海外ドラマ≫≫CALL THE MIDWIFE コール・ザ・ミッドワイフ　ロンドン助産婦物語シーズン2　1話ネタバレ感想

第1話

あらすじ

もうすぐクリスマス。街には喜びがあふれ、チャミーは子供たちと共にキリスト降誕劇の準備に大忙し。なんと市長が観劇に来るというのだ。失敗は許されない。そんな中、通りを徘徊する1人の老婆がいた。

ネタバレ感想

英国のクリスマス、と言っても舞台が修道院となればその空気感はまたひと味違った厳かな気配のあるものになっております。

クリスマスシーズンでも変わらず仕事はあるわけで、〈ヒルダ〉という女性のお産を助けて一仕事終えたジェニーが次に向かおうとしていると、カビの生えたボロボロのコートを見に纏った、魔女のようなヨレヨレの老婆に声を掛けられました。

シスター・エヴァンジェリーナ曰く、ステップニーによく居た子供が生まれると決まって現れる〈ジェンキンス夫人〉が区画整理で家を失い彷徨って来たのでは、との事。

ホームレスの出で立ちの老婆に物乞いをされるわけでもなく、ただただ赤ん坊や母親の事を聞かれるのはかなり不気味です。

子供好きなのには違いないらしく本人に悪気はないものの、薄汚いボロボロの老婆に我が子をあやされていたら怖いし暴言を吐きたくなる母親の気持ちもよく分かります。

道端で揉める母とジェンキンス夫人を見かねたシスター・ジュリエンヌが救いの手を差し伸べようとしても何かトラウマがあるのか拒絶してどこかへ去って行く夫人。

しかし栄養失調と疲労の蓄積が祟って道端で倒れたジェンキンス夫人は、〈ターナー医師〉への通報で典型的な狭心症が発覚しノンナートゥス・ハウスに報告がなされました。

いくら医師や看護師とは言え、不衛生で汚臭が漂ってきそうなノミだらけの環境に診察に行ったり世話をしに通ったりしなければならないだなんて気が遠くなりそうです。

どうやらジェンキンス夫人も救貧院で酷い扱いを受けた者の一人のようで、その闇の深さは計り知れません。

『救貧院の遠吠え』と呼ばれる言葉に出来ない苦悶の叫びというのを聞いて思わず救貧院の実情をググってしまいました。

「慈善団体によって提供される社会的弱者のための住居」と言えば聞こえは良いですが、その実態は人々を奴隷のように、いや、それ以下とも言えるほどに悲惨な強制労働の現場でもあったようです。著しく生命が危険に脅かされるような作業を課せられる使い捨ての駒扱いの強制労働力として酷使し、意にそぐわない者には罰を与える事も当たり前だとか。

『フランダースの犬』でお馴染みの「世界名作劇場シリーズ」にある『ロミオの青い空』では幼い主人公達が煙突掃除夫として働く事になりますが、この「煙突掃除夫」というのは、大人が入り込めない狭さの煙突に入って煤を取るという仕事に就く者を指し、生きたままの火炙りや窒息死、転落死の危険が付き纏い、煤にまみれる作業によっめ内部からジワジワと気管支にも影響を及ぼすという過酷な職業です。

救貧院の仕事の中にはこの煙突掃除も該当し、他にも一歩間違えれば即死という危険な仕事が年齢に関わらず与えられていたのだとか。

話が少し逸れた上に余談になりますが、〈ターナー医師〉は妻を1年前に亡くし、反抗期気味の息子〈ティモシー〉と二人きりでは初めてのクリスマスになるそう。

シスター・ベルナデッドが女性として見られたい願望を持つ理由はこの辺りにありそうです。

自分もまだ若いのに、幼い弟達の面倒を見る〈リネッテ〉はどうやら訳有りな感じ。

案の定彼女は妊娠している事をひた隠しにしてきたようで、用意した器具と診療所から盗んだ手引書を手に、深夜人気の無い廃屋に忍び込み自力で赤ん坊を取り上げるという凄まじいガッツ。どれほど孤独で覚悟の要る選択だった事か。

彼女は無事に生まれた赤ん坊をノンナートゥス・ハウスの玄関先に置いてきますが…。

シーズン1のほぼ1話完結な構成から少し変わったようです。リネッテや赤子、ジェンキンス夫人のその後、新婚のチャミーが鼻息荒く取り組んでいるクリスマスの降誕劇も本番がまだですし、次回も引き続きクリスマスシーズンのエピソードなようで続きが気になります。

Call the Midwife [ Jennifer Worth ]