エピソード10 “The Tower of Lost Souls”
あらすじ
ある塔の近くでレジナルド・ブロディの遺体が発見された。マロリー警部補は自殺と見るが、グッドフェロー巡査部長は、被害者が真夏に赤いスカーフをしていたことに違和感を覚える。そんな中、バレンタイン警部が現れ、事件を担当することに。一方、塔の所有者であるアリステア・ヘルムズリーと妻のエミリーは退役軍人のための資金集めの準備を進めていた。
ネタバレ感想
塔の管理人〈ジョージ・オークリー〉が入り口を開けに来たところ、遺体を発見した客がおり警察が呼ばれています。
駆けつけて来た塔の所有者で下院議員の〈アリステア・ヘルムズリー〉は、遺体の身元が〈レジナルド・ブロディ〉と聞き、昔同じ苗字の庭師を雇っていたと警察に話しました。
巡査部長は、被害者が真夏なのにスカーフを巻いていたのはおかしいと指摘しますがマロリー警部補が素直にそりゃおかしいと認めるはずもなくいつものやり取りです。
今回の事件を担当すると言ってロンドン警視庁からやって来たのは、バ、バレンタイン警部ー!!!
何故わざわざバレンタイン警部が来たかと言うと、この件の被害者が前の事件の関係者だそうで、巡査部長が気になっているスカーフをしていたという点にも興味を示しております。
『退役軍人のためのヘルムズリー基金』という資金集めパーティーを開こうとしているヘルムズリー家にやって来て、亡くなったのはこの家の元庭師〈フィリップ・ブロディ〉の父親だと伝えるバレンタイン警部。
バレンタイン警部とアリステアは顔見知りのようで、それは以前この村に居たからなのか、それとも“前の事件”に関わりがあるからなのか。
遺体を発見したオークリーはこの家の使用人だった〈ナターシャ・リピンスキー〉の遺体も発見しており、本当に偶然だとすると2度も遺体を見つけるなんてとんでもない悪運です。
アリステアの妻〈エミリー〉は一緒に住んでいる義兄の〈ウィリアム〉に対してかなり辛辣。
バレンタイン警部は先のナターシャの事件では庭師だったフィリップを逮捕したのだそう。
ナターシャの事件は8年前、庭の小屋で窒息死の状態で発見され、酷い別れ方をしていた庭師のフィリップのスカーフが絞殺に使われていた事から彼は絞首刑の判決を受け、最終的には終身刑に収まっています。
そして今回、フィリップの父親の遺体にスカーフがあったのはバレンタイン警部としては見逃せない共通点でしょう。
サリバン警部補しかり、バレンタイン警部も、ケンブルフォードから出たら丸くなってブラウン神父の有能さを認められるようになるようで、警察署で立ち聞きしていた神父を追い返そうとしたマロリー警部補を制して、昔のよしみで捜査のアドバイスを貰うほどです。
今回亡くなったレジナルドは、3週間前に息子が刑務所で首を吊ったことをきっかけに、今になって過去の事件を調べていました。
何かを見つけてしまったが故に殺されたという仮説が立てられますが、それにしても塔の上の扉は外側からイスで塞がれて簡単に開かない密室のような状態で、何故屋上で犯行に至ったのかは謎なまま。
市場では今朝ウィリアムに赤いスカーフを売った者が見つかり、取調べを受けるウィリアムは自分のカバンから落ちたものを拾って巻いたのだろうと苦しい言い訳。ウィリアムはナターシャの件でも何かを知っていそうです。
先の件で誤認逮捕してしまっていたかもと悩むバレンタイン警部は個人的にウィリアムから話を聞く事に。
レジナルドは家にやって来て質問や非難をしてきており、ウィリアムが「弟夫婦が帰ってくれば全て明らかになる」と言った翌日に彼は遺体となって発見されてしまったのだそう。ウィリアムに言わせれば、「真実を追求しようとしてた人が自殺するわけない」との事で、誰よりまともな思考回路です。
ナターシャについては『カーテンの裏』を見たとか『部屋』だとか要領を得ないものの、自分の家族は邪悪だとバレンタイン警部に伝えました。
ナターシャ殺害犯がアリステアなのかエミリーなのか核心に迫ったところでバレンタイン警部は何者かに後頭部を殴られ気を失ってしまいます。
目が覚めた時にはウィリアムは刺殺されており警部の手には凶器の刃物が。そこへ匿名の通報を受けて駆けつけて来たマロリー警部補と鉢合わせになり、状況からしてバレンタイン警部はそのまま殺人容疑で逮捕されてしまいました。
そしてそして、なんという歴代同窓会!(笑)
サリバン警部までケンブルフォードにやって来たではありませんか!
