エピソード1『虎の穴』“The Tiger's Cave”
あらすじ
レジスタンスに捕まったジュリアナは、彼らを裏切った報いを受けることになる。それでも彼女は、長い間抱えていた疑問に対する答えを得ることができた。しかし未来に対する不吉な予感を拭うことはできない。脅威にさらされているのは彼女だけではないのだ。ジョーはニューヨークへ向かうが、今まで信じてきたものに疑問を持つようになる。フランクは絶体絶命の状態にあるエドを救おうとするが、その結果、二人とも重荷を背負うことになる。
ネタバレ感想
“ニューヨーク州”ロングアイランドにあるフリッツ・ユリウス・クーン高校に通うトーマス。
シーズンが変わっても時系列はそこまで進んでいなさそう且つナチスが戦勝国になっている設定のままです。
ジュリアナに逃してもらったジョーが乗る漁船は、サンフランシスコから320キロ離れた太平洋を進んでおります。
場違いな物思いの耽り方でジョーを見送ったジュリアナですが、さすがにナチスのスパイを逃すだけでなくフィルムも持っていかせたとあってはレジスタンスに拘束されてしまったようで、事の顛末を聞いた黒縁眼鏡のレジスタンス〈ゲイリー〉がやって来てジュリアナに銃を向けます。
ジョーは敵じゃないし殺せないの一点張りで、フィルムの中身を見て『高い城の男』に自分の口から説明も出来るから自分も殺すなと訴えるジュリアナ。
「図太い女だな」というのはまさにその通り過ぎてよく言った、レミュ!と拍手したくなります。
ジュリアナの安否を心配していたジョーですが、裏ルートで乗せられた船も密航者を乗せる海上の無法地帯のようなもので、レジスタンスから無線でジョーが持っているフィルムを5万で買い取ると言われたらしく凶器で脅される羽目に。
彼らは金目当てなだけで特にレジスタンスに肩入れしているという訳でもないので、ジョーが必死にナチスのコネを使って一人につき20万円払ってやると説得します。
しばらく待つと、ナチスのセスナで荷物が運ばれて来て、大金の入ったトランクに気を良くした船員達はジョーを解放。
小船で小型機に乗り込みホッと一息ついたところで、金の底に仕込まれていた爆弾がボンッ!
冷酷なやり方がナチスっぽくて違和感も無く、アレはちゃんと偽札だったのか、本物だったら勿体ないだろ、とそっちに気を取られます。
無事に戻ったジョーはスミス大将と久しぶりの再会後に船ごと吹き飛ばした事を「約束が違います」と批判しますが、それで考えを変える程度の倫理観を持ち合わせていれば最初からあんなやり方はしません。
もう仕事はしないと言い切ったジョーですが、政府のスパイの仕事なんてそう簡単に足を洗わせてくれる訳ないよなぁ…。
〈小野田将軍〉は、日本人高官を集めた会議で、科学大臣のポケットに入れられたマイクロフィルムから入手した原爆の設計図を使って、ニューヨークを狙いナチスを徹底的に潰すと発表してしまいました。
憲兵隊のリーダーとして会議に参加していた木戸もまた戦争回避派なので、田上大臣がウェゲナーと組んで武力の均衡による平和維持のため暗躍した事を確信しながらも田上大臣寄りな雰囲気。
シーズン1最終話のラストで、希望を失うなと激励した琴道の言葉に従って公園で瞑想していた田上大臣が見たのはTHE古き良きアメリカという雰囲気の過去とも夢とも思えないアメリカの支配下にあるサンフランシスコの光景でした。
琴道が何らかの鍵を握るキーパーソンだったとかでも面白いのですが、それも違いそうですね。
エドがやりもしない皇太子狙撃について自白したと聞いたフランクは、「僕が撃ったんです」と何度も木戸に訴えるも、フランクが撃った訳でもない事も明白なので取り合ってもらえず、このままではエドが自分のために罪を被って処刑される事になってしまいます。
ジュリアナはレジスタンスに囚われているわ(理由が理由なのでフランクは知らぬが仏かもしれませんが)、大親友エドは捕まってしまうわでフランクはどうするのかと思いましたが、ここに来て娘を心配したアーノルドが自宅にやって来て、「日本人の協力者を探せ、コネを持つ奴を紹介してもらえ」とアドバイスをくれました。
