第1章『アーティスト』“Artist”
あらすじ
才能ある芸術家のサニーは愛する祖父の印刷所が倒産するのを防ぐため、独創的だが危険な計画を思いつく。刑事のマイケルは決意を固め、偽札ビジネスの中心人物である宿敵のマンスール･ダラルを追い詰める。
ネタバレ感想
2台の車のトランクからそれぞれ拘束されてズタ袋を頭に被せられた〈サニー〉と〈フィロズ〉は、ガラの悪い男達によって、とある屋敷に連れて来られております。
どんな絵も完璧に模写できる技術の持ち主のサニーは、有名画家の作品のレプリカで生計を立てておりました。
そんなサニーの祖父は無名のアーティストで、何より大切にしているのは古びた新聞印刷所の“クランティ・マガジン”。レトロな雰囲気が良いですな。
友人のフィロズとは幼少期をいつも印刷所で過ごしてきており、サニーは絵に、フィロズは印刷に夢中でそれぞれ祖父とサニーのおじ〈ヤシール〉に技術を教え込まれていた二人。
そして、来る日も来る日も丸いパンを食べるだけの粗食な日々の中で億万長者を夢見ていたのです。
やたらとセクシーなサニーは大人になり、金持ち女〈アナーニャ〉と付き合うも、いつも駐車場でしか会えず彼女の家族は疎か、友達にも紹介してもらえないような相手には遊ばれているだけだから別れろと小言を言うフィロズ。アナーニャと約束したパーティーへの入場料すら払えません。
そんな中で、クランティ・マガジンに〈ラタンラル〉とその息子が借金の取り立てに来て、「1ヶ月で返済しろ」と迫られ絶望的な状況に。
困窮した人達に金を貸してばかりだったじいちゃんは、何よりも愛していたクランティを畳むしか選択肢がなくなってなお、従業員のことを気にかける慈悲深さよ。
サニーとフィロズは何とか返済期限を延ばして貰えないかと直談判しに行き、1ヶ月の猶予を貰うもそれでどうにかなる話ではないのは明らか。
最後の手段だったカタギには見えない友人の〈アニーズ〉を頼ると、偽造ビジネスの王〈マンジャ〉を紹介してもらえて、サニーの複製画を大量に買ってもらう約束を取り付けるフィロズ。
今後マンジャと下請け契約が結べれば金になると企むフィロズに対し、その遥か上を行く覚悟を決めたサニーは「カネを偽造しよう」と偽札作りを提案しました。意外です(笑)てっきりフィロズに唆される形になるかと思いきや、サニーがやる気満々とは。
もちろん模写はサニー、印刷はフィロズの二馬力が必要不可欠。確かに言われてみれば本物の紙幣も誰かが作ったもので、その道のプロである二人の力があれば偽造紙幣を量産してしまえるのも現実的な話かもしれません。ただし、偽造防止対策が施された新ガンジー紙幣を一から作り上げるのは中々骨の折れる作業に。
いざ始まった偽札作りの工程がなかなかに面白い。テンポも良いし、1話から引き込まれます。
初回からうまくいくかといえばそうでもなく、苦労して作り上げた偽札を試しに使おうとすると一目で見抜かれて危うく警察に突き出されるところでした。
刑事の〈マイケル・ヴェダナヤガム〉は、因縁の相手でもあり、偽札市場を支配する〈マンスール・ダラル〉と側近の〈ビラル〉が揃って取引している現場を押さえています。
その場に居た全員を連行しようと外へ出たところで一味から襲撃を受け、銃撃戦の末にかなりの被害を出しながらマンスールにもビラルにも逃げられてしまうという大失態。
まだまだ諦めていないサニーは、失敗したのは紙のせいだったと突き止め、見た目以上に大事な手触りをより本物に近付けるためにフィロズと研究を始め、ついに本物そっくりの感触を見つけ出しました。
試行錯誤して作り上げる偽札はもはや芸術作品のよう。
こうして出来上がった改訂版は、先日と同じ店で店主の目を掻い潜り品物との交換に成功。
沸き立つ二人のハイテンションなモーションに胸が熱くなると同時に、冒頭のシーンへ戻り「誰が作った？」と自分たちが作り出した偽札をマンスールに突き付けられている場面へ。
自分が作ったとサニーが認めると、マンスールはフィロズを撃ち殺せと部下に指示。さすがに被弾はしていないか、していても命に別状はない程度でしょうが……。
これからマンスールの組織で二人の技術が使われる流れになるのか？印刷所の行く末は守られるのかも、マイケルが部下の仇を取れるのかも気になり、誰を応援していいのか分かりません(笑)みんな頑張ってくれ……！
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▼次回、エピソード2
