エピソード6『3匹の猿』“Three Monkeys”
あらすじ
「退役軍人の日」をスミスの家で祝うことになったジョー。それを好機として、フィルムについての情報を得ようとする。田上の下で働くことになったジュリアナは、答えを求めて調査を続ける。スミスは「退役軍人の日」の祝いに旧友も家に招くが、思わぬ結果となる。
ネタバレ感想
早くもシーズン1後半戦に突入です。
休日で勤務外とはいえ、あんな砕けた感じの『ジーク・ハイル』敬礼も許されるんですね(笑)
“退役軍人の日”という祝日にスミス家へお呼ばれされたジョーは、トーマスに書斎を案内された際に『イナゴ 極秘』とラベリングされた気になり過ぎるファイルがそこにあるのを見つけてしまいました。
義母を迎えに行くというスミス大将に同行したジョーですが、義母の乗った飛行機は欠航となっていたらしく、代わりにウェゲナー大佐の姿を空港に見つけた大将。
席が空いているからと強引にウェゲナー大佐を招待する事になり、いよいよ人物が絡み合ってきた感があります。
なんとジュリアナは江藤の要求を飲んでいたんですかね。まあそうでなきゃ日本政府ビルに潜り込めず話が進まないわけですが…。ジュリアナの性質的にさすがにその一線は越えないかと思っていました。
と、思いきや。呼び出されたのは田上通商大臣の所で、秘書の〈琴道〉に案内された先では江藤から話を聞いた田上大臣がジュリアナに仕事をくれると言っております。
これ見よがしに置いてあるネックレスの持ち主がジュリアナだと結び付いているのかいないのか。
日本側もドイツ側も外交のため、つけいられる隙を与えまいと双方国のトップの思わしくない容態を隠そうとしているあたりのギスギス感はリアルです。
弾道検査で出た結果は、憲兵隊が進めている捜査の方向と違うよう。
目撃者は「メガネの男はこれと同じ銃を持っていた」と西部劇のガンマンが持つリボルバーを差したそうで、『メガネの男』はつまりフランクの事なんでしょうね。
「銃の販売許可を持つ骨董品を洗い出せ」という木戸の指示で、ますます捜査の手はフランクに忍び寄っていきます。
とは言え、あのアメリカ古美術商会の〈ロバート・チルダン〉も本来日本人にしか売ってはならないとされる銃弾を記録を詐称してフランクに売ってやってるからには暗殺幇助になりそうなもので、そうなってくると簡単には口を割らないかもしれません。
フランクが店に来ていた時あの場に居合わせた〈梶浦夫人〉に急いで連絡を取り、さっそく隠蔽のため動き出そうとしているチルダンの元へ、木戸警部と部下が銃についての売上台帳を見せろと捜査にやって来ます。
もちろん3日前に45口径の銃弾が売られている記録にすぐ目が行くも、帳簿通りに〈マツダ・サトシ〉に売ったとしらばっくれるチルダン。
チベットに発つ予定がある得意客の名を足がつきにくいからと勝手に使っていたチルダンですが、銃の販売が許されるのは日本人であるだけでなく、日本当局がすぐに接触できる相手に限られるらしく、そこは厳しくお叱りを受けますが取り敢えずは撤収していってくれました。
大体同じ頃に別の場所でハラハラする行動に走るジュリアナとジョーの二人。
ジョーが大胆にもリビングから抜け出して書斎にあるファイルの入ったキャビネットを開ける鍵を探したりしている頃、ジュリアナも入館証を受け取りに行くためビル内を自由に動ける時間が出来てあからさまに不審者な行動を取っております。
江藤の部屋の前で声を掛けられた日系女性の〈クリスティン・タナカ〉に突然「協力して欲しいの」と『サクラ・イワザル』という人物について尋ねます。あまりにも怪しく無用心…!!!
