つかって、バンティへのアピール計画を見抜かれからかわれたそう。
不意にラッジ夫人が死んでしまい、ジェレミーの細工による過失だと分かっているリッチーは彼を呼び出し、黙っていると親切にしますが、全ては『チャンスをつかむ』ため。
自分が書いたコメディーの脚本を出してして、その酷い台本を番組で使えと言うのです。
弱みを握られているも同然なので、その場では話に乗って持ち上げつづけましたが、屋敷に戻っても上機嫌で騒ごうとするリッチーを黙らせようとテディベアのぬいぐるみで押さえ付けていら間にこれまたうっかり殺してしまうというナチュラルボーンやり過ぎ男ジェレミー。
死後硬直を遅らせて死亡時刻を誤魔化すために冷水に遺体を浸けると、わざわざ何時間もリハーサルをしてアリバイもばっちりです。
途中で大音量で鳴るように仕掛けたラジオの細工については、午後6時まで放送休止のチャンネルに合わせていたという至ってシンプルなトリックでした。
逃亡して絞首刑確実になるよりも自白して懲役刑を受け入れた方が良いと勧めるブラウン神父。
もう既にラジオ放送で、ラッジ夫人を殺害した事がバレそうになって自殺したというリッチーにとって不名誉極まりない現状になっていると知ったジェレミーは、慌てて生放送中のマイクを乗っ取って罪を自白。
リッチーの家族にまで配慮が出来る善良さを持ち合わせていながら無意識に2人も殺してしまうというのはある意味めちゃくちゃサイコな人間です。その流れで出会ったばかりのバンティに愛していますと公開告白するところもとんだサイコ野郎でした。不器用が行き過ぎるとこうなるのか……。
ラッジ夫人が亡くなった朝に姿を眩ましていたバーニーは、薄くなってきた頭頂部を気にして、カツラを作るために腕の良い職人を訪ねていたのを隠していただけで、こちらの方がよっぽど健全でした(笑)
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▼次回、エピソード13