エピソード10『リックの窮地』“Dead Serious Rick”
あらすじ
ジョンはルクセンブルクを再び訪れ、父への貢献の真価が問われることになる。ちょうどその頃、アガトはジョンについて真実を知る手掛かりになる、最終的な証拠を集めていた。
ネタバレ感想
バードバス然り、イカボッド然り、クセのある嫌な感じのキャラでありながら実際はしっかり人間らしいところがあるという二面性。タイプは違えどジョンもそれは同じです。
えらく遠回りな気もしますが、マクミラン社に来たことはストレスが増えた反面、結果的に傷付いたジョンの心を少しずつ解していく助けにもなっています。
イカボッドと肩を寄せ合った直後にレスラーの顔を狙って銃をぶっ放すという情緒がおかしいジョンの行動で、まんまとレスリーは契約の場には出られなくなりました。そしてローレンスから、レスリーの代理としてルクセンブルクについてきてくれと指名されたジョン。
無慈悲なトーマスは時間稼ぎのためだけに『学者の妻も始末しろ』とジョンに命じており、もうこれ以上やめてやってくれ〜〜という感じ。核武装を止めるという大義名分があるにしても、まず息子のメンタルにもう少しだけでも配慮が欲しいところ。
疑惑を確信に変えてしまったスティーヴンのことも再び車道に押し出して黙らせたジョンは再びルクセンブルクへ。
しかし、あらゆる感情を犠牲にしていざ出張へというところまで漕ぎつけたにもかかわらず、不備のあった書類提出日が今日までだったらしく、グレゴリーから出張ストップのお達しが。
ただ、ジョンの世話役をしていたトーマスの部下が慌てて書類を持参して来てギリギリで同行できる流れに。それでいいのか。
同じ頃ルクセンブルクではバッグ・マンの水死体が上がっており、彼が例のホテルに泊まっていた記録がある上に遺体のポケットから出てきたバロス家の住所が記されたメモ書きの筆跡はずっとアガトが手掛かりにしてきたものと同じです。そりゃどちらもジョンが書いたものたので当然ですが。いよいよアガトの中でもジョン・レイクマンの存在はシロになりつつあるようですが、娘の絵がジョンの特徴を絶妙に捉え過ぎていて多少は引っ掛かりがある様子。
しかもここにきて娘が、「家に来たのはこの人」と言ってアガトも気が付いていなかったCDのジャケットに映るジョンのことを教えます。
すぐにアガトが連絡したのは、ジョンに顔を撃たれて入院中のレスリーで、時間があった夜、会食に遅れて来た際にジョンが赤いガーメントバッグを持っていた裏が取れてしまいました。
アリスから相談を受けたエドワードは、まさか父親が息子に殺しまで頼んでいたとは思っていなかったようで、ジョンに事実を確認して愕然としております。全重責がジョンに集結しており、エドワードはあくまでも補佐的な役割止まりで多くは知らなかったというのもこれまた切ねぇなぁ。
父が息子に殺しを頼む、自分の弟が殺しもする、というショッキングな事実で落ち込むエドワードの表情を見て、失望させてごめんよという歌を歌ってしまうジョン。これで鬱にならないはずがないのです。
さすがに学者の妻に手をかけれなかったようですが、こんな情緒ならあの危険運転も必然で、とうとう事故に遭って病院に運び込まれたというのにまだ任務に復帰させようとするトーマスと、まだ休んでいないとダメだと口を出すエドワード。兄ちゃんもっと頑張ったってくれ……!
深みにハマって必死なトーマスは、それこそ保身のためにジョンを動かそうとし、ジョンも何故ここまで忠実なのか、父親の期待に応えようとして動き始めます。
ヌミの禁錮期間も終わり、どれだけ杜撰な管理なのか5日間あっても開かれなかったバッグや他の盗品もそのまま所持品として警察署から持ち帰り。
車に撥ねられた後遺症で視界も悪い中、警察署から出てきたヌミを尾行するカイマンや柔術ブラザーを蹴散らすと、ヌミ本人にそれは自分のバッグだと声を掛けるジョン。
あっさり返してくれたバッグは空っぽで、聞けば中身は警察署に置いて来たというではないですか。大金を置いて来た理由を聞かれて「重いからよ」と真理めいたことを言うヌミはとてつもなくクールでした。
この赤色が人形劇に使う理想の朝焼けの色だったからバッグが欲しかったのだ、と。友達にもらったあのCDの曲を気に入っており、ジョンがジャケットの男だと気付いていたヌミは人形劇でアルバムの曲を使いたいとのこと。
自分は劇のために色々盗んでくるけれど、完璧にまっすぐな人はいないと思うと気が楽になるという理由でジョンの綴ったリアルな心境に共感したようです。
その日暮らしで盗みをしながら自分のやりたい人形劇を稼業にしているヌミと、音楽では食っていけないから違う仕事をしろと父親から言われるがままに、本職と偽装職のどちらに転んでもブラック企業の社畜感満載な今があるジョンと、どちらが自分の人生に満足しているかは明らか。
とにかくヌミと別れてスカート班の部屋に置いて来た札束を回収するため、デニスに体を張って警察署内を大混乱に陥れてもらったわけですが、ジョンが着いた頃には既に金はなく、悲しげなスーツの男の絵の横に「ジョン・レイクマンへ 私を追わないならこっちも追わない」というメッセージが書き足されていました。デニスは脱ぎ損です(笑)
高飛びしようとしているアガトを駅で見つけ、静かに会話する2人。ジョンはバッグを奪わないままアガトを見逃すことで自分も見逃してもらい自由の身になることを選びます。
しかし、列車に乗り込むアガトを見送りかけたその時、父親からの電話で「エドワードが拉致されバッグを要求された、今すぐバッグを持って来い」と聞かされて事情が変わってしまったというところ。負の連鎖というか、抜け出せないカルマというか。まさかシーズンを跨いで続く話だとは思ってなかったので意外な展開です。バッグ1つでここまで粘るとは(笑)
タイトルからしてジャック・リーチャーやジョン・ウィックのようにいかにもアメリカンなドンパチ系かと勝手に思い込んでいたところ、蓋を開けてみればかなりのブラック・コメディで驚きました。日本受けするのかはさておき。好き嫌いは分かれそうなので万人受けはしないかもしれません。1話の時点でこのドラマの笑える部分が存分に発揮されているので、1話を見て面白いと思えなければその後も期待はできなさそう。
こんなに道徳感がバグっているのに憎めないどころか同情してしまうような、終始哀しきモンスターのような主人公も珍しく、各キャラにクセがあり過ぎるのも良かった。
続きが気になってしょうがないというわけではないけどダラダラずっと見ていたいようなスルメドラマです。
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▼次回、S2エピソード1