な、なるほど!チルダーーーン!ここまで来るとこの二人も腐れ縁です。
友達が憲兵隊に捕まり自白を強要され、ここで買った弾も押収されたと話し、チルダンも手を貸さない訳にはいかなくなりました。
確かエドがフランクにぶっ放し残り二発になった弾はジョーがヤクザに使ってしまってもうなかったはずですけど、上手いこと言いましたね、フランク。
「死ぬのが嫌なら友人を助けろ」と脅すフランクはだんだんジュリアナの図太さが移ってきたように見えます。
ジュリアナが連れて来られていたのは狭苦しいトレーラーのような所でしたが、そこから一歩外に出てみると山のようにフィルムがある作業場のような場所でした。
レジスタンスのリーダーでもある〈ホーソーン・アベンゼン〉こそが『高い城の男』だったそうで、えらいアッサリした登場です。
『城』というのは彼の頭の中、ユング心理学で言うところの顕在意識と潜在意識の事を指しているとかなんとか。
ホーソーンはジュリアナに彼女が見たフィルムの内容と、サンフランシスコの爆発後に誰が映っていたかを問います。
ナチスに並ばされた捕虜の中にフランクが居たことや、フランクを処刑したのがジョー・ブレイクだった事まで分かっていて聞いている様子です。
ジュリアナがフィルムの中に映ったフランクの隣に居た男について言及するシーンがありましたが、どうやらホーソーンはこの男について何か知りたい事があるよう。
他のフィルムに映る男とその男が同一人物か答えてくれと言われ見てみると、ジュリアナが見たフィルムではパルチザンとしてナチスに処刑されていたはずの男が今度はナチス兵士として殺されているのです。
ホーソーンによると、ごく少数ではあるもののどのフィルムでも変わらない人物がいるけれど、大抵は置かれる環境によって変化があるのだとか。
「日本が勝ったフィルムではいずれ原爆でサンフランシスコが壊滅する だがこの男がナチとして死んだフィルムは違う」とホーソーン。
この男を見つければサンフランシスコ壊滅の未来を変えられる、と。
ジュリアナがどうしても見覚えのあるはずのこの男を思い出せないのは彼女の過去と何か関係がありそうです。
「フィルムの映像はすべて現実だ、似てはいるが我々の未来ではない」という発言からやはり時間軸どうこうではなく起こり得る並行世界での出来事、つまりどのフィルムの内容の結末に行き着けるかというシミュレーションゲーム的感覚なのでしょうか?
スミス大将は激昂したヒトラーからフィルム収集と並行して何としても『高い城の男』を見つけ出せと厳しく命じられました。
帳簿から目ぼしい日本人顧客を探すフランクが目をつけたのは、刑事事件専門の弁護士をしている梶浦。
先日梶浦夫妻にフランクがこさえた贋作を売りつけたばかりであまりにも危険な存在ですが、フランクの強い押しで二人して梶浦家へ出向くことに。
正直に訳を話しても「関わるな」と取り合ってもらえずこのままでは他に道がないフランクは、大切に飾ってあった首飾りを自分が作った贋作だと梶浦に明かします。チルダンは良い顔しますねぇ(笑)
またしても眠らされていたジュリアナは、ゲイリーの運転する車のトランクに閉じ込められてどこかへ移動していますが、憲兵隊の検問所付近でなんとトランクから車道に転がり出てしまいました。アクロバット過ぎるだろ、と思いましたがそう言えば合気道やってましたね。受け身くらいお手の物でしょうか。とにかく、バーーーンと開けてゴロゴローーーンです。
It'll be a ride you won't forget. #HighCastle pic.twitter.com/Gea9LVzINN
— The Man in the High Castle (@HighCastleTV) 2019年11月12日
混乱に乗じて身を隠すジュリアナ。
ここでなんとレジスタンスのカレンが犠牲となってしまいました。なんだかんだとジュリアナの助けになってくれていた彼女が…そろそろジュリアナは疫病神的ポジションになってきつつあります。
- 作者:フィリップ・K・ディック
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▼次回、エピソード2