確かに今や警視庁公安課のサリバン警部なら、警官が殺人容疑で逮捕されたとあっては調査に来るのもおかしな話ではないのです。
来シーズンもあるのは分かっているのに、シーズンファイナルのエピソードという事も相まって最終話なのかと思うような展開になってまいりました。
バレンタイン警部に代わって事件を担当する事になったサリバン警部はこれまた相棒にブラウン神父をご指名。マロリー警部補は悔しがりっぱなしです(笑)
サリバン警部がブラウン神父と動いたおかげでバレンタイン警部は早々に釈放され、お次は警部らが揉めている隙にさっさとバンティのツテを使ってヘルムズリー家で開かれる退役軍人のためのパーティーに潜入する算段を取っていたブラウン神父達の出番。
家族の秘密を探して嗅ぎ回るブラウン神父、マッカーシー夫人、バンティの3人は吊るされたカーテンの裏を通って施錠されたプライベートルームを見つけます。
いつも通りピッキングで扉を開けて中に入ると、卑劣な思想で知られる英国ファシスト連合の後継政党にあたるユニオン・ムーブメントの旗が。
撤退しようとするも外から鍵を差し込まれて閉じ込められる形になってしまいますが、窓をつたって外に出たバンティが待機していた警察陣に事情を説明して警部達も家の中へ。
見つけられたファシストの思想が満載の図書室に関して、ヘルムズリー夫妻はあくまでも亡き父の思想で、遺言に従って遺しているだけだとの事。
塔の外を縄梯子を使って降りたであろう犯人は高い所が得意な者だと考えていたところ、ちょうどよく登山部だった証拠が図書室から発見された事で殺人容疑をかけられたアリステア。
逮捕されると、ナターシャに関して勝手に鍵を使って中へ入った彼女は部屋から出るなり自分たちをナチスだと罵って家を飛び出しており、それが最後に見た姿で生きていたと話します。
アリステアの口ぶりからして殺害には関与していなさそうですし、やはり長年この家に仕えてきたあの管理人が怪しいですな。
隠された図書室に飾られた写真から、アリステアの父親が落下傘連隊の隊長で管理人のジョージも写っている事に気が付いたブラウン神父は1人塔へ。
物置から縄梯子を見つけると、そこへジョージが。
何度もアリステアの父親に命を救われ、忠誠心が半端ではなかった彼は人知れず一家を守るために秘密を知ってしまった危険因子を排除していました。
ブラウン神父も例外ではなく、塔の屋上へ連れて行かれて飛び降りろと脅されましたが、既に秘密の部屋は公になってしまったと伝えます。
追い付いてきたマロリー警部補はジョージと揉み合いになり、バレンタイン警部は塔の下から一切の躊躇なくとんでもないエイム力でジョージの肩を撃ち抜きます(笑)
飛び降りようとしたジョージを再びマロリー警部補が肉弾戦で止めに入り、最後に多少は良いところを見せれて良かったですね。
こうしてジョージは逮捕され、バレンタイン警部の不眠症も多少は改善されそうです。
バレンタイン警部とブラウン神父の不思議な友情はなかなか乙なものがありました(笑)
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