クリスティンからは笑われ、人の名前ではなく『見ざる、言わざる、聞かざる』の言わざるとサクラは日本の桜の花の事だと教えられたジュリアナ。なーーんだ。ハリウッドのおかしな日本知識でぶっ飛んだ名前を付けられた人物は居なかったのですね。
とは言え、『桜、言わざる』とは果たして…。
切れ者の木戸警部は、早くもベルリンのナチス高官ウェゲナー大佐がホテルから姿を消した事まで掴み、来賓席に居た彼は犯人ではないものの、皇太子訪問に合わせるように入国し、暗殺未遂事件が起きたのは怪しいと疑いを募らせている様子。
田上大臣も外交ビザを発行した記録から何らかの関与を疑われているようでヤバいですねぇ。
通商の職業柄多くのアーリア人を接待する事が少なくない田上大臣は、数少ない白人職員となったジュリアナに感謝を伝えたりと基本的にただの良い人です。
ジュリアナもただ信用を勝ち取るためというよりは、田上大臣には少なからず心を開きかけているようにも見えます。
帰りが遅くなった事で日本政府ビルで働き始めた事がフランクにバレる事になりますが、お互いに妹を殺されていて自身もロクな目に遭っていない仇でしかない存在の日本政府に従事していると聞けばそりゃ何やってんだって話になりますわ。
挙げ句の果てにまだ「あの映画が本物だったら?」とこだわり続けているジュリアナは、現実に存在したとすれば陰謀論を信じた一般人がテロを起こそうと企てているようなもので、信じる信じないは自由ですがあまりにも常軌を逸した可能性に命を懸けるのは『暴走』の一言につきます。
口論の末、人を殺した事まで口走ってしまったジュリアナ。かたや暗殺未遂ですが、かたや正当防衛とは言え殺人を侵していたんでした。そうだった、そうだった。忘れかけておりました。そして何故か逆ギレ気味のジュリアナ(笑)
木戸警部と対をなす切れ者スミス大将は、ウェゲナー大佐の怪しい言動など最初からお見通しだったようで、「義母を迎えに行く」という口実からして嘘だったというのは驚きです。大将が信頼を置く妻ヘレンも全てを知った上で不穏な気配を微塵も出さずにもてなしていたとは。恐れ入りました。
かつての同胞を信じたい気持ちとの間で揺れ動くスミス大将はジョーに「君ならどうする?」と助言を求め、その結果ウェゲナー大佐が見送りを受けながら玄関を開いた先には待ち構える親衛隊の兵士達が。
「君には敵わんな、ジョン」と穏やかに笑みさえ浮かべて、抵抗する事なく連行されていったウェゲナー大佐ですが、これでますます田上大臣の立場も危うくなったのでは。ウェゲナー大佐も暴走がちではあるものの、THE良い人風なのでなんとか助かって欲しいのですが…彼的には自分の使命は日本の科学大臣にマイクロチップを託した時点で全うしたと思っていそうなのがそのまま処刑パターンに繋がる事もありそうで、うーーん。
日本政府ビルで使った会議室が『バラ』の間だった事にピンときたジュリアナは夜な夜なビルに戻り、都合良くその場にいたクリスティンに『サクラ』の部屋もあるのかと聞きます。
代わりに変態部長こと江藤の撃退方法を教えてやると唆し、ビル内の見取り図を貰ったジュリアナはお目当ての部屋に潜り込む事に成功。
そこでは、所狭しと並べられたデスクに大勢の人々が作業中です。どうやらここは組織的に盗聴・監視をするための工作員が働く傍受部屋なのでは?
ジュリアナは震える手で『イナゴ』フォルダに分別された一枚の書類を盗み出しました。
深夜、ついにキャビネットの鍵を開けて『イナゴ 極秘』ファイルを手にしたジョーでしたが、その中身は全て白紙。
嫌な予感を全身で感じ取ったジョーが振り返った先には不敵な笑みを浮かべて自分の仕掛けた罠にまんまとかかったジョーを見つめるスミス大将の姿が…!
- 作者:フィリップ・K・ディック
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▼次回、エピソード7