エピソード9 “The Flower of the Fairway”
あらすじ
新しいゴルフ場の経営者リーブ氏は隣接する家のハービー夫人と対立していた。そんな中、オープニングに行われたレディース杯を見に行ったブラウン神父たち。リーブ氏の孫娘モルガナも試合に出場し、バンティと接戦を繰り広げる。試合中ウォーターハザードからボールを出したバンティは、そこで男の死体を発見する。そしてリーブ氏も殺される。
ネタバレ感想
新規ゴルフ場オーナーの〈リーブ〉に招かれたブラウン神父は、年間会員パスという賄賂を渡されかけますが、ゴルフ好きではないと断ると、「オープニングに信徒と来てくれれば寄付を考えてもいい」という交換条件を提案されました。
帰り道、ゴルフ場の芝には『アメリカに帰れ、さもなくば死ぬぞ』という脅しのメッセージが。
リーブはゴルフ場建設で被害を被る隣人の〈ハーマイオニ・ハービー〉と対立関係にあり、動機がある彼女に話を聞いていたマロリー警部補達のところへ、『脅迫文の目撃者』であるブラウン神父とマッカーシー夫人が到着。
ゴルフ場のグリーンを荒らすという器物損壊にとどまらず、有名事業家への殺害の脅迫という事もあって現場では殺人事件並みの人員が投じられています。
マッカーシー夫人はハービー夫人と30年来の友達で、彼女を調べたって何も出ないと断言。
しかし、庭から出てきた芝生の成長を促す化学肥料は、使い過ぎれば芝を荒らすとかでまだまだハービー夫人の疑いは晴れないまま。
ブラウン神父は落ちていた空き缶に銃弾の跡があるのを見つけていて、銃を撃っただろうと指摘するとハービー夫人は夫の銃で射撃練習をしていたと認めます。
銃まで見つかれば逮捕されてしまいかねないので預かろうかと提案したブラウン神父ですが、いい隠し場所があるから大丈夫、とのこと。ほんとに大丈夫か……?
グランドオープンの日に開催されたレディース杯を見に来たマッカーシー夫人とブラウン神父。
意外な事に、ハービー夫人もわざわざ2シリング払って見に来ており、敵の動向を探っているのだとか。
リーブの娘〈タマラ〉は、前話で被害に遭った少女メイも通っていた女子寄宿学校“セント・セービア”に入れられてアメリカから遥々この地に来たのだそう。
今や女子ゴルフチャンピオンで世界中を回る有名人のタマラ。
15歳の頃キャディーだった〈マイケル・ネルソン〉が男子の試合に出して欲しいとリーブに直接頼んでいますが、リーブが隠しておきたい娘婿の身内話も知っている様子。
リーブの孫娘にあたる〈モルガナ〉もレディース杯に出場するらしく、自身が青春時代を潰されたゴルフ漬けの日々に娘を引き込もうとしていると怒るタマラに反して、モルガナはゴルフを楽しんでいるようです。
父親にバレないよう、〈デジレ・ルコック〉の偽名で変装までして参加するバンティの姿も(笑)
順調だったバンティのクラブセットには身に覚えのない5番アイアンが入っていて、めざとく見つけたリーブに問答無用で指摘されます。
規定の14本を超えるクラブを所持していると二打罰のペナルティが与えられるのです。
動揺して茂みに球を転がしてしまうも、そこから無謀なチャレンジで見事グリーンにボールを乗せたバンティ。
しかし、打った直後に茂みの中のぬかるみで男が倒れている事に気が付きました。
警察の到着で野次馬にやったきたハービー夫人は、入れ墨男の遺体を見るなり絶句してその場を去って行きます。
様子の異変に気がついたマッカーシー夫人が殺人に関与しているのかと問いただすと、昨日の夕方自宅の庭で見て、リーブのでしたが脅しに来たと思い込んだハービー夫人は持っていた銃で後頭部を殴り付けた事を打ち明けます。ただ、その後男はピンピンしていてクラブハウスに入れ墨男のクレームを入れに行って帰宅すると男は消えていた、と。
犯人にされる前に逃げると言って去って行ったハービー夫人の他に、入れ墨男の遺体を見て動揺している人々が。
被害者〈マーティ・コノート〉と知り合いだったタマラは動揺はしても知らないふりで済ませようとして、同じく昔馴染みのマイケルからやや責められています。どういう関係だったのか。
マーティを殺した犯人かと思っていたリーブも、再開されたレディース杯の途中で発砲音が鳴り響き、自室で殺されているのが発見されます。
最近発砲した形跡のある銃も見つかり、これでますます殺人事件の容疑者として追われる事になってしまったハービー夫人。
彼女の無実を証明するため、本物の凶器を見つけ出さないとなりません。
リーブを殺した銃弾がハービー夫人の持っていた銃のものと同一か確認したくても、リーブの首を貫通して窓の外へ飛んでいってしまったらしく簡単には事が進みません。
そんな中、友人のためにぬかるみに入って手掛かりを見つけようと奮闘していたマッカーシー夫人が折れたアイアンクラブの先っぽを発見しました。
恐らくはこのクラブで被害者を殴ったところ、折れてしまったので差し替えようとして誤ってバンティのバッグに入れてしまったのでしょう。
リーブを殺したのは娘のタマラです。
町を出ようとしていた彼女は、それを手伝ってくれる予定だったマーティと落ち合う約束をしていました。
しかし隠れていたマーティがハービー夫人に見つかり、彼女が入れ墨男のクレームを入れた事で計画に気がついてしまったリーブ。
なんとモルガナの父親はリーブ本人で、タマラにとってモルガナは娘でもあり妹でもあるという泥沼の家族関係がありました。
逃げようとしたけれどマーティが現れず変だと思ったら彼が遺体で見つかり父親を責めると、自慢げに折れたクラブを見せてきたのだそう。
自分に触れてこようとする父親に我慢できずに抵抗すると、はずみでクラブが首を貫いてうっかり殺してしまいます。アリバイを作るために大勢が集まるレディース杯開催中に銃声が鳴ったと錯覚させるため花火とゴルフボールで細工を作っていたのです。
殺意はなかった事を差し引いても、芝生の脅迫文もタマラによるもので、このままではハービー夫人が冤罪で死刑にされてしまいます。
ブラウン神父の前で罪を認めたタマラですが、銃声の細工については身に覚えがないと話し、ようやくマイケルが密かに手を貸していた事が発覚。
ゴルフの腕が確かなマイケルは、ボールに爆竹を付けてハウスの裏側に打ち込みタマラを守ろうとしていたのです。
その頃警察署には既にマイケルが自首して全ての罪を被ろうとしています。
折れたクラブからリーブの指紋が出たこともあって、マイケルは警察から正当防衛だと認められるも、本当にやった細工の件では有罪に。
裁判で全てを公にする事でモルガナを傷付けたくないというタマラの気持ちが汲まれ、タマラは事実を隠し通す事で合意したようです。
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