エピソード10『花の娘たち』“Dig Down”
あらすじ
ボッシュは強盗殺人課のレネイ・バラードと対立しながら、“花の娘たち”連続殺人事件の殺人犯を次の犠牲者が出る前に捕まえようとする。
ネタバレ感想
市警時代、ボッシュのデスクにあった特定されないまま捜索願も出ない3人の若い女性の写真。
『すべての人が平等に大切だと忘れないため』に彼女たちの写真を飾って心構えを刻んでいたボッシュ。
マディとの関係は意外と順調そうで、食事を楽しみながら未だ荒れているヴァスケスとの関係について悩み相談を受けております。
そんなボッシュを尾行する何者かの車があり、プライベートでも一切気を抜いていないのか、抜きたくても職業病になっているのか、即座にこれに気付いたボッシュは運転しながらモーに連絡をして尾行相手を誘導して調べてもらうと、陸運局に登録のない怪しい車だと判明。
相手が運転手の1人とはいえ、マディとの外食帰りで銃も携帯しておらず、ロバートソンの二の舞にならないか心配です。
尾行に気付いていることを悟られないよう冷静を装いながら事務所に銃を取りに戻ったボッシュの背後を尾けるのは女性の後ろ姿。彼女はLA市警で、ひとしきり睨み合った後バッジを見せて殺人課の〈レネイ・バラード〉だと名乗りました。盗んだ捜査資料を返すよう要求するバラード。
“花の娘たち”と称されるボッシュが気にかけていた若い女性3人が殺された事件の担当を引き継ぐことになったから盗んだ資料を返せとのことで、ハリウッド署にあるはずの原本がなくなっているからボッシュが持ち出したコピーを求めて近付いてきたそうです。
“花の娘たち”事件の犯人がまた再犯を始めたことを悟り、「取引しよう、新しいのと交換だ」と捜査中の資料を要求し返すボッシュ。公務執行妨害では?笑
バラードは「捜査資料が必要ですし、彼は事件を熟知しています」と上に掛け合って、何故かこの資料交換の要求をのむ流れに。
それにしても、LA市警時代にロバートソンから未解決事件の少女たちの写真について言及されているシーンはそういえばそんなこともあったなぁ、という記憶があり、ということはスピンオフではなく本編でのやり取りです。この時からロバートソンが暗殺されるシナリオができていたのでしょうか?
かなりの刊行数があるらしい、原作のハリー・ボッシュシリーズでもこういう展開なのか?気になります。
本部長のオフィスに強引に押しかけて、「あなたはロバートソン殺しで冤罪を生むところだった。その上今度は事件を横取りし私の威厳まで傷つけた」と詰め寄り宣戦布告したチャンドラー。
その後、未解決事件の資料の件で、ボッシュの自宅や事務所に市警のシールズ警部が捜索令状を出したという情報がチャンドラーの耳に入り、そのままボッシュへ。更にはチャンドラーがコネを使って令状を無効化した上に新たな事件の捜査資料のコピーも要求し、とことんバラードの一歩先をいくことで彼女を自ら協力させ、大量の資料がボッシュの自宅に持ち込まれました。
バラードの相棒は休暇中だそうで、ボッシュとしばしのバディ関係のようになりそうですがチームワークはいかがなものか。
同じ手口の新しい事件と13年前の最初の事件の捜査資料を突き合わせて夜通し見直した2人。
被害者の4人ともが閉ざされた場所で殺されてから目立つ場所に捨てられており、何故そのようなリスクを取ったのか、13年もの空白期間はどうしていたのか、そもそも捜査資料を盗めたということは犯人は警官なのか、さまざまな考えを巡らせております。
バラードは帰り際にボッシュの車にGPSを仕込んでおり、信用していないというよりはシールズの指示でボッシュを見張るようです。
おかげで、復活していたフィリピン人女性の売春サイトから予約を取ってポン引きを誘き出そうとする場面にバラードが乗り込んできました。
令状を取って合法的な手段を取れというバラードと、時間がなく今度こそ捕まえたいと強硬手段に出ようとするボッシュとで対立が生じ、ボッシュは捜査から完全に締め出される形に。まぁ、もともと引退している身なんですけどね。
とは言え、ボッシュが大人しく身を引くわけがなく、いつもの如く独自の調査をしていくこととなりました。
様子を見に来たマディにも殺人課との経緯を話した上で捜査資料を見せて不審点を探る手伝いをしてもらい、死亡を確認した救急救命士の〈ジェレミー・マッキー〉という男は直近の事件でも出動要請を受けて担当にあたっていたことに気がつくお手柄です。
すぐにモーに電話をかけてジェレミー・マッキーについて調べ上げるよう依頼。マディも顔は見たことがあるという消防士のマッキーは、警官でなくてもハリウッド署に出入りできて捜査資料を盗むことが可能で、2つの事件現場に関与しているというかなり有力な被疑者ではないですか。
モーの調べによれば12年前、消防署を去りアイダホへ移り、事件に固執していたボッシュの引退と入れ替わるように去年戻っておりました。
被疑者を特定したとバラードに連絡を入れてこの情報を伝えると、シールズから止められていたはずの『実は犯人のDNAがある』という情報を明かしてくれました。
マッキーのDNAを入手し、照合にかければ完全な証拠になる大チャンスで、次の被害者が出る前に一刻も早くDNA採取に移りたいボッシュ。
周到に凸凹コンビに見張らせておいたマッキーを追ってバラードがバーに入ってDNA採取の機会をうかがいます。その間マッキーの車にはGPSを仕込んでおり、引退したおかげで規則や手順に囚われない分、法的にはアウトでしょうけど、迅速さはとことん追求できる環境です。
アクシデントがありバラードはマッキーの飲んだボトルを取り損ね、車につけたGPSは電力を車と直結させるだけの時間がなく僅かな猶予の内蔵バッテリーでしか稼働しないという状況に。
妥協を許さず執念を燃やしているボッシュは勤務中のマディに連絡してバーから帰るマッキーの車を口実をつけて停めさせて、アルコール臭いと因縁をつけたマディとヴァスケスの毅然とした態度によって呼気検査を実施。まんまとDNAを提供してもらうことに成功。
しかし、凄腕弁護士のチャンドラーによれば「もしマッキーのDNAが一致したとしても、被害者の首のDNAは死亡確認中に付いたとか合意の性行為で付いたと主張できるから足りない」らしく、これだけで起訴には持ち込めないそう。
凸凹コンビとボッシュとバラードのバディが連携して監視を続けている隙にモーがマッキーの自宅に忍び込み、盗み出された捜査資料を発見。
しかし、GPSのバッテリーが途絶えてしまい信号が途切れ、フィリピン人街で獲物を物色しているだろう目標を見失い、次の犯行も心配な上にモーがデスクトップPCをハッキングしている間、いつ家主が戻ってくるか分からないという危険な状態です。
案外モーの方は安全で、このまま外で次の犯行に及ぼうとしているマッキー。
ボッシュ達はまだ見失った車を見つけられておりませんが、ハッキングを成功させたモーから例のサイトでフィリピン人と会う約束をしているという手がかりが得られ、該当の住所へ急行するとマッキーの車が。
そのまま踏み込んで監禁され殺されかけていた女性と今にも逃げ出そうとしていたマッキーを発見しました。
あっという間の逮捕劇で、相当な駆け足感がありましたが、これにてボッシュの長年の心残りが晴れたのではないでしょうか。
バラードの別れの言葉通り、長年刑事をしてきて身に染みついた闇は一生拭えないものかもしれませんが、ハリー・ボッシュのことなので今後も自分の中の正義を貫いて行くのだろうな、と感じさせるラストでした。
とうとう完結。本当に渋いドラマだったなぁ。
まだまだいろんな事件解決を見てみたかったです。あの市議の件もどうなったんでしたっけ?
最終話は駆け足ながら、最終話に相応しくボッシュの根底にあった事件が数年越しに解決に至ってくれて非常に良かった。
ようやく最後を迎えた人気シリーズですが、更なるスピンオフ作品の予告編が出ていて、原題は『Ballard』、今回登場したレネイ・バラード刑事が主役なのだそう。おぉぉ……!
今夏配信予定で、もちろんハリー・ボッシュも登場するらしくボッシュロスになる日はまだ先になりそうです。ボッシュ役のタイタス・B・ウェリヴァー、ムキムキとは言え60代半ばですけど大丈夫か?
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