エピソード11『ソングバード通り 前編』“Songbird Road: Part One”
あらすじ
戦死したはずの叔父ニックが生きていることを知ったケヴィンは、絵はがきの住所を頼りにニックを訪ねる。ベトナムでの物語には、ジャックすら知らない真実があった。
ネタバレ感想
ニックが生きているかもしれないという衝撃事実を受けて早くも家族会議が開催されております。
全員が戦死したと聞かされており眉唾物な事実ですが、確かに誰も証拠がなくただただジャックの言葉を鵜呑みにしていただけであり、本人も『戦死だと思い込んでいた』線は、既に遺品の中にあった1992年に受け取った手紙があるので考えられません。
どんな理由があったにせよ、信頼度ナンバーワンの夫であり父であるジャックに限って嘘や隠し事をするはずがないという前提が覆ってしまい困惑は隠し切れない面々です。
真相に近付きたいケヴィンは、2017年時点で叔父が住んでいたブラッドフォードに行くからと家族に同行を募りますが、乗ったのはランダルだけでレベッカもケイトも止めはしないものの心の整理が追い付かないのか「一緒には行けない」と断るのでした。
ランダルも叔父に会いたい気持ちからと言うより、実父のウィリアムを捜した経験からもし会えなかった時の兄の落胆の支えになるために名乗りを上げたというのが本音のようです。
そして身重のケイトもやはり気になったのか旅行当日に駆け付けてきて兄弟揃って出発します、かつて「これで最後だ」という手紙を受け取ったジャックが、『仕事』と偽り家族に送り出されながら自宅を出発した時のように。
過去のジャックと現在のビッグ・スリーは手紙にあった住所『ソングバード通り』に辿り着き、目の前に佇むオンボロのトレーラーに心をざわつかせながらそれぞれニックと再会しました。
「家に手紙を送るな」と言いに来たジャックをトレーラーに上げてまずいココアを振る舞い、ベトナム時代の写真を渡したニック。
ビッグ・スリーもジャックが来た頃より更に荒れ果てたトレーラーに上がり、所在無さげに突っ立ちながら父が戦死したと嘘をついた理由に心当たりがないかと本人に聞くも「帰ってくれ」と話す気はないよう。
それでもケイトは「私は来たくもなかったし答えも知りたくないけど兄はベトナムまで行ってここに辿り着いた、だから帰りません」と食い下がります。ケイトもまたランダルと同じくケヴィンの支えになろうとしたのですね。
その言葉で「ジャックの子供達だな」と納得したニックは、ジャックすらも知らない過去を語り始めました。
子供であろうが近い将来ベトコンになるであろうベトナム人は信用出来ないと明言し、上官である兄の命令も無視して鉄条網で足を怪我した少年の手当てをしなかったニックでしたが、実はあの子供とふざけて笑い合ったのをきっかけにチョコを食べさせたり一緒に魚釣りに誘ったりしていたなんて。
そして、ボートで魚の群れを捜して手榴弾を投げ込んで浮いてきた魚を一気に獲るという危険過ぎる釣りの方法が悲劇を生み出します。
すっかり少年と仲良くなり次々と魚をカゴに入れていく二人でしたが、ピンが異常に硬い手榴弾があり必死に引き抜こうと奮闘するニック。そして今までのやり方を見ていた少年は危険だからと静止するニックに構わず手を出そうとし、その勢いでピンの抜けた手榴弾が二人の乗るボートに転がります。
必死に水中へ飛び込めと促すニックですが、少年は動けず、ニックはギリギリでボートから逃げ出しそのまま少年だけが亡くなってしまったのです。
爆発音で慌てて駆け付けたジャックから見た光景は、ジャンキーでベトナム人に憎悪を募らせる弟がまだほんの子供のベトナム人をボートで連れ出し木っ端微塵にしてしまったという信じ難いものにしか映りません。
自分のしでかした思わぬ事態に対するあまりのショックにニックも本格的に精神を病み、国に帰されましたが、兄には子供と遊んでいた時に起こった不慮の事故なのだと弁明することも出来ず、苦難のベトナム時代の全てに蓋をしてしまったジャックから縁を切られる形で疎遠となっていたのです。
そして数年ぶりの再会で、国へ帰った後自分とは真逆で別世界のような幸せな家庭を築いていたと分かると「もう二度と連絡はしない」とニックもまた心を閉ざしたのでした。
「ジャックは全てを白黒キッチリつけてグレーがない人間だからこそ、人生を自分が全てを壊す前と後の二つに分け、最初の人生には背を向けて立ち去った、一度方向を決めたら決して変えない」と戦争から、そして自分から去って行った兄の話を聞かせたニック。
それでもジャックは、表面上では白黒分けて前に進んだように見えますが、ニックが思うほど簡単に割り切れるような想いではなく、内心は必死で溢れ出る闇を押し込めようと苦悩していた事は間違いありません。
トレーラーを出て家へ帰り着いた後、名前や関係性までは話さないもののレベッカにベトナム時代の知人に会いに行っていたのだと嘘を告白したシーンでもそれを感じました。
ニックの生存とジャックの嘘を知る事になった現在のレベッカは、もっと自分に出来ることがあったのではないか、何故もっと聞かなかったのか、と複雑な想いを抱えていますが。
「今日はもう終わりにしてくれ」と追い出されたビッグ・スリーは、このまま帰るかまだこの土地に残るかの選択を迫られます。
幼い頃言われた「子供は親の失敗を繰り返すか正すかのどちらかだ」という父の言葉を思い返すケヴィン。
そして何かを決意したように「あんな暮らしダメだ、雨漏りするトレーラーに独りで40年以上も?俺は放っとけない」と他の二人に話すと、過去にジャックが進んだ道とは反対のトレーラーへと戻り扉を開きました。
そこには、兄の死を知り今後永久に真実を話すことも赦されることも叶わない無念が大き過ぎたのか、机に銃を置いて静かに座っているニックの姿が。
あのまま諦めて帰っていたら確実に叔父はあの場で引き金を引いていたでしょう。
ランダルがウィリアムを連れて帰って来た事がありましたが、今回主導となっていたのはケヴィンで、やはり兄弟です。
レベッカも「真実を知りたい」という気持ちが定まったらしく、今後ニックから話を聞くのでしょうが、今後どのように一族が関わりを持って行くのかなかなか想像がつきません